いいでの伝説

『笠地蔵』(小国町)

 むかしあったけど。
 むかしの人ぁ、ゴザ織ったり、笠作ったりして、小国の町さ売り出して暮し立てったもんだ。それ、弥蔵というおじいさんとおばあさんがいて、おじいさんが、そのゴザと笠売って正月の買物して来るて言って行ったど。
 叶水の向うに子持峠というどこある。そこまで行ったら、地蔵さまが正月頃だから、みぞれに打たれて寒そうにしていたど。おじいさんが売るつもりのゴザを地蔵さまに着せて、売るつもりの笠をかぶせて家さ帰った。
  「ばさ、ばさ、子持峠まで行ったば、地蔵さまが寒そうにしったから、ゴザ着せて、笠かぶせてきたわ。正月の買物は何も出来なかった」こう言うた。と、ばさま、「ええがった、ええがった。おれたちはこうして家にいるから、二人で話して何もない年夜をしたわけだ。むかし年夜根っこ、年取り根っこと言うて、割れない木をくべたものだ。その根っこで背中あぶりして二人で寝んべ」て、寝たど。そうすっど、音聞こえた。「ヤンゾウの屋形ざどこだべな。エンヤラサ、ドッコイショ」 て、村の若衆、何、ふざけていんなだか、て二人で語っていたど。そのうちに、「ここだ、ここだ」 て、戸を開ける音して、ガラガラ、何か土間さ入れて行った。そして元日の朝げ起きてみたら、着物から、アキアジ(鮭)だのいっぱい御馳走あったど。地蔵さま恩返しに来たなだなと言ったど。 むかしとーぴん

おわり
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