ほくりく学ぶくん通信
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「大人はすべて町の先生」“手取川プラン”で、町ぐるみの総合学習を推進―石川県・川北町―
 「学校」だけが学ぶ場所ではない。いつでもどこでも「学ぶ」機会がある――。こうした考え方が底辺に流れている川北町における総合学習は、学校や教師単位ではなく、町全体の取り組みとして進められている点に大きな特徴があります。
 その柱は、「手取川プラン」と呼ばれる年間計画案に沿って総合学習が行われていることです。これは学校、教育委員会、そして町内の学識経験者によって組織された手取川プラン策定委員会が中心になって作成したもので、学校が行う「学校教育」と公民館による「社会教育」を基軸に、「成人教育」「女性教育」「高齢者教育」も盛り込まれた総合的な教育プランです。
「学校教育」のプランでは各学年にわたり手取川をテーマとした学びのメニューが用意され、目当てやヒントが詳細に書き込まれています。教師はここからテーマの取捨選択をして総合学習を進めていきます。「社会教育」のプランでは年間17回のイベントが計画され、学校での総合学習プランを間接的に支援しています。つまり、学校が行うべき総合学習と地域社会が行うべき総合学習との役割分担を狙っているわけです。
 ここで特筆すべきことは、「手取川プラン」は学校や行政の発想で生まれたものではないことです。その原点は、平成2年のまちづくり基本構想において方向性が示され、平成6年の町民会議で具体化されたもので、「地域に密接な関わりのある手取川を教材にできないか」という地域住民からの提言でした。それを元に町内の小中学校が連携し、町が協力して生まれたのが「手取川プラン」という総合学習プランだったのです。それだけに「大人はすべて町の先生になり得る」という考え方の下、人口5千人の町でありながら、およそ14分野100名もの人材が"町の先生"として登録されています。
 総合学習において川北町には過去8年間もの下地があります。手取川プランも多彩で、成熟した内容になっています。川北町の総合学習は、地域とともに歩み、実践されてきた注目の先進事例といえそうです。
かつては「危ないから川に立ち入ってはいけない」といわれていた手取川も、いまでは授業に鮎つりが取り入られらるなど、教材として積極的に活用されている
 
国土交通省北陸地方整備局