国土交通省北陸地方整備局信濃川下流河川事務所 やすらぎのしなのがわ

第5回関新地区環境モニタリング

第5回(平成17年9月2日開催)

関新地区モニタリング検討会開催報告
今年3月の工事中に確認されたタールピッチの一部は硫酸ピッチと判明

 平成17年3月29日付けで記者発表致しましたとおり、『関新やすらぎ堤工事』において、仮締切矢板内からの排水に環境基準を上回るヒ素が確認されるとともに、タールピッチが噴出したため、即時に排水と工事を中止し調査・検討を行っておりました。

 その結果について、去る9月2日に『第5回関新地区モニタリング検討会』を開催し、報告を行うとともに、今後の工事の進め方を諮問致しましたところ、ヒ素はその後の調査で環境基準値を下回っており、工事を再開しても問題ないとの答申をいただきましたが、タールピッチの問題については、その場では結論が得られず、各委員間で意見調整を行っておりました。

■仮締切内のヒ素水質試験結果
採水日
3/14
3/15
3/16
3/17
3/18
3/19
3/20
3/21
3/22
3/23
結果
0.004
0.007
0.004
0.008
0.003
0.008
0.030
0.029
0.031
0.035


 〔今回新規発表分〕

採水日
3/28
3/29
3/30
3/31
4/1
4/2
4/3
4/4
4/5
4/6
4/7
4/8
結果
0.006
0.005
0.001
0.001
未満
0.001
未満
0.001
未満
0.001
未満
0.001
未満
0.001
未満
0.001
未満
0.001
未満
採水中止

・単位:mg/l ・環境基準:0.01以下 ・排水基準:0.1以下
注)1.前回発表後の3月24日から今回発表の前日・3月27日までは、施工業者の引き継ぎの関係で、採水及び水質分析が行っていない。
注)2.工事中止解除条件:連続して7回が環境基準以下となった場合、工事の再開について検討する。
注)3.環境基準を連続して7回以上下回ったにもかかわらず、採水及び分析を行ったのは、分析結果が出るまで数日を要したため。

<タールピッチ>
『タールピッチ』とは、一般に油分汚染物質をいう。

<硫酸ピッチ>
『硫酸ピッチ』とは、「産業廃棄物処理法」で「指定有害廃棄物」として、pH2.0以下のタールピッチが指定されており、撤去後中間処理施設にて焼却又は中和処理が義務付けられている。

<強酸性タールピッチ>
『強酸性タールピッチ』とは、酸性の強いものを言うが、明確な定義は無いため、当検討会での意見を踏まえpH5.0〜2.0のタールピッチとした。

<ベンゼン>
『ベンゼン』とは、タールの分別蒸留などで得られる揮発性の液体であり、有害なガスを発生させるとして、「大気汚染に係る環境基準」では「1年平均値が0.003mg/m3以下であること。」と定められている。
 また、「産業廃棄物処理法」では溶出量が0.1mg/g以下、「土壌汚染対策法」では溶出量が0.01mg/g以下と定められている。

工事現場

工事現場

タールピッチ湧出状況

タールピッチ湧出状況

■検討会答申内容
  1. 工事中に、仮締切矢板内からの排水において確認されたヒ素については、その後の調査で環境基準を下回ったことが確認されたため、工事を再開しても問題はない。
  2. 今回の工事区域において、確認されたタールピッチの一部は硫酸ピッチであると確認された。硫酸ピッチ及び、その周辺等のタールピッチは極力除去すること。
  3. 今回の調査では、硫酸ピッチの外に多量の強酸性タールピッチも確認されていることから、生態系への影響を考慮し、速やかに予算を確保して無害化する等の調査・検討を行い、適切な対策を講じること。
  4. 仮締切矢板引き抜きによるタールピッチ及び、ベンゼンの湧出防止対策として、工事終了後も仮締切矢板を引き抜かないこと。
■今後の対応
  1. 工事区域の一部で確認された硫酸ピッチについては、範囲確定を行った後周辺のタールピッチ等とともに除去し、法律に基づく処理施設に搬出し処理するとともに、下流側の土質改良を行っていない範囲については、実施可能な工法により土質改良を実施し、タールピッチの湧出防止対策を講じる。
  2. 今回の調査で確認された硫酸ピッチ以外の強酸性タールピッチの処理については、現在の工事予算では対応が不可能なため、速やかに新たな予算を確保して、中和処理等の調査・検討を行い、その結果を踏まえて適切な対策工事を実施する。
  3. タールピッチ及びベンゼンの湧出防止対策として、仮締切矢板は引き抜きを行わず、水中切断を行うこととする。なお、船の航行等の支障とならないよう浮標(ブイ)を設置する。
  4. 今回の工事区域は、新たな予算が確保され、強酸性タールピッチの適切な処理を行った後もベンゼン等の土壌ガスについて継続調査を実施し、安全が確認されるまで一般開放は行わず、立ち入り禁止の措置を講じる。