河川を基軸とした生態系ネットワークについて

 越後平野には、我が国屈指の大河である信濃川、阿賀野川をはじめ、数多くの中小河川や潟湖、広大な水田、中にはラムサール条約湿地に登録された国際的に重要な地域も含まれているなど、多様な水辺環境が存在しており、それらは生物の貴重な生息環境となっています。
 国土交通省では、水の中を主とした「多自然川づくり」から、流域の「河川を基軸とした生態系ネットワークの形成」へと視点を拡大し、多様な主体と連携しながら、流域の農地や緑地などにおける施策とも連携しながら魅力的で活力ある流域づくりを支援しています。
 北陸地方整備局においても、行政区域を越えた広域な生息域をもつトキ・ハクチョウなどの大型水鳥類の生息環境を保全すること、さらには地域の価値と魅力の発見・向上につなげるため、令和元年7月22日に「越後平野における生態系ネットワーク推進協議会」を設立しており、多様な主体が連携し生態系ネットワークの形成と魅力ある地域づくりを図ってまいります。

生態系ネットワーク形成のイメージ
生態系ネットワークとは?

 生態系ネットワークとは、生物多様性が保たれた国土を実現するために、保全すべき自然環境や優れた自然条件を有している地域を核として、これらを有機的につなぐ取り組みです。ネットワークには地理的に連続している場合の他、渡り鳥の飛来地のように地理的に連続していない場合も含まれます。
 生態系ネットワークの形成により、生物多様性の確保を図り、人と自然とのふれあいの場を提供することで、地域に社会面・経済面において様々な効果をもたらすことが期待されます。

【出典】国土交通省 水管理保全局(2019)「川からはじまる川から広がる魅力ある地域づくり」
生態系ネットワーク取り組みの背景

◆生物多様性基本法(平成20年)・前文ー抜粋ー

我らは、人類共通の財産である生物の多様性を確保し、そのもたらす恵沢を将来にわたり享受できるよう、次の世代に引き継いでいく責務を有する。今こそ、生物の多様性を確保するための施策を包括的に推進し、生物の多様性への影響を回避し又は最小としつつ、その恵沢を将来にわたり享受できる持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。

◆生物多様性国家戦略(平成24年)ー抜粋ー

河川・湿原などは、森林、都市、沿岸など、上流から下流に至る各地域を、連続した空間として結びつける生態系ネットワークの基軸となる役割を果たしており、本地域における生物多様性の保全及び持続可能な利用を実現するための取組が重要。

◆安全を持続的に確保するための今後の河川管理のあり方について(平成25年社会資本整備審議会答申)ー抜粋ー

河川が広域的な生態系ネットワーク形成の骨格となることを再認識し、流域あるいは流域を越えた複数の地方公共団体や関係機関との連携を強化する体制整備を進めるとともに、生態系ネットワーク形成に向けた具体的な取組を積極的に支援し、推進するべき。

◆環境行動計画・国土交通省(平成26年3月)ー抜粋ー

○水と緑による生態系ネットワーク形成の推進
 地域の多様な主体(自治体、市民、農業関係等)と連携した生態系ネットワーク形成の取組を展開。

◆国土形成計画(全国計画)(平成27年8月)ー抜粋ー

○生物多様性の確保及び自然環境の保全・再生・活用
 自然環境の保全・再生を進め、森・里・川・海等の連環による生態系ネットワーク形成を推進。

◆第4次社会資本整備重点計画(平成27年9月)ー抜粋ー

○美しい景観・良好な環境の形成と健全な水環境の維持又は回復
 過去の開発等により失われた多様な生物の生息・生育環境である湿地について、地域の多様な主体と連携しつつ、再生等を推進することにより、生態系ネットワークを形成するとともに、地域の活性化を目指す。
 河川を軸とした多様な生物の生息・生育環境を保全・再生する生態系ネットワーク形成に向けた取組
(広域的な生態系ネットワークの構築に向けた協議会の設置及び方針・目標の決定)H26年度 38% → H32年度 100%