荒川水系の治水事業は、昭和21年から新潟県によりJR羽越線下流から河口までの4.2km区間について基準地点花立の計画高水流量を3,200m3/sとして中小河川改修事業が実施され、昭和34年に完成した。また、昭和38年からは山形県によって舟渡地点における計画高水流量を1,180m3/sと定められ、舟渡より出戸に至る11.1km区間を中小河川改修事業として実施されてきた。しかし、昭和42年8月の前線性豪雨により計画高水流量を遙かに上回る洪水に見舞われ、山形県西南部と新潟県北部での死者が90名にものぼる未曾有の「羽越水害」が発生した。
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この水害を契機として、昭和43年4月に一級河川に指定され、基準地点の花立における基本高水のピーク流量を8,000m3/sとし、このうち1,500m3/sを洪水調節施設により調節し、計画高水流量を6,500m3/sとする計画とした。その後、昭和53年度に洪水調節と水力発電を目的とした大石ダムが完成し、現在に至っている。
また、「羽越水害」の特徴として、土砂災害の発生により人命被害が生じたことや、土石流や流木により道路、鉄道等の交通網が寸断され、復旧が長期化したことがあげられる。このため、昭和44年からは直轄で砂防事業にも着手している。 |