提供:新潟県
1974
新潟焼山
火山災害

火口群からの水蒸気爆発

新潟焼山は1974(昭和49)年7月28日2時50分頃、山頂付近の割れ目の火口群で最初の水蒸気爆発を起こし、その後3時8分頃から1分間隔で3度の爆発を繰り返した。噴石が半径800mの範囲に落下し、高山植物調査のため付近でキャンプをしていた大学生3名が死亡した。
噴出した火山灰は推定約65万tで、山麓の上越市、新井市(現妙高市)の市街地や田畑には真っ白な灰が積もり、160km以上離れた福島県まで到達した。北麓の早川流域では土石流が発生、農業用水や発電所に被害が出た。

マグマ噴火、水蒸気爆発
火砕サージ、火砕流の痕跡も

新潟県西部、2,000m級の山々が連なる西頸城山地にある新潟焼山は、約3,000年前の縄文時代末期頃に生まれた若い火山。山麓には多くの火砕流や土石流の堆積物があり、火山活動が始まった当時はマグマ、火山灰、火砕流、溶岩流を活発に噴出していたと考えられている。
その後、今から1,000年ほど前になると焼山誕生以来最大規模の噴火・爆発が起こった。山頂部付近からマグマが噴火、溶岩流は火口から約6.5kmまで流れ下り、火砕流は早川の谷を下って日本海に到達したと考えられている。この間度々発生した火砕サージは、噴火などの際に発生する高温の爆風で、火砕流と比べて火山ガスの濃度が高いため時速100km以上になる。
この後も14世紀、18世紀に中規模以上のマグマ噴火があったが、それ以降現在まで250年間は、水蒸気爆発が断続的に発生している。

提供:新潟県

監視強化の火山に選定
噴火で融雪出水の危険性も

2009(平成21)年、気象庁の火山噴火予知連絡会は、新潟焼山に関して「近年噴火活動を繰り返している火山」として、災害軽減のために監視活動を強化すべき火山に選定した。
現在山麓には地霙計、傾斜計、空振計、土石流監視センサー、監視カメラなどが設置され、火山活動を24時間体制で監視している。また、平成25年には国の関係機関と関係自治体、有識者が連携する「新潟焼山火山防災協議会」を結成。火山活動の活発化、噴火爆発に備え、防災・減災への体制を強化した。
焼山は豪雪地帯にあるため積雪期に噴火があると、それに伴って大規模な土石流や泥流が発生する危険性があり、焼山北方の火打山川、焼山川に砂防えん堤を整備し備えている。

■ 新潟焼山火山災害の概要と被害

発   生 1974(昭和49)年7月28日2時50分頃
噴火場所 山頂部割れ目火口群
火山活動 28日未明に割れ目噴火の水蒸気爆発。火砕物降下、泥流。降灰65万トン
死   者 3人

参考文献:[気象庁(HP)] 新潟焼山 有史以来の火山活動
※市町村名は震災当時