(1) |
長岡市三俵野地先 |
|
10月24日6時55分、長岡出張所から河川巡視を開始。9時45分、長岡市三俵野町の信濃川右岸で、150mにわたって、堤防天端7mのうち4mの崩壊と裏法面の陥没を発見。ここは今回の地震で最も大きな被害となった箇所である。
被災状況を写真4-2-1〜4に示す。
|
|
|
緊急復旧工事は10月24日から、崩壊した部分の土砂を掘削し、再び盛土しながら元に戻した後、雨が浸透しないようシート張りを実施した。この工事で大変だったのは、埋設してあった光ケーブルがハンドホールとともに崩壊していたこと。幸いケーブルは切断されていなかったため、重機土工の他に作業員を緊急に集め、光ケーブルを一度法肩付近まで上げて土工事を進め、土工事が法肩付近まで進んできたところで再度光ケーブルを埋設した。この緊急復旧工事は、河川増水による二次災害を防ぐため、2日間という短時間で仕上げ、10月25日24時に完了した。
緊急復旧完了状況を写真4-2-5に示す。
|
|
|
本復旧工事は、被害を受けた低水護岸について、川表前面の仮締め切りを行い、裏込材を充填しながら連接またはコンクリートブロックによる護岸復旧を実施。
本復旧実施状況を写真4-2-6〜7、被災及び復旧工法のイメージ図を図4-2-8に示す。
|
|
(2) |
越路町釜ヶ島地先 |
|
10月24日6時29分、越路出張所から河川巡視を開始。15時15分、越路町釜ヶ島の信濃川左岸で、堤防天端の亀裂、隆起、沈下などを発見。また、信濃川右岸岩野仲島の堤防では、1,600mにわたって縦断方向に大きな亀裂ができ、アスファルト舗装された天端も大きく地割れ、さらに亀裂の両側で段差もついていた。
被災状況を写真4-2-8〜11に示す。
|
|
|
応急復旧工事は、亀裂の発生箇所で掘削、盛土、シート張りを実施し、11月2日に完了した。
本復旧工事は、川表のH. W. Lより下に亀裂が発生している場合は、連接ブロック張工+遮水シートで護岸を施工。H. W. Lより上に発生した亀裂、川裏の亀裂は切返しのみを行う。
本復旧実施状況を写真4-2-12〜13、被災及び復旧工法のイメージ図を図4-2-9に示す。
|
|
(3) |
中之島町中条地先 |
|
10月24日6時55分、長岡出張所から河川巡視を開始。9時45分、旧中之島町中条の信濃川右岸で、延長約1,500mにわたる堤防天端に多数の縦断亀裂を発見。このうち180mほどの区間で、深さ20〜80cmほどの亀裂や川表側法肩の沈下が生じるとともに、川表側のコンクリートブロック護岸がはらみ出して折れ曲がりが発生していた。また、ブロックの開口部では噴砂跡が見られた。
被災状況を写真4-2-14〜15に示す。
|
 |
 |
 |
写真4-2-14 被災状況 液状化による亀裂・沈下 |
|
|
|
|
|
緊急復旧工事は、10月24日14時30分に開始し、11月6日に完了。縦断亀裂が入った部分まで土砂を一度取り除き、その土砂で再度築堤していった。ブロックが折れ曲がった部分については補強を行った。掘削した土砂を仮置きする場所が近くになく、土砂の移動のやりくりをすることと、不足分の土砂の搬入経路の確保が、この工事で苦労した点である。資材はなんとか確保できたが、24時間体制で工事を行わなければならなかったことから、作業員の手配にも苦労した。
緊急復旧完了状況を写真4-2-16に示す。
|
|
|
本復旧工事は、堤体は全断面の切返し。深い液状化層については、軟弱な地盤に振動や圧搾空気などを用いて砂を圧入し、締め固めた大径の砂杭を造成するSCP(サンドコンパクションパイル)工法を採用、軟弱地盤の改良を行う。
本復旧実施状況を写真4-2-17、被災及び復旧工法のイメージ図を図4-2-10に示す。
|
|
(4) |
与板町本与板地先 |
|
10月24日6時55分、長岡出張所から河川巡視を開始。8時40分、与板町東与板の信濃川左岸で、堤防の亀裂、液状化跡を発見。一部大きく堤防が沈下しているところもあった。また、比較的広範囲で噴砂も見られた。
被災状況を写真4-2-18に示す。
|
 |
写真4-2-18 被災状況(左:堤防の沈下、右:天端亀裂) |
|
|
|
本与板の応急復旧工事は、10月26日よりクラックを砂埋めする工事に取りかかり、28日に完了。ブルーシートなどの資材の手配はなんとか付いたが、重機オペーレータの確保が難しかった。
本復旧工事は、堤体を撤去し、基礎地盤の改良を実施。液状化層が浅い場合は、浅層地盤改良工法を採用する。
本復旧実施状況を写真4-2-19、被災及び復旧工法のイメージ図を図4-2-11に示す。
|
|
(5) |
長岡市妙見 妙見堰 |
|
妙見堰には主ゲート7門、調節ゲート1門、左右岸に魚道ゲートがあるが、地震によって操作不能等の被害が生じた。主ゲートNo.1ゲート機側操作盤は地震によって倒れ一時操作不能となったが、24日午後には応急復旧を行い機側操作が可能となった。主ゲートNo.2〜7、調整ゲートについては23日深夜までに機能確認を行い、堰制御装置故障により遠方制御は不可能であるものの、機側操作が可能であることを確認した。一方、左岸魚道ゲートについては、機側操作盤の転倒により内部機器の損傷が著しいことから復旧は不可能であった。
妙見堰平面図を図4-2-12、被災状況を写真4-2-20に示す。
|
|
|
地震直後から商用電力は停電したものの、妙見堰管理支所内の予備発電機により電源を供給していた。しかし、26日早朝、燃料系統の故障により予備発電機は停止、電源の供給が絶たれた結果、ゲート操作が不可能となった。そのため、リースの発動発電機を接続し、各ゲートの操作に備えた。27日15時過ぎには商用電源が復旧した。
妙見堰の詳細点検を実施した結果、主ゲートNo.1、2の堰柱(P7、P8)のコンクリート剥離した状態でゲートの荷重を受けることが危険と判断されたため、28日には主ゲートNo.1、2を全閉とした。また、流況を確認の上、11月1日にNo.6、2日にNo.5ゲートを全閉し、妙見堰上流の水位を確保し長岡市浄水場への取水を図った。
復旧工法として、まず危弱なコンクリートをハツリにより除去し、クラック注入を行った。またポリマーセメントにより断面を修復し、鋼板による巻立補強およびエポキシ樹脂を注入し、設計強度を確保した。
復旧工法実施状況を写真4-2-21〜23に示す。
|
|