ほくりく学ぶくん通信
ほくりく学ぶくん通信
川を見直して、川から学べ!川とともに地域がある“発見”と“学び”の宝庫を活用しよう
当たり前の素材(かわ)から、新しい発見を促す“気付き”の機会をいかに生み出していくのか
事例2 富山市立東部(とうぶ)小学校
「感じのいい町にしたい」そんな子どもたちの素朴な思いからはじまった
一つの素材から学びを発展させる
 富山市立東部小学校の6年生は、昨年の総合学習の時間で「地域環境」をテーマに、さまざまな切り口から東部校区の生活環境にアプローチしました。その中で、水辺に目を向けたグループが取り上げたのは赤江川。川と川周辺を探索して気になったところはデジタルカメラで記録し、感じたこと、思ったことを発表して意見を出し合いました。結果、子どもたちは「魚がすめる川に」「ゴミのない川に」「護岸工事の特徴」という3つの論点を導き出し、国土交通省富山工事事務所の職員による映像資料を主体とした説明を聞いたり、富山市役所河川港湾課に手紙やFAXで質問を投げかけたりするなど、行政の支援を受けながら自分たちにできることを探りました。
 活動内容は多岐に渡り、赤江川探検の際のゴミ拾いはもちろん、いろいろな川や池の水質を調査してpH値やCOD値を比較しました。また、生き物がすめるよう川底にブロックを設置したり、植物が生育するよう配慮した護岸工事の特徴も把握。それぞれの環境に固有の食物連鎖があることについても学びとり、赤江川というひとつの素材から自然の仕組みを知る、発展的な学習を実現させました。
行政の情報を利用し、独創的な学習を
 現在、赤江川グループは、5年生のときの学習を活かし、活動拠点を学校近くの『夢の森公園』の池に移してビオトープづくりに励んでいます。目指すのは、自然の浄化作用による池の環境改善。『夢の森生き物増やし隊』と称して、大量発生したアオコをとったり、増えつづける鯉を中庭の池に移したり、赤江川など東部校区にいる在来種を放して、池がもっと多くの生き物で賑わうよう活動をつづけています。さらに、こういった活動を後輩に引き継ぎ、また、地域に広めたいとの考えから、ゴミ拾いへの参加を呼びかけたり、活動紹介のミニコミ誌を発行して、地域のネットワークづくりにも力を注いでいるのです。
 担任の和田雅子先生は、「今回、生徒たちがスムーズに学習を進められるよう各行政機関にたくさんの支援をいただきました。総合学習において、子どもたちの視点を大切にした独創性ある学習を成功させるためには、地域の皆さんの力を借りることも必要です」とおっしゃいます。地域との協働作業の中から、自然との共生のあり方を探るネットワークを創りあげた東部小学校の子どもたちは、今いきいきと「総合学習」に取り組んでいます。
地域の人たちと協力して鯉の間引きをする子どもたち
赤江川グループの子どもたちと和田先生
みんなでつくった森の夢公園ビオトープ
 
国土交通省北陸地方整備局