手取川の源流域と、普段眼にすることのない岐阜県側の白山を観察するため、観光新道〜平瀬道のルートで白山登山を実施しました。 赤いラインが特派員のたどった登山道です。 (石川県側のルートはこちらのマップでも確認できます。)
小雨と霧というあいにくの天気のなか、全員アノラックを着用して登山を開始しました。 5月17日に別当谷で発生した土石流で別当出合の砂防新道へと通じる吊り橋が流失、新しい吊り橋は7月24日からの開通だったため、観光新道を登りました。
ぬかるみが激しい登山道の状態。
別当坂分岐と殿ヶ池避難小屋中間にある仙人窟(せんにんいわや)。 この尾根の下には昭和9年7月の大雨で発生した大規模な崩壊の跡「別当大崩れ」があります。霧が深く、残念ながら確認はできませんでした。
殿ヶ池避難小屋から真砂坂(まさごさか)、馬の立髪を経て黒ボコ岩までの間は、高山植物が花を競っていました。
最後の難関である五葉坂を登って、室堂に到着しました。山頂も雨と霧で、特派員は明日の平瀬道踏破に備えてゆっくり休憩を取りました。
翌21日は5時30分に起きて御前峰山頂を目指しました。山頂もあいにくの雨で、霧の隙間からかろうじて剣ヶ峰を見ることができました。
室堂から御前峰山頂へ至る道の途中、地震計が設置されているのが見えました。 近年白山ではこうした地震計や雨量計、防災カメラなどを各地に設置して、光ケーブルを使ってリアルタイムにデータを送る、防災情報基盤の整備が進められています。
朝8時20分、室堂で記念撮影のあと平瀬道へ向けて出発しました。
コバイケイソウの咲き乱れる室堂平を進みます。コバイケイソウは数年に一度しか花を付けませんが、今年はとてもたくさん咲いていました。
平瀬道から見た、岐阜県側の白山の様子。谷の斜面は石川県側と同じく急峻ですが、大きな崩壊は見られず、緑が生い茂っています。岐阜県側の白山に砂防堰堤の必要が無いことが、このことからもわかります。
雨水の流れが登山道を浸食しています。人が山に入ることが、崩壊の一因になっていることを考えさせられます。
9時50分、大倉山避難小屋到着。コーヒーを淹れて休憩しました。
チシマザサとダケカンバの林の中を進みます。下方に白水湖(はくすいこ)が見えます。白水湖は1963年(昭和38年)に完成した大白川(おおしらかわ)ダムのダム湖です。
平瀬道も終盤に入り、ブナの原生林の中を進みます。近くに硫気孔(りゅうきこう・水蒸気とともに硫化水素や二酸化硫黄などが吹き出している場所)があり、硫黄の匂いがしています。
12時40分、終点の白水小屋(平瀬道登山口)に到着しました。 小雨と霧の中での登山でしたが、石川県側から見ているだけではわからない白山の一面を自分たちの目で確かめることができ、充実した研修となりました。