崩壊土砂の上に立つ
〜平岩葛葉峠にて〜

 長野県の小谷村と新潟県の糸魚川市のほぼ境に位置する平岩葛葉峠。

ここは、約500年前に隣の真那板山の頂上付近から崩れた土砂でできたところであると言われています。

 崩壊土砂の上に立って真那板山を見ると、本当に迫ってきそうな絶壁な山です。
当日は残念ながら真那板山の頂上付近は見ることができませんでした。

朝方晴れていた天候は、徐々に曇ってきて、ついには雨が降ってきました。
まるで、我々にその崩壊姿をわざと見せないような神秘にも似た
様相になってきました。

 左の写真は、当日の風景です。写真上部には雲がかかっているのが見えます。当日の真那板山頂上の付近を写した写真は用意できませんでしたが、曇っていて頂上の様子が見えないのがなんとなくわかるのではないでしょうか。

 右の写真は晴れていたときの真那板山です。
崩壊当時どこの部分が崩れて来たのかは想像でしかありませんが、写真中央にある沢の上部付近がそっくり落ちたのではないかと考えられています。
 
 今では、昔と山の形も変わったので、当時の山はどんな姿だったのかは想像もできません。きっと今より高い山だったと思います(-_-)。

 平岩葛葉峠は、崩壊した土砂でできたと考えられています。

 つまり、その場所はただ、土砂がおいてあるだけの場所であり、その山肌は大変崩れやすくなっています。

 また崩れた土砂が、姫川をふさぐ可能性がありますので、私たちは山腹工という工事を平岩葛葉峠で行っています。

 山腹工というのは、簡単に言えば崩れやすい山の表面に木々を植えることによって山肌を安定させるということです。(下の段に続く。)
 実際には、できた木を植えるのではなく、種から植えて、しっかり根が張るように施工していきます。
また、ここでは大変もろい山肌なので、人ではなく、機械のみの「無人化施工」行っております。


 写真では見えにくいかもしれませんが、マイクを持っている人が、ここ小谷村の北部や新潟県の糸魚川の現場を監督している細川建設監督官です。


●自然の大きな恐ろしさを感じ、防げるのかなと思った。
●これだけ激しく崩壊した場所に緑がよみがえるにはどれ程に年月がかかるのでしょうか。山腹工の効果が一日も早く現れることを祈ります。
●山間部で川幅が狭く蛇行した川で大崩壊があれば土砂堆積物で天然ダムが出来る。実際におきた例の地域であり、ダムになった側も下流も決壊する恐れもありいずれにしても砂防の大切さがわかりました。
●気のとおくなるような事業ですね。全国にもあるのでしょうけれどこんな所に税金を使っていただきたい。
●これほど土砂が流れて川を塞き止めるなど今まで考えたこともありませんでした。自然の恐ろしさをあらためて感じたものです。災害が起こってからの手当しかないものなのでしょうか。
●増水による川岸が浸食されることの「すごさ」に驚きました。防災工事の苦労と大切さを実感しました。
●昔、海水浴に通った葛葉峠の大仏様の近くでこのような大工事が行われているとは全く知りませんでした。長い目では勝ち目の無い大自然との闘いも、そこに人の生活があり、各種インフラがある限り、最善の努力をし荒ぶる自然を少しでも穏やかにしていく人間の知恵と努力が行われていることをこの山腹工の他にも一連の現場を観て感じました。
●私の父が青年だった頃、小谷近くで仕事をしておりやけにそのあたりについて詳しく、私が子どもの頃からよくあそこは怖い山だ。あのあたりの山は年中崩れているようなことを聞いていました。平成7年は私は県外に住んでいましたがテレビのニュースを観て納得したり、驚いたりしたものです。工事はまだまだこれからという感じがしましたが、早く完成させていただきたいと思いました。
●川幅がなくて対岸が45度以上の地形であり50年に一回くらいは大災害が来る。川も山も常に生きて進化して水を流し土砂を流し変化して成長して行く。
●新国界橋の新緑と紅葉はすばらしい景観なので峠側の改修工事が完成することを願うだけです。展望台ができればすばらしい観光スポットになるのでは!
●国道148号を通たびにあの崩れはなんなんだろうかと思っていましたが、その現場に行くことができて実感できました。もろい斜面の工事は大変でしょうね。
●この崩壊は背筋の寒くなるものがあった。この崩落したとてつもない大きな崖をいかに緑で固定させていくか息の長い砂防という仕事の大切さと難しさを実感した。
●ふだんドライブ途中に国界橋の慰霊碑に立ち寄り眺めていた真那板山の崩壊を峠から(上から)観ることができた。今にもさらに崩れそうな広い斜面を環境に配慮し緑化することで「砂防する」という考えに驚くと同時に人にも自然にもやさしいなぁと感心した。
●当該地は高低差が大きく、対岸を含め現在でもいつ崩れるか判らない危険箇所と痛感した。上から緑化面を見ると、多少とも谷側へ滑っている様子があり、工事の危険性を感じた。安全に工事が終了することを願わざるを得ない。