偉業と人間像

『今でも夜中に強い雨が降ると目がさめます。長い間の習慣で川は大丈夫だろうかと思うんです。』

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昭和31年、第9回中部日本文化賞受賞のインタビューに対して、橋本規明(のりあき)氏はこんなふうに語っている。戦後、北陸の荒れ果てた河川を見事再生させた功労者の重みのある一言である。

橋本氏は、昭和21年から27年まで富山工事事務所長をつとめ(23年から25年は黒部工事事務所長を兼任)、改修事業を指導的に推進し、急流河川に対応した独自の工法を多々発明した人である。
がっしりした体格に坊主刈り、周囲からは誠実、質素、親しみやすく、飾り気がない人柄と評され、人望も厚い快い男子ある。

以下、橋本氏の歩みを振り返り、後世に残した偉業の数々を紹介していこう。