ほくりく学ぶくん通信
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vol.15 相手の立場になって考える福祉を身近に感じる「交通バリアフリー体験」
高齢者や障害者の視点で道路を歩き、バリアフリーを学ぶ
いつもと違う感覚で歩道を歩く
点字ブロック体験
杖を頼りに恐る恐る点字ブロック上を歩く
初めて乗る車いす
初めて乗る車いすにみんな大騒ぎ
  「そっちはあぶないよ!」、点字ブロックがとぎれる歩道から男の子の一人が、車道にはみ出てしまいました。本当の道路だったらクルマと接触していたかも知れません。ここは新潟市の北陸技術事務所内にある体験学習パーク「ほくぎひろば」。技術や環境、福祉、防災、情報などを広く住民の皆さんに紹介する施設です。ここで、新潟市立潟東南小学校の4年生が7月8日にバリアフリー体験学習を実施しました。
 当日は「視覚障害者体験」「車いす体験」「高齢者体験」の3つのコースが用意されました。
 視覚障害者体験では、アイマスクで目隠しして、片手には杖を持ち、介助者とペアになり歩道を歩きます。先頭の児童が介助者と点字ブロックを頼りに恐る恐る歩き出しました。普段なにげなく歩いている歩道も、目が見えないと路面の小さな変化がバリアとなります。ちょっとした段差や道端の障害物が怖くなって立ち止まってしまいます。いつも歩き慣れている道路でも、気付かないところにさまざまな工夫がされており、歩道と車道の段差は歩行しやすいように2cmの段差にされていること、点字ブロックのスムーズな配置や音声案内による誘導がされていることなどを学びました。
 車いす体験ではいすに乗る人と押す人とがペアになります。ほぼ全員の児童が初めて車いすに乗ります。歩く時には、気にもしない道路と歩道の小さな段差や、歩道の傾斜がバリアとなります。段差を越えるのは思った以上に力が必要で、数cmの段差を越えられずに悪戦苦闘する児童もいました。
 高齢者体験では、視界がぼやけて色の違いが認識しにくくなる白内障ゴーグル、耳には音をさえぎるヘッドホン、手足の関節を固定するサポーター、足首には重りを装着し、杖を片手に歩道を歩きました。手足が曲げにくくなるので、大きな段差の上り下りがしにくくなります。歩道の見えにくさ、音の聞こえにくさも歩きにくい要素になることに気付いてくれたようでした。
白内障ゴーグル体験
白内障ゴーグルをつけると色の違いがわかりにくい

「相手の立場に立つ」視点を得る
 潟東南小学校では3年生から6年生まで、福祉に関する総合学習を進めています。福祉の学習を始めたばかりの4年生の子供たちは当初、障害者を単純に「かわいそう」と他人事のように見るだけでした。先生は、そんな子供たちの意識を少しずつ変えていきたいと考えました。障害者をとりまく環境を理解し、「不便だけど不幸じゃない。」障害者の立場に立って自分たちに何ができるのか。相手の立場に立って考える視点が欲しいと、先生は感じていました。
 4年生では福祉学習の導入として、体験的な学習に力を入れています。これまで、学校近くの道路で点字ブロックや信号機の観察を実施してきました。しかし、ここまでの学習では、障害者や高齢者が実際にどのように感じているのかを実感できず、相手の身になって考えるまでには至りませんでした。バリアフリーに関する専門的な知識も足りません。
 そんな時、先生は、学校に配布されたパンフレットを見て、「ほくぎひろば」の体験コースに申込みしました。バリアフリーを体験的に学習する内容は、そのまま総合学習の目的に沿い、従来の学習で足りなかった「相手の立場に立つ」学習となるものでした。学校では今後、今回の体験学習で学んだことを受け、老人ホームの慰問やボランティア活動によるふれあいで、福祉問題をより身近に感じる学習を進めていくそうです。


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国土交通省北陸地方整備局