日本一の暴れ川~常願寺川~

常願寺川の河口である富山湾から源流までの距離はわずか56km。その間に約3000mの標高差を流れ下る常願寺川は、日本はもとより、世界的に見ても有数の勾配を誇る急流河川です。
古くから洪水氾濫が多発し、富山平野の暮らしを脅かしてきました。

常願寺川の特徴

① 日本でも有数の急流河川

川の延長は56km(平野部18km)と一級河川としては短い流路にもかかわらず、河口と源流の標高差が約3,000mもあるため、平均河床勾配1/30の急流河川となっています。この急流が上流の土砂を大量に削りとって下流へと運んでいきます。

② 日本有数の多雨・豪雪地帯

日本は、先進国の中で降水量が多く、中でも常願寺川流域の年間降水量は約4,000mm(日本平均は約1,700mm)に達します。降雪も常願寺川中流域で積雪深が最大で約2.5m(水谷平では約4.5m)に達するなど、世界有数の多雨・豪雪地帯です。

③ 立山カルデラの脆弱な地質

立山カルデラの内部は火成岩が風化した非常に脆弱な地質で、降雨などによる崩壊により、土砂の流出を繰り返しています。また、鳶泥と呼ばれる江戸時代に発生した大規模崩壊によってもたらされた土砂が大量に堆積しています。


土砂流出を続ける立山カルデラ内部の崩壊地

④ 流出土砂がつくった天井川

天井川とは、堤防の内側に土砂が堆積したために、川底が周囲の土地より高くなってしまった川のことです。
常願寺川は、長い年月にわたって大量の土砂が流出した結果、天井川となりました。このため、ひとたび氾濫すると、水がもとに戻ることができず、大きな災害となる危険性があります。