地震・火山による災害について
活動的な活断層が分布
神通川上流域に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い地震です。しかし稀に、南海トラフ沿いの巨大地震でも、被害が発生する場合があります。神通川流域には、境峠神谷断層帯、高山断層帯など発生確率がやや高い断層もあります。
安政五年飛越地震
安政五年二月二十六日(1858.4.9)、跡津川断層を震源とするM7.0~7.1の飛越地震(角川地震)が発生しました。規模の大きな地震が発生した場合、以下の様な土砂移動現象が発生する恐れがあります。
- 斜面崩壊・落石
- 大規模崩壊
- 地すべり等による河川の閉塞
中越地震で発生した土砂災害等(北陸地方整備局ホームページより)
-
地すべりと家屋の倒壊
河川の氾濫による浸水
-
斜面崩壊と孤立
地すべりによる河道閉塞
活発な活動を繰返す焼岳火山
焼岳火山では明治時代以降に数回の主な活動時期があり、単純に平均すると50~100年程度の活動頻度となります。さらに、焼岳火山周辺では数千年に一度は大量の溶岩が出て大きな山を形成するような活動もあります。このように焼岳及びその周辺では活発な火山活動が繰り返されています。
焼岳噴火の災害年表
685(天武14) | 三月、(略)是月灰零信濃国、草木皆枯焉(日本書紀) |
---|---|
1584(天正12)? 1585(天正13)? |
地震による(?)山崩れ 家屋300余埋没。「顕如上人貝塚御座所日記」に、十一月二十九日夜4ツ半時、大地震あり。焼岳が噴火したとの口碑もある |
1735頃(元文年間) | 割谷火山の東側に山崩れありて現今上高地温泉場所在地の西方に大なる「押出し」を造りたり(震災予防調査報告 第75号) |
1746(延亨3) | 「飛騨国中案内」に、硫黄岳大噴火して国中に大地震あり、溶岩は山麓の村、道路を埋め、神坂の古道(科乃坂)途絶えたり |
1899(明治22) | 外ヶ谷に大なる山崩れあり ……周囲約1里の池を作りたり この地変ありし頃より焼岳の噴煙漸次その勢いを強くし…(同上) |
1907(明治40) | 12月8日 噴火 新火口生成 降灰は西方より西南の35kmに達する 高山観測所では、降雪とともに降灰3分に達する |
12月11日 降灰は東方より東南の40kmに達する | |
12月23日 降灰 | |
1908(明治41) | 噴火、降灰 |
1909(明治42) | 1月20日 噴火、降灰 鳴動は西方6kmに達し、降灰は長野方面の75kmに達する |
3月10、12、13日 噴火、降灰 | |
3月23日 明治40年以降初めての大噴火 「降灰は北・東北にして、特に南安曇郡に多量なるを見る 頂上付近には径1m余の岩塊散乱し、中尾峠には径10糎の岩片地表をおおい、上高地にては径5粍の火山砂屋上に積もれるを見る(同上)」 | |
3/29、4/9、4/26、5/7、5/13、噴火、降灰 5/15、3月23日に次ぐ噴火 「灼熱せる溶岩、その噴出したる灰、雲に反照し…(同上)」 | |
5/28、6/1噴火、降灰 | |
1910(明治43) | 11/11、11/29、30、噴火、降灰 |
1911(明治44) | 5月、6月、7月 爆発、鳴動、降灰状況写真 |
1912(明治45) | 2~5月 降灰 |
1913(大正2) | 9月 噴火:鳴動、降灰 |
1915(大正4) | 6月6日 噴火:噴火直前に地震群発 山頂東側の海抜約1,900mの台地から山頂東側壁に達する長さ1kmの大亀裂を生じ、この底部に数十個の火口生成 爆風による倒木、泥流による梓川の堰止め決潰、洪水発生 大正池生成 同年7月小爆発 |
1916(大正5) | 3~4月 噴火:降灰 |
1919(大正8) | 噴火:黒谷火口生成 |
1922(大正11) | 噴煙多量 |
1923(大正12) | 6月26日 噴火:鳴動、降灰 |
1924(大正13) | 11月16日 噴火:降灰 |
1925(大正14) | 時々小噴火:鳴動、降灰 4月 爆発により泥流の被害多く、麓では飲料水濁って飲めず状況写真 |
1926(大正15) | 1月27日 小噴火 |
1927(昭和2) | 1月、4月 噴火:降灰 |
1929(昭和4) | 4月19日 噴火:鳴動、降灰 |
1930(昭和5) | 3月13日 噴火 |
1931(昭和6) | 3月、6月 噴火:降灰 |
1932(昭和7) | 2月6日 噴火:降灰 |
1935(昭和10) | 9月11日~12日 噴火:爆発後、有感地震 |
1936(昭和14) | 6月4日 噴火:降灰 |
1953(昭和23) | 7月上旬 地震群発 |
1958(昭和33) | 6月~9月 地震群発 |
1962(昭和37) | 6月17日 噴火:中尾峠側の山腹に長さ500mの割れ目(新火口)生成多量の噴石、降灰、火口付近の山小屋で負傷者2名状況写真 |
19日泥流 | |
1963(昭和38) | 7月~12月 ときどき小爆発や泥流 |
1~3月 ときどき小爆発:降灰、地震群発 | |
1968(昭和43) | 11月 地震群発 |
1969(昭和44) | 8~9月 地震群発 |