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手取川の現状・課題と河川整備の目標

洪水による災害の防止・軽減

下流の一部区間で流下能力が不足しています
特に手取川大橋より下流では十分な河道断面となっておらず、洪水氾濫により甚大な被害が発生する恐れがあります。支川熊田川・西川の合流地点では手取川本川の水位によっては、外水氾濫による浸水被害が生じる恐れがあります。
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洪水による河岸侵食状況
(平成16年10月20日台風23号出水被災箇所 川北町舟場島地先 右岸4.6k付近)
急流河川の特殊性による堤防の危険性があります
急流河川であるため洪水の流れが速く、複雑なため、どこで堤防の侵食が発生するか予測が困難で、1度の洪水で堤防が決壊する危険性があります。さらに一部区間が天井川となっているため、氾濫流が扇状地末端まで拡散する危険性をはらんでいます。
河道内の樹林化が進んでいます
河道内の樹林化が進行すると、洪水の流下阻害や偏流の発生原因となる恐れがあります。また、巡視時の視界不良や、洪水時に流出した場合には河川管理施設や橋梁に悪影響を及ぼす恐れがあります。

ダム貯水池に土砂が堆積しています
現時点では問題はありませんが、手取川ダムの堆砂がこのままの速度で進行すると、計画よりも早い段階でダム機能に支障が生じる恐れがあります。
氾濫被害を軽減する必要があります
手取川の霞堤※は氾濫被害を軽減させる機能がありますが、その機能が低下している箇所があります。また急流河川のため、堤防が決壊すると氾濫域の拡大が速く、迅速な水防活動や警戒避難活動が必要です。ソフト対策とハード整備により、被害を最小化する「減災」を図る必要があります。
※霞堤の説明は、手取川水系河川整備計画の施工箇所と整備内容をご覧下さい。
土砂移動が激しく河道内の変化が顕著です
急流河川のため洪水による土砂移動が激しく、河道内の地形の変化が顕著です。下流部では土砂の堆積により河道断面不足などが生じていますが、これらの土砂移動に関するメカニズムはまだ解明されていません。
昭和9年手取川大洪水

昭和9年7月11日に発生した大洪水では堤防が数カ所で決壊し、97名の人命が奪われ、2,113町歩の耕地が土砂により埋没しました。流量は既往最大の4,100m3/sec(鶴来地点:推定)を記録し、被害額は当時の金額で約2,250万円と算定されました。

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大洪水の強大なエネルギーを示す手取川大洪水の爪跡。堤防を越え川北村を直撃した流れが分かる当時の航空写真。
出展:尾添川直轄砂防事業 五十周年記念誌
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河川の適正な利用と流水の正常な機能の維持

河川水、地下水とも多方面に利用されています
手取川の水は古来、農業用水や水力発電に利用されているほか、石川県全人口の約8割の上水道用水として利用されています。また、手取川扇状地の地下水は水道用水、工業用水など多くの水源になっています。
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手取川ダムの維持流量放流前
(平成13年8月)
水利使用や渇水により減水する区間があります
発電取水による減水区間は大幅に改善されましたが、依然として減水している区間があります。渇水時には扇状地特有の河床状況により、流水が伏没する瀬切れが発生することがあります。
水質は概ね良好です
河川水の有機汚濁の指標であるBOD※1(75%値)は、全川にわたり環境基準値を満たし良好な状態ですが、SS※2および大腸菌群数は環境基準値を満たしていない場合があり、生息生物や利水などへの影響が懸念されています。
※1 BOD(生物化学的酸素要求量)
 好気性微生物が有機物を分解するときに消費される酸素の量で、BODが高いと悪臭の発生などが現れはじめます。
※2 SS(浮遊物質・懸濁物質)
 水中の粒子状物質のうち、粒径が1mm〜2mmの含有量を示します。
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河川環境の整備と保全

石の河原が減ってきています
手取川は、かつて石川県の名の由来となった原風景である広大な石の河原が広がっていました。近年では河道の樹林化が進み、石の河原が減ってきており、石の河原に依存していた動植物の生息場が減少してきています。
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コアジサシ
多様な生物が生息しています
河口部では県内最大規模のコアジサシの繁殖地等、砂礫地を好む鳥類が繁殖していますが、樹林化の進行により繁殖地が限られてきています。本川では、渇水時の瀬切れや流水の減少による魚類への影響や、支川の湧水箇所に生息するトミヨの生息環境への湧水の減少による影響が懸念されています。
多くの人々に親しまれています
手取川の河川空間は散策や釣りに多く利用されているほか、小学校の環境学習や祭りなどにも活用されています。また、自然学習活動や、支川安産川でのトミヨの保護活動、手取川ダム湖でのカヤック体験教室なども行われています。
不法係留やゴミの不法投棄が見られます
河口部では多くのプレジャーボートが不法係留されており、洪水で流出した場合、河川管理施設を損傷や、河川利用を妨げる恐れがあります。また、水質の悪化が懸念されるゴミの不法投棄も見られます。