阿賀野川のむかし話

六野瀬部落(ろくのせぶらく)(旧北蒲原郡安田町)

六野瀬部落

 むかし、阿賀野川はたいへんなあばれ川でした。ときどきはんらんして家や田畑を流し、村人を苦しめました。
 村人たちは土手をきずいたり、神さまにいのったりしましたが、はんらんはとまりませんでした。
 そこで遠く、鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮へいき、 「どうか阿賀野川のはんらんがなくなりますように。」 とお願いしました。すると「人柱を川底にうめておいのりすれば、はんらんはとまる。」 という神さまのおつげがありました。
 村人は話しあって、お金を出しあい、五泉から「おはき」という娘をつれてきました。
 むかしは人柱といって、人を生きながら川や山にうめると、はんらんや山くずれがとまると信じられていました。
 さて「おはき」は美しく、りはつ娘でしたが、「村のためならば」と人柱に立ちました。村人たちは「おはき」を川底に沈め、工事をしました。
 そうするとひとばんのうちに川の中に六つの瀬ができて、水の流れがよくなり、はんらんもなくなってしまいました。
 「おはきのおかげだ。ありがたいことだ。」 と村の人たちはよろこび、きそってそこへ移り住みました。六つの瀬ができたところから六野瀬部落という名まえがつきました。
 阿賀野川のはんらんをとめ、村を救った「おはき」の霊は、いま安田の神社にまつられているそうです。