砂防施設の役割について

高原川流域の渓流では多くの施設が整備されています。これらの施設は、毎年少しずつ整備され、流域の各渓流では年々整備率※が上がり、土砂災害の発生が少なくなってきています。また、直轄砂防事業以外にも県で行う事業のほか、治山事業による効果も配慮し、効率的な施設配置計画を策定し施工を行っています。

※整備率:流出が予想される土砂量に対して施設設置により抑止効果が見込める土砂量との比率

土砂災害とは

大雨や地震によって山やがけが崩れたり水と混じり合った土や石が川から流れ出たり、火山の噴火などによって私たちに襲いかかってくる自然災害です。
家屋や道路を壊したり、ときには人の命を奪うこともあります。
主なものとして「土石流災害」「地すべり災害」「がけ崩れ災害」「火山災害」などがあります。

土砂災害とは

土砂災害を防ぐために

砂防堰堤を造るなど工事を行うハード対策と、ワイヤーセンサーなど警戒避難のために行うソフト対策を推し進めることで、土砂災害を防止・軽減しています。

土砂災害を防ぐために

いろいろな砂防施設

新技術で荒廃地に挑む!

立体格子堰堤
立体格子堰堤

施設設置箇所:足洗谷流域
平常時の出水によって流下する土砂はそのまま通過させ、常に土石流を捕捉できるよう貯砂容量を確保し、流下する土砂を調節する機能を持つ土石流対策用の鋼製立体格子型式の砂防堰堤です。

スリット砂防堰堤
スリット砂防堰堤

施設設置箇所:岩坪谷流域
堰堤に切りこみを設け、平常時には土砂を流して、下流の河床の低下を防ぐとともに、普段は空の状態を保つようにしておき、いざ土石流などで大量の土砂が流れ出した時に、その土砂を貯留します。

人と自然のふれあい砂防

景観に配慮したデザイン
景観に配慮したデザイン

施設設置箇所:蒲田川本川残流域
平常時には堰堤本体に設けた5門の大暗渠を通して土砂を水とともに下流に流すことにより、大洪水時の大規模な土砂の流出に対応できる堆砂容量を確保しておくことができ、火山噴火に伴う火山泥流等の一時貯留にも効果を発揮します。また、堰堤表面には修景型枠ブロック工法を採用するなど、景観にも配慮しております。

自然とふれあう交流の場
自然とふれあう交流の場

施設設置箇所:平湯川本川残流域
高原川流域・一重ケ根・村上・柏当地区を土砂災害から守る平湯川最下流の砂防堰堤です。この堰堤は、曲線で構成されており、柔らかな構造で周囲の景観に馴染むよう工夫されました。堰堤の上下流と左右岸を結ぶ通路は、遊歩道として利用でき、散策しながら堰堤の機能や堆砂状況を学習できます。

川岸の樹木を利用して氾濫を防ぐ
川岸の樹木を利用して氾濫を防ぐ

施設設置箇所:平湯川本川残流域
平湯川砂防樹林帯は、周辺の自然景観に配慮して、川岸などに生えている樹木や、植林した樹木を砂防林として利用するとともに、河床の転石を活用して河川を整備しています。川岸の侵食、土砂の氾濫などを防ぐことで、土地の安全度を向上させ、地域と一体になって潤いのある水辺空間を創出しています。

施設効果事例

災害発生日:
令和元年8月29日
降雨状況:
連続雨量145㎜(8月27日19時~29日22時)
時間最大雨量25㎜(8月29日3時~4時)
※焼岳(神通川)雨量観測所
発生箇所:
足洗谷(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾)
崩壊状況:
土石流捕捉量:16,100m3
(白水谷第2号砂防堰堤:4,800m3
(黒谷第2号砂防堰堤:11,300m3
状況:
8月29日の大雨により土石流が発生したが砂防堰堤が整備されており土砂及び流木を捕捉。
  • 位置図
  • 全景
白水谷第2号砂防堰堤

