阿賀野川の流域紹介

流域における水利用

阿賀野川の流況

 阿賀野川流域の年間を通じた流量は国内の大河川の中でも最も安定しているといわれています。流域面積としては3分の1に満たない只見川は豪雪地域を流域とするため、阿賀野川の総流出量の約半分を占めています。
 阿賀野川流域の流況の特徴として、雪解け水が流出する春季に最も多くの流出がみられることにあります。一方、日橋川・南大橋地点では、流量は多くないものの、一年を通して流量が安定しているのは、猪苗代湖の流出量がコントロールされているためです。
 この豊富な阿賀野川水系の水は、流域内において様ざまな水利用がされるとともに、猪苗代湖から導水している安積疏水など、流域外への流出量も少なくありません。
 阿賀野川の総流出量には、馬下地点の流出量132億m3に、阿賀野川頭首工の取水量5.5億m3と早出川の流出量7億m3を加え、さらに流域の外に導水される安積疏水と羽鳥ダムの導水量1.9億m3を加えており、約146億m3と推定されます。

流況概要図

水利用の概況

 阿賀野川流域の水利用は、安定した流況を背景に、発電用水の利用が圧倒的に大きいのですが、かんがい用水としての利用もかなりの量に及んでいます。上流会津盆地を主体として馬越、富川頭首工や宮川ダム、新宮川ダム、及びそれと関連する頭首工群等で、最大取水量約113m3/sにより約35,000haの農地を潤しています。これには流域外に供給している安積疏水や羽鳥ダム関連のかんがい用水約21m3/s(約11,000ha)を含んでいます。
 下流の越後平野を潤すかんがい用水に対しては、阿賀野川頭首工の最大取水量約43m3/sを始めとする13件、合計約63m3/sをもって約19,000haの農地を潤しています。
 また、水道用水については、会津盆地の市町村及び郡山市に対し、約2.9m3/s(7件)、下流の新潟県に対しては、新潟市、阿賀野川市等の沿川市町に対し、約3.8m3/s(9件)の水利権量が設定されています。
 工業用水については、新潟東港臨海工業地帯への供給が大きく、流域全体で6件、水利権量約4.1m3/sを供給しています。

  かんがい用水 水道用水 工業用水
  件数 最大取水量(m3/s) かんがい面積(ha) 件数 最大取水量(m3/s) 件数 最大取水量(m3/s)
阿賀野川 13 63.315 18,960 9 3.825 4 3.804
阿賀川 50 112.783 35,129 7 2.936 2 0.333
63 176.098 54,089 16 6.761 6 4.137