ほくりく学ぶくん通信

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vol.18

三条市立条南小学校3年生総合学習〜大河津分水公園で自然とふれあう〜

信濃川の豊かさ、堰の役割を施設見学や遊びを通して学ぶ。

 

大きな影がすーっ 魚道に現れたのは・・・
大きな洗堰から信濃川を見下ろし説明を聞きます 観察中に突然現れたライギョに「わぁっ」と歓声が
大きな洗堰から信濃川を見下ろし
説明を聞きます
観察中に突然現れたライギョに
「わぁっ」と歓声が
  6月下旬、総合学習のため大河津分水にやってきた条南小学校3年生の児童たち。あらかじめ信濃川の歴史について学んできたとのことで、今回は実際の体験活動を通して、さらに学習への理解を深めます。
 最初に向かった洗堰は、平成12年に作られた新しい堰です。旧洗堰は、大正11年から78年間稼動し、現在は国の指定文化財として保存されています。洗堰を通る水の量は、1秒間に約270。なんとたった1秒間で25mプール1杯分もの水が流れているのです。
 洗堰の両脇には、魚の通り道となる「魚道」があり、魚を狙うサギの姿も見られました。堰を通る魚の様子を川の中から観察できるのが「魚道観察室」です。専用の階段を下りて観察室へ向かいます。あいにく、この日は前日までの雨の影響で水が濁り、川の中が見えにくい状態。しかし、児童たちは小さな魚が通るたびに「見えたーっ」大喜びです。そのとき、「わあっ」ひときわ大きな歓声が。全長40cmほどのライギョが、すうーっと目の前を通ったのです。ほとんどの児童が、ライギョを見るのは初めての様子。水族館とは違い、自然の川で泳ぐ魚を目の当たりにして、子どもたちは大興奮でした。

 

見て・ふれて・驚いて なによりの学習法
  魚道観察の後は、いよいよ体験水路で生き物探しです。体験水路は、信濃川の水を直接引いているため、信濃川に棲む自然の生き物を捕まえて観察することができます。水路に入る前に、上手なアミの使い方や水路での注意事項が伝えられました。「アミを短く持つこと」「転ばないようにしゃがんでアミを使うこと」「流れのきつい所に行かないこと」などの言葉に、しっかり耳を傾けます。
水路に入る前に注意事項を聞きます
水路に入る前に注意事項を聞きます
泥だらけでもへっちゃら!夢中で生き物を探す子どもたち
泥だらけでもへっちゃら!
夢中で生き物を探す子どもたち
  各班にアミと捕まえた生き物を入れるための入れ物(バット)が配られ、生き物探しのスタートです。最初の5分くらいは“収穫”がなく、子どもたちも泥に足を取られて悪戦苦闘。「流れの少ない端っこの方にたくさんいるよ」というアドバイスを受けると、そのうちに「とれた!」という声があちこちから聞こえてきました。ドジョウにタニシ、シオカラトンボのヤゴ…。時間が経つにつれて、手で川底をすくったり、思いきり飛び込んだりする児童もいて、皆すっかり川に慣れた様子でした。

自分のペースで自然と仲良く
「何がとれた?」パットの中をのぞいて興味津々 上はドジョウ、下はオイカワ。今日の収穫です
「何がとれた?」パットの中をのぞいて興味津々
上はドジョウ、下はオイカワ。今日の収穫です
  しばらく川遊びを楽しんだ後、上がって生き物を観察しました。バットの中には、3cmほどのオイカワ、アメリカザリガニ、小さくて透明なスジエビが動き回り、児童たちは「へえー」「すごくちっちゃいエビだね!」と興味津々。信濃川には、魚道で見た大きなライギョから、わずか数センチの魚まで、いろいろな種類の生き物が生息していることが分かりました。
 昔のように、川に入って遊ぶ機会が少なくなった今、初めは川に入るのを躊躇していた児童もいました。すべって転ぶ子もいれば、最後までアミを上手く使えず苦労する子も様々。それでも、一人ひとりが自分のペースで自然と仲良くなり、身近にある自然の恵みを改めて感じることができました。

先生の声

小川友子先生

三条市立条南小学校
3年生担任

小川 友子先生

水害から2年
生き生きと学んだ子どもたち

 7.13水害から2年が過ぎました。当時、学校は約160cmの浸水、子どもたちは1年生でした。机もいすも、買ったばかりの体操着も泥だらけになってしまいました。そんな子どもたちが事前学習で大河津分水について学び、昔の人々も水害で苦労したことや、人の力で大河津分水を作ったことを知り、心強く感じたに違いありません。
 今回、子どもたちは水路で生き物探しに夢中になったり、魚道で大きなライギョを発見したりと、川で遊ぶ楽しさや自然の素晴らしさを十分に味わいました。このような貴重な体験を快く引き受けてくださり、準備万端でむかえてくださった信濃川河川事務所の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。