常願寺川流域は、急流で土砂流出の活発な河川であり、また急峻な地形や脆弱な地質条件から土砂崩落・落石等が多発しております。さらに多雪地であることから工事が実施できる期間は限定的です。このような現場条件から、新技術を導入した様々な工法等が採用されてきました。

「白岩砂防堰堤」右岸・岩盤の崩落対策

白岩砂防堰堤の右岸岩盤には亀裂が数多く入っており、崩壊を繰り返してきました。平成6年(1994)6月には大規模な崩壊(崩壊量約1,700m3)が発生しています。この白岩砂防堰堤の水が流れる通路(水通し部)を大量の崩壊土砂がふさぐと溢れた水・土砂が白岩砂防堰堤の弱点、左岸側の盛り土部の上を流れることになり、堰堤が破壊されることにつながります。そこで、平成11年(1999)からこの岩盤を崩れにくくする工事を始めました。岩盤内にトンネルを掘り、そのトンネルから岩盤に向かって線状のアンカーボルトを取り付け、岩盤そのものを引っ張るという新しい種類の工法です。

  • 対策工イメージ

  • 白岩砂防堰堤右岸側の崩壊(平成6年)

無人化砂防

安全確保が困難な工事現場の多い立山カルデラ内では、昭和48年(1973)より無人化施工を導入しています。無人掘削機械は、現場から離れた安全な無人機械操作室から無線装置により機械を操作する事が出来るため、作業員が危険な箇所で掘削機械に乗車する必要がなく、安全な施工が可能となりました。無人掘削機械には、テレビカメラが搭載されており、作業員は操作室でモニターテレビを見ながらリアルタイムで機械を操作しています。

  • 無人バックホウ(昭和58年)

    無人機械操作室の様子

  • 無人化施工の様子

可動式シャッター砂防堰堤

砂防ソイルセメント工法

ISM(イスム)、INSEM(インセム)等の砂防ソイルセメント工法は、現場の土砂とセメントと攪拌混合して、構造体を構築するものです。掘削残土を減少させ、環境負荷の軽減、建設コストの縮減、工期短縮が期待できます。

スゴ谷床固工群のISM工法

湯川第12号砂防堰堤のINSEM工法