土砂災害の歴史

災害発生回数

グラフ

神通川流域では、江戸時代には元禄七年八月(1694.9)、安永元年六月(1772.7)の災害、安政五年二月二六日(1858.4.9)の飛越地震(角川地震)による崩壊等災害が多発しています。明治以降では明治22年(1889)7月、昭和28年(1953)7月に2度発生した外ヶ谷での大崩壊などの災害が発生しています。大正3年(1914)8月13日の災害、大正9年(1920)6月28日など甚大な土砂災害が発生しました。昭和の時代に入っても、昭和33年(1958)7月26日には蒲田川、平湯川での土石流の発生、昭和36年(1961)6月23日小糸谷での土石流の発生、昭和54年(1979)8月22日の洞谷災害など大きな被害を受けております。また平成11年(1999)9月台風8号、平成16年(2004)10月台風23号の災害は記憶に新しいものです。
10年毎の災害発生箇所の件数をみますと江戸時代は飛越(角川)地震の記録を含めた地震による土砂災害の件数が多くなっています。明治以降は降雨災害の記録も多くなり、1910~1919年代の件数が多いのは大正3年の災害の影響です。それ以外でも10年程度の間に五~十数件の災害が発生しており、災害が多発する地域であることが分かります。

神通川流域の災害年表

高山市上宝町、奥飛騨温泉郷 月日 飛騨市神岡町など
  1694
(元禄7)
9 高原川洪水 板橋(現藤波橋)流出する
飛信国境の割谷火山(焼岳の一部)東側に山崩れあり元文山成る 1737
(元文2)
4  
大雨 高原川 各河川大洪水被害多大 1772
(安永1)
7  
地震 飛騨一円 飛騨一円山崩れ多し 1847
(弘化4)
5.8  
地震 飛騨一円 山崩れで河流を塞ぎ、越中街道交通杜絶す 1858
(安政5)
4.9  
  1884
(明治17)
7.16 高原各川洪水 道路・農園の被害大
外ヶ谷右岸大崩壊状況写真 1889
(明治22)
7  
高原川、双六川、降雨により出水、桃原地区において家屋浸水 1890
(明治23)
7.19 高原川・山田川洪水 船津三本橋流失、牧ヶ平県道陷落、大島町、大津町、東町浸水、二階に達す
1896
(明治29)
7.21~7.22
  1899
(明治32)
9.8 大洪水六郎谷崩壊
  1903
(明治36)
7.9 高原川洪水 堤防破壊2ケ所、道路破壊2ケ所
2日間にわたる降雨により高原川氾濫して被害大 7.22 高原川洪水 最高水位9尺5寸(平水1尺5寸)船津、大島、東町堤防決壊被害大
降雨により高原川出水、飛騨一円に被害大 1910
(明治43)
7.7 東町で洪水 アワラ堤防決壊、東町一帯浸水、住家5戸流失、4戸半壊
  9.7 船津朝浦東町で洪水 被害戸数213戸、902人
  1914
(大正3)
8.13 高原川・山田川洪水 東町浸水家屋38戸、大島田圃流失、宮下橋 住家5戸流失、溺死者3名
高原川洪水、蒲田温泉、集落と共に流出全壊する状況写真 1920
(大正9)
6.28 東町で洪水 船津浸水家屋290戸、47戸流失、死者17人
  1922
(大正11)
7.5 山田川洪水 4戸流失、6戸半壊
硫黄岳(焼岳)大噴火、土砂流出、交通不能となる 1925
(大正14)
5.18  
  1932
(昭和7)
7.2 山田川洪水 大島護岸決壊
高原川洪水 宝橋流出状況写真 1935
(昭和10)
6.29 高原川洪水 アワラ・船津地区堤防決壊
  1945
(昭和20)
10.9 山田川洪水 住家4棟倒壊、浸水17棟、流出橋梁あり
  1952
(昭和27)
7.1 高原川洪水 アワラ堤防ほか決壊
連日の降雨により外ヶ谷上流に大崩壊発生、死者3名状況写真 1953
(昭和28)
7.23 高原・山田川洪水 アワラ・今町で堤防決壊
台風11号による集中豪雨、高原川大洪水状況写真 1958
(昭和33)
7.26 高原川大洪水 アワラ・数河地内の堤防決壊
6号台風に伴う集中豪雨により、小糸谷からの土砂流出による民家の埋没、洞谷の氾濫等被害甚大状況写真 1961
(昭和36)
7.1  
焼岳噴火、火口付近の山小屋で負傷者2名 1962
(昭和37)
6.17  
  1964
(昭和39)
7.8 数河で洪水 堤防決壊、阿曽布橋流失
集中豪雨により河川増水、護岸、堤防等の決壊、農地施設等被害大 1965
(昭和40)
7.14  
  1969
(昭和44)
6.30 上今町で洪水 上今橋付近決壊
集中豪雨により岩坪谷、トヤ谷において土石流発生 1975
(昭和50)
7.13  
洞谷で土石流発生、死者・不明3名、家屋被害52戸など被害大状況写真 1979
(昭和54)
8.22  
白谷に土石流発生、県道神岡・上宝線不通となる 1989
(平成1)
9.8  
左俣谷に梅雨前線豪雨による土砂崩壊発生 崩壊土砂量は約30万m3状況写真 1997
(平成9)
7.10  
左俣谷穴毛谷に台風8号による土石流発生 流出土砂量は約10万m3状況写真 1998
(平成10)
9.22  
  1999
(平成11)
9.15 宮川洪水 古川、宮川、河合等に被害
穴毛谷上流で166万m3の雪崩発生状況写真 2000
(平成12)
3.27  
  2004
(平成16)
10.13 宮川洪水 道路82ヶ所が崩壊
集中豪雨により、小鍋谷、外ヶ谷、白谷において土石流発生 2006
(平成18)
7.15~7.19