  • (土石流発生前)R1.8.28 17:35
  • 土石流の一部を透過型砂防堰堤が捕捉し堰堤が満砂状態となった

  • (土石流発生後)R1.8.29 7:05
黒谷第2号砂防堰堤

  • (土石流発生前)R1.8.28 17:35
  • 土石流により堰堤上流の立木が流出堰堤下流については立木が維持
    → 堰堤により土石を止めた

  • (土石流発生後)R1.8.29 7:05

焼岳(神通川)雨量観測所データ【速報値】


  • R1.8.29 2:00

  • R1.8.29 2:30

  • R1.8.29 3:00

  • R1.8.29 3:30

  • R1.8.29 4:00

  • R1.8.29 4:30
焼岳雨量観測所データ

白水谷第2号砂防堰堤が捉えた土砂量

白水谷第2号砂防堰堤(透過型)が土石流を捕捉した土砂量は、4,800m3

捕捉した土砂量は、渓流に沿って面的に計測したレーザ計測のデータを土石流発生前と後で重ねて、その差分により計算をしています。(下の図を参照)

  • 土石流発生前
  • 土石流発生後
  • 土石流発生前

    平成30年11月29日取得の航空レーザ計測データ
  • 土石流発生後

    令和元年9月20~26日に取得した地上レーザ計測データ

黒谷第2号砂防堰堤が捉えた土砂量

黒谷第2号砂防堰堤(不透過型:満砂状態)が土石流を捕捉した土砂量は、11,300m3

捕捉した土砂量は、渓流に沿って面的に計測したレーザ計測のデータを土石流発生前と後で重ねて、その差分により計算をしています。(下の図を参照)

○流木の発生も抑制

砂防堰堤により土石流のエネルギーを減衰させたことで、堰堤上流での渓畔林の流木化が顕著であったものの、堰堤の下流での渓畔林は比較的維持されていて、流木の発生抑制についても効果があったものと推察されます。

  • 土石流発生前
  • 土石流発生後
  • 土石流発生前

    平成30年11月29日取得の航空レーザ計測データ
  • 土石流発生後

    令和元年9月20~26日に取得した地上レーザ計測データ

砂防堰堤の働き

透過型砂防堰堤が土石流をとらえる働き


  • ① 川(渓流)ではいつも、水と一緒に土砂も流れています。

  • ② 透過型砂防堰堤を設けた場合でも、普段は、水と土砂は同じように下流に流れていきます。

  • ③ 大雨が降り土石流が発生したとき、大きな岩、流木などを含む土砂は、堰堤に引っかかり止まります。

  • ④ 堰堤にたまった岩、土砂や流木は、次の土石流に備えて取り除きます。

不透過型砂防堰堤が土石流をとらえる働き


  • ① 川(渓流)ではいつも、水と一緒に土砂も流れています。

  • ② 不透過型砂防堰堤を設けると、堰堤の上流側に土砂が少しずつたまっていきます。
    土砂をためる量を確保するため、取り除くこともあります。

  • ③ 大雨が降り土石流が発生したとき、堰堤は大きな岩や流木などを含む土砂をため、下流への被害を防ぎます。

  • ④ 堰堤にたまった岩、土砂や流木は、次の土石流に備えて取り除きます。

不透過型砂防堰堤が土砂の流れを調節する働き


  • ① 不透過型砂防堰堤は、土砂で一杯になっていても、効果がなくなるわけではありません。
    堰堤の上流側では、土砂がたまって川の勾配がゆるくなり、川幅も広がるため、水が流れるスピードも遅くなります。

  • ② 大雨と一緒に大量の土砂が流れてくると、川の勾配がゆるい堰堤の上流側で水のスピードが遅くなり、既にたまっていた土砂の上にさらに大きく一部の土砂が積もってたまります。

  • ③ 上にたまった土砂はその後、雨が降るたびに水の力で削られ、少しずつ下流に流れ出ていきます。(その後、大雨が降ると再び②のように大きく積もってたまります。)

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