観光拠点を土砂災害から守る~安全で安心な地域づくりの推進~(岐阜県高山市)
新穂高渓流保全工
奥飛騨温泉郷には、年間約100万人以上の観光客が訪れます。新穂高地区は、水源を槍ヶ岳(標高3,180m)に発する右俣谷と、水源を樅沢岳(標高2,755m)に発する左俣谷の合流点周辺で、新穂高温泉や新穂高ロープウェイが整備されており、槍ヶ岳・穂高岳の登山口とともに自然環境を満喫できる観光拠点として利用されています。
左俣谷、右俣谷は上流域が脆弱な地質のうえ、多雨多雪の気象条件も相まって土砂流出が発生しやすい地区です。また、蒲田川は河床が1/10 ~ 1/15と急勾配で川幅が狭く、隣接する宿泊施設や観光施設への被害が懸念されていました。
そのため、地域の山岳景観、親水性等に配慮しつつ、土砂災害に対する安全性の確保を図るため、異常な流出土砂をスムーズに下流に流下させるとともに上流域の流出土砂の抑制を図る土砂災害防止施設(渓流保全工)の整備を平成17年より進め、令和6年に完成しました。

観光振興に資する~みどりを活用した砂防事業の推進~(岐阜県高山市)
平湯川砂防樹林帯
砂防樹林帯は、川の中にある樹木の力により、洪水の時に土砂が流れないように、また上流から流れてきた土砂を止めることを目的として計画します。
平湯川も、この良好な自然の木々をそのまま樹林帯として取組み、現在の自然を可能な限り保全しながら、上流の「しのぶ砂防えん堤」と一体となった、自然環境を活かした砂防施設として整備するものです。
現在の堤防では、大洪水の際には土砂が堆積すると、下図に示したように溢れてしまいます。そこで、現在の堤防の背後に新しく導流堤を建設し、河幅を広げることによって、大洪水時に土砂が堆積しても氾濫することが無くなり、地域住民や観光客の安全が図られます(下図に示した完成後の川の断面図参照)。