第33回黒部川ダム排砂評価委員会開催

開催日時 平成22年3月26日(金)13:30〜16:00
場所 ホテルアクア黒部2Fロイヤルシンフォニー
議事次第
1.平成22年度連携排砂計画(案)について
2.平成22年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
3.その他

委員会委員名簿


評価委員会





第33回黒部川ダム排砂評価委員会における評価
平成22年度連携排砂計画(案)及び連携排砂に伴う環境調査計画(案)については、了承する。
平成22年度はこの計画にのっとって、排砂、通砂、短時間集中豪雨対策を進めること。
既往環境調査結果に対する分析については、今後の分析のスタートラインとするとともに、評価委員会として評価をする際の資料として有効利用する。


@平成22年度連携排砂計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−1 平成22年度連携排砂計画(案)について
参考資料1 短時間集中豪雨対策のイメージ
 
[主な意見]
(委員長) それでは、平成22年度連携排砂計画の各案についてと、後で参考資料1−1、参考資料1−2の短時間集中豪雨対策に関する説明があったわけだが、ただいまの説明に対して何か意見、質問等あればお願いします。
(委員A) 平成22年度の目標排砂量とか想定変動範囲に関係して、再度説明をしてほしいと思う。特に7ページに挿入されている右上の小さい図だが、横軸が流量で、縦軸が流砂量という図だけれども、流砂量と排砂量の関係というのはどういうふうになっているのか。この点をちょっと説明してほしい。
(事務局) 流砂量は、上流から洪水とあわせて流れてくる土砂量を定義しております。排砂量は、現状の平成22年5月の河床から流入土砂量を考慮して、河床の土砂が流れ出た分を述べています。グラフで言いますと、給砂量が多いというのは土砂流入が多いパターンですので、排砂量が少なくなります。逆に土砂供給量が少ないということは、上流から流れてくる土砂量が少なくなりますので、排砂量が多くなります。そういう関係になっています。
(委員A) そのケース@、ケースAはわかるが、流砂量というのは土砂を含んだ水、つまり濁った水の体積か。
(事務局) 純粋に土砂の体積になります。
(委員A) それは流れ込んでくるものか。
(事務局) 流れ込んでくるものです。
(委員A) 流出していくものではないということだね。
(事務局) 流入してくるものです。
(委員A) そこの中に各年度の「実測値」と書いてある。この実測値というのは何を測っている値か。
(事務局) 実測値とは、排砂中、通砂中に観測しておりますSSの値です。
(委員A) SS値そのものか。
(事務局) 流砂量は、SS値にその時の流量を掛け合わせたものを表しています。
(委員A) そうすると当然関係があるわけだが、ちょっと気になるのは、大体作図方法はわかるのだが、最近よく言われているように、洪水とか、あるいは降雨そのものが強く降ったり、あまり降らないとか、気温なんかもそうなのだが、変動の幅が大きくなっている。
  この図でも、黄色い平成21年度の実績を見ると、それ以前のものよりもばらつきがケース@のほうからケースAの方までまたがっているような、幅が広がってきているように見える。そうなると、目標排砂量に関して変動幅を考えていく時に、今後どんどん広がっていくのかなという懸念もちょっと持つのだが、その辺はいかがなものか。
(事務局) 今年度の結果では、このプロット1点当たりというのが1時間になっていまして、今先ほどご指摘いただいた点で言いますと、約2点程度平均から離れています。しかし、ほぼ平均といいますか、これまでの実績の範囲に入っておりますので、(委員A)が今ご心配されているような離れている点がたくさん出てくるのではないかというのは、今年の結果を見る限り、そうは言えないのではないかと思っています。今後もこの表を使いまして、注意深く見ていきたいと考えています。
(委員A) わかりました。ありがとうございました。
(委員B) 今回の11ページの平均的な運用のところで、出し平ダムが45時間、宇奈月ダムが46時間という、今の排砂量に対してこういう計画であるが、従来からも思っているけれども、排砂のオペレーションの時間というのは、下流水利権者もこれありで、なるべくコンパクトにすべきだと思っているが、以前からも大分コンパクトになっているような感じを受けているけれども、この中で何か流動的というか、さらに短くできるような要素、時間の部分というのはあるのか。
(事務局) あくまでもその時の雨の降り方を見ないと、どうしても雨の降り方によって影響が出てきます。
  例えば、一昨年の場合ですと、水位を低下させていく時に雨が降って水位を低下する時間が延びたことで、比較的取水停止時間が長くなったりしました。逆に去年は、水位を低下させる時にはもう既に雨が上がり、水位を回復するときに雨が降るといったような、取水停止時間が短くなるというような天気になりました。
  そういうことで、どうしても天気に左右されますので、天気を見ながら、適宜対応させていただければと