誰も知らない、長野県有数の・・・。
 〜蜂ヶ沢砂防学習公園〜


 長峰山山頂で、竹之内先生とお別れをしました。大変有意義なお話ありがとうございました。

もし、個別で竹之内さんのおられるフォッサマグナミュージアムに行きたい方は、下記の場所に
ありますので、是非訪れてみてください。

フォッサマグナミュージアム
941-0056 新潟県糸魚川市美山公園
TEL 025-553-1880・FAX 025-553-1881

※休館日


 さて、「アルプス紀行」会員の皆さんは、長峰山を下りて、明科の「蜂ヶ沢」というところに行きます。

 この「蜂ヶ沢」というところは、県内でも有数の天井川です。

 「天井川」っていうのは、山からの流出土砂でが下流の川底に貯まって、人が住んでいる大地
より高くなってしまった川を言います。ということは・・・。人が住んでいるところより川底が高いの
で、雨が降ったときはすぐ、土砂が脇へ流れ、人々を襲うのです。

 今では、この「蜂ヶ沢」は、キチンと整備され、人々が住むところより、下に川が流れていますが、
その跡は今でも残っており、長野県の「蜂ヶ沢砂防学習公園」と名前をつけ、一般の方々に開放
しています。

 皆さんが立っている場所が、旧蜂ヶ沢の水路です。皆さんの向こう側に見えるのが犀川ですね。

 昔は犀川まで流れるには、国道19号線があり、蜂ヶ沢は、道路の上を流れていました(下写真)。まるで、ローマの水道橋のようです。

 皆さん、ここの天井川について、あまり知らなかったようです。(左斜め写真は現場での解説を行っている写真)


ちなみにこんな写真もあります。

 左の写真は、蜂ヶ沢の下を流れる「五ヵ用水路」です。

 この地域に住む方は、この用水がなければ生活できませんでした。犀川は近くにあるのですが、自分たちの住むところまでは、水を引けなかったからです。なので、蜂ヶ沢から来る土砂によって、この用水路が埋まることのないよう常に蜂ヶ沢を見張っていたそうです。

ちなみに蜂ヶ沢というのは、普段は水は流れていません。雨が降ったときに、大量の土砂とともに下流に流れてくるのですが、水がない分、雨が上がると、土砂だけが残るので、こういうところからも天井川が発達する理由のようです。

右写真は、蜂ヶ沢の奥の奥にある砂防です。砂防えん堤が木や土砂で埋もれています。砂防えん堤は埋もれてからがその機能を発揮すると言われています。ちなみにこの砂防は昭和時代に作られたものです。内務省直轄で作られた砂防えん堤はもう土砂の下に埋もれてしまいました。
 牛伏川のえん堤のように、明治時代の砂防えん堤が残るのは稀だそうです。

●蜂ヶ沢の天井川の災害防止の砂防事業の歴史がよくわかった。長野に行くときにこの天井川の下のトンネルを良く通過していたが上が、天井川とは知らなかった。
●蜂ヶ沢の上流は大穴山礫岩層と呼ばれ、結度の不良な柔らかい礫岩層で構成されており、崩壊が激しく、そこから流れ出た土砂により下流地区を分断し、最大高さ20メートル最大幅60メートルの県下でも類を見ない大天井川でした。目で見て歩いてみて、本当に住宅との落差はすごいなと思い、また砂防ダムの重要性を感じました。
●明科にこのような砂防公園があることも知らずにいましたので、案内していただき感謝しております。山の多い長野県、特に松本地域は砂防ということが大切なのだとよく理解できました。
●ここでの学習の中で、砂防はその地域の住民を地すべり、土石流などから守るだけではなく、本流域下流の町、当時では舟運さらには港を土砂で埋めないためにも役立っていることに、砂防の大きな役割を学ぶことができました。20年位前に毎日程、見慣れ通行していた場所に、一目で天井川の見本みたいな場所であることに気がつきませんでしたが、今回の見学にびっくりしました。またこの地域に暮らす人々の、雨が降るたびに恐い思いもしただろうなと思いましたし、自然が長い時間により、こんな現象になっていくのかとあらためて時間と自然の力というのを感じました。
●仕事上、国道19号明科地域もよく通っていました。天井川があることは知っていましたが、なぜどうしてここにあるのか、今回の講座を受け、答えを見つけることができました。本当にありがとうございました。自然の定めに所詮、人間勝つことなどできませんが、砂防工事は全精力を費やして危険な箇所に立ち向かい、人間、動植物の生命と財産を是非守ってください。余りにもスケールの大きな事業と実感いたします。
●「天井川」は知識としては知っていたが、実際に見学して民家のある位置と河床の高さとの差にびっくりしました。外国のように広い土地であればこのような危険な場所で生活することはないのでしょうが平地の少ない日本だからこそ、川を人の力で封じ込めて自分たちの生活を守る技術が発達したのだと感じました。
●世の中、知らないことが多い中、蜂ヶ沢も無知な場所でした。自分で探して調べる事より知っている人に教えていただくことがなんと楽なことかと思う。(楽をすると覚えられない・・・?)