まずは“気付き”のアプローチから |
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稚松小学校5年生の1学期、総合学習の授業は「田植え」から始まります。実際に田に入り、児童たちは泥まみれになりながら苗を植えていきます。濡れ手で頬にはねた泥を拭いながら気づくことは、田んぼに満面としている水の存在です。
「この水はどこから来るのだろうか?」。
田植えが終わると、学びのステージは田畑に水を供給している農業用水路に移行します。田んぼから用水路を歩きながら学習を進めるうちに、児童たちがたどり着く先はノ。そこではじめて、5年生の総合学習の本舞台となる梯川に出会うのです。
梯川は一級河川ですが、見た目は大河という趣ではなく、流路延長も42kmと短い川です。しかし小松市民にとっては、まちに潤いと彩をもたらす、生活環境になくてはならない存在です。その梯川を、稚松小学校が学習の教材として取り上げるようになったのは5 年前のことです。
当初の学習テーマは川の環境問題でした。その後、学習指導要領の改訂で理科の「流れる水の働き」を教えるのが4年生から5年生に変わり、総合学習の時間も始まるようになったことから、内容も環境、治水、歴史、設備へと広がりました。昨年度からは梯川を管理する金沢河川国道事務所小松出張所からの応援も加わり、「流れる水の働き」と「治水」をテーマにした校外学習は充実度の高いものになっています。 |
科学的思考力をどう高めていくか |
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稚松小学校は、「解決する力を育む」をテーマとして、2年前に総合的な学習の公開授業を行ないました。しかし、「梯川」と出逢う子供たちは、毎年違います。学習プログラム
もマンネリ化してはいけません。目の前にいる子供たちに、梯川と新鮮な出逢いをさせ、「なぜ?」「ノしたい」と意欲に満ちた学習活動が展開されなければなりません。今回、「梯川」の総合的な学習を深めるためには、理科の学習「流れる水のはたらき」との関連がとても重要になってきます。特に必要なのは、理科においての実験・観察の能力と科学的な思考力の育成です。洪水の怖さや大変さを知った子供たちは、洪水にならないためには、川はどうあらねばならないのか、一人ひとり仮説を持って実験に望みました。今回の実験は、その仮説があっているかどうかの検証なのです。実験で得られた結果などから、子供たちの科学的な思考力が高まることが期待されます。 |
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