ダム排砂設備

宇奈月ダムの排砂設備

概要

宇奈月ダムは、国の直轄ダムとしては初めてダム貯水池の土砂を排出する排砂設備を持つダムであり、流出土砂の著しい黒部川流域においては、ダムの堆砂(たいさ)容量を小さくできる等のメリットがあります。また、ダム下流の河床低下や河口付近の海岸侵食など数々の課題解決に寄与すると期待されています。
これからは、自然界の水環境、物質環境の特性を見極め、黒部川水系全体でバランスのとれた総合的な土砂管理が求められています。

ダム堆砂容量

グラフ

ダムの堆砂容量は、原則として100年間に貯まる推定堆砂量を用いますが、宇奈月ダムの推定堆砂量は1.4億m3/100年となり、ダム立地環境等の問題から、莫大な堆砂容量を確保することは極めて困難でした。
このため、宇奈月ダムの堆砂量は、排砂を前提とした模型実験により0.12億m3/100年と定めました。

※排砂設備のメリット
恒久的な土砂排出対策
堆砂容量の縮減(1.4→0.12億m3/100年)
下流河川・海岸への影響緩和

排砂とは

図

ダムの治水・利水機能維持やダム下流の河床低下軽減などのため、水の流れが土砂を運ぶ力(掃流力)を利用し、貯水池にたまった土砂をダム下流へ排出させることを排砂といいます。
排砂はまず、土砂を運ぶ大きな水の流れを生み出すため、洪水後すぐに貯水池を一時的に空にし、ダム堤体下部の排砂ゲートから流水とともに土砂を排出します。土砂を排出し終わった後はゲートを閉じ、再び貯水池に水をため込みます。
排砂のための設備としては、貯水池の中の水を放流する「排砂時水位低下用放流設備」1門と水の流れとともに土砂をはき出す「排砂設備(排砂ゲート)」2門があります。

貯水位低下

図1

大きな掃流力を生み出すため、排水の後、すぐに貯水池内を一時的に空虚とする。

排砂

図2

排砂ゲートが開けられ、流水とともに、貯水池に溜まった土砂を排出する。

貯水位回復

図3

排砂ゲートを閉じ、貯水位(利水容量)を回復する。