いいでの伝説

『サルが城の猿の話』(小国町)

 今は、もうずうっと昔のお話です。
 飯豊登山口<長者原>の<サルが城>という山には、その名の通り昔は、何千匹という猿が群がって遊んでいたということです。
 ある日、村の子どもらが、大勢で ふもとの河原に行き、「誰か一人地蔵様になんぜー。」と言って遊んでいました。そんなことをしている内に、地蔵様になって立ち続けている仲間のことをすっかり忘れてしまい、みんなはそれぞれ家に帰ってしまいました。
 まもなく、<サルが城>に住む猿が大勢つれだって遊びにやってきました。そして、「おや、ここに地蔵様いた。」と、さっきから立ち続けていた子どもを見つけて言いました。
 猿たちは、ずっと前から、自分達も人間のように地蔵様が欲しいと思っていた所なので、さっそく藤づるで籠をつくり、それに乗せてつれていきました。かついで川を渡る時、「猿のケツぬれても地蔵様ぬれんな。つんつくつんつん。」と、おもしろい節をつけて、歌いながら行きました。
  <サルが城>に着くと猿達は、小屋をかけて地蔵様の子どもを置き、山からいろんなめずらしい果物をとってきて、それで猿料理をつくって供えました。「また川遊びに行ってくっから、地蔵様留守番しててくれよ。」と言って、猿達は再び川に行ってしまいました。
 みんな出かけた後、地蔵様になった子どもは、目の前に供えられた猿料理を、すっかり背負って家に逃げ帰りました。「おれ、サルが城さ行って、地蔵様の真似しったら、こんなにいっぱい猿料理もらってきた。」と言って、近所の子供らみんなに見せました。そしたら、「おれがこんど地蔵様になる。」と、欲の深い子どもの一人が言い、川原に行ってそのようにしていると、やっぱり山から猿達が大勢つれだってやってきました。「あらあら、おら家の地蔵様、水遊びに来った。早くつれていくべー。」と、さっそくみんなでやまにつれていきました。
 かついで川を渡る時、「猿のケツぬれても地蔵様ぬれんな。つんつくつんつん。」と、おもしろい節をつけて、歌いながら行きました。
 それを聞いた欲の深い子どもは、自分が地蔵様になっているのも忘れて、くっくっと笑ってしまいました。猿たちはこれを聞いて、「こんなもの、生き地蔵のにせ地蔵だ。」とバリバリひっかいて、川の中にどぶんと投げ込んでしまいました。
 猿たちはこんなことをして毎日楽しく遊び暮らしていたのだそうです。
 <サルが城>の中腹には、その昔猿の頭が住んでいたという大きな岩穴が今でもあります。また、小さな祠もあります。

おわり
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