Q4.連携排砂は、本当に「ヘドロ」を流し、富山湾を汚しているのですか?
 
4−1.環境影響調査の計画と評価
  ・連携排砂の実施にあたっては、ダム湖から河川・海域も含め、実施前・実施中・実施後に広範囲な環境調査を実施しています。これらの調査地点や調査項目などは、漁業関係者・農業関係者を含め関係団体への事前説明・意見聴取を行い、学識経験者からなる「黒部川ダム排砂評価委員会」の指導・評価をいただいた上で決定しています。また、その調査結果は全て公表するとともに「黒部川ダム排砂評価委員会」に報告して審議・評価をいただいています。  
  ・なお、平成13年についても連携排砂前に出し平ダム・宇奈月ダムの湖底の堆積物の調査を行っており、その調査結果も「黒部川ダム排砂評価委員会」に報告しています。そして、その中で、「特に問題となる現象は見られなかった」との評価をいただいています。  
4−2.社会問題となった平成3年12月の出し平ダム初回排砂
  ・平成3年12月、出し平ダムが実施した初回の排砂は、下流の環境に影響を与え社会問題となりました。その排砂は、ダム湖内に6年間かけて貯まった土砂が変質し、その土砂を流したためだと言われています。
 有機物は、自然状態でも土砂に混入するし、ダムにも貯まります。問題となるのは時間の経過とともに変質することであり、6年間貯め込んだ土砂を流したために大きな影響を与えたものと言われています。
 
4−3.現在の排砂の方法とその影響
  ・現在の排砂方法は、下流環境に影響を与えた平成3年12月の出し平ダム初回排砂とは異なります。
 現在の排砂の方法は、より自然の土砂流下に近いかたちで下流に土砂を供給することを基本としており、毎年、下流への影響を軽減できる時期(6月〜8月の期間のみ)に、一定の規模の出洪水の発生にあわせ、出洪水の後半に排砂ゲートにより土砂を流下させる方法をとっています。排砂期間については、内水面漁業、海面漁業、農業と過去の出洪水の発生状況を総合的に考慮して決定しています。
 また、環境調査の結果からも特に問題となるようなものは見られませんでした。
 この方法で実施すれば、下流への環境の影響を極力小さくできると考えています。
 この方法は、平成3年12月の出し平ダム初回排砂以降、長年にわたる地域の方や学識経験者の審議・検討の蓄積の上で、決められたものです。
 
 
・平成3年12月の排砂との具体的な違いは、
○平成3年12月の出し平ダム初回排砂は、6年間貯めた土砂を流しました。現在の方法は、何年にもわたって土砂を貯め込まず、基本的には毎年排砂を行うことにより、ダム湖での土砂の変質を抑制しています。

○平成3年12月の出し平ダム初回排砂は、河川流量の少ない冬場に行いました。現在の方法は、自然状態でも濁水が流れる一定規模以上の出洪水の発生に合わせて排砂を行うこととしています。

○地域の方々、学識経験者の方々に十分な説明を行い、ご理解を得て排砂を行うルールを確立しました。平成3年12月の出し平ダム初回排砂は、この点も不十分でした。
 
  ・自然の状態でも、河川には出洪水のたびに土砂が流れています。現在の排砂方法は、毎年、自然の出洪水に近いかたちで流すこととしており、自然の状態と大きく違う影響を与えるとは考えられません。 (*連携排砂時の黒部川と他河川の河口部状況写真)  
4−4.海域環境調査の結果
  ・排砂による海域環境への影響については、海域の水質、底質調査等の環境調査を排砂の実施前・実施中・実施後に行っており、調査結果はその都度「黒部川ダム排砂評価委員会」に報告し、科学的・客観的な評価がされています。  
  ・これまでの環境調査結果から、黒部川河口と富山湾海底の堆積物中の有機物含有量の指標を示す「COD」の経年変化を見ると、平成3年12月の出し平ダム初回排砂直後の調査データは水産用水基準の20mg/gを超える値(43.7mg/g)を示しましたが、平成7年以降は基準値以下で推移しています。(*河口・海底での底質の「COD」経年変化グラフ)
また、有機物含有率を示す「強熱減量」のデータについても、平成3年12月の排砂直後は10%を超える値を示しましたが、その後は平成3年12月の排砂以前と同様な値で推移しています。(*河口・海底での底質の「強熱減量」経年変化グラフ)
 
  ・このように、現在の排砂方法は、毎年、自然の出洪水に近いかたちで土砂を流すこととしており、排砂によって海底環境が大きく変わったとは考えられません。  
  ・さらに、平成12年6月には、黒部川沿岸海域の海底の状況を広く把握するため、新たに53地点の臨時調査を追加して、連携排砂の実施前の定期調査とあわせて、合計73地点で底質調査を実施しており、沿岸海域の環境調査についてより充実を図っているところです。これらの調査地点についても、漁業関係者にも意見をうかがい決定しています。
(*海域での底質の追加調査地点) (*海域での底質(追加調査)の「COD」水深別グラフ)
 
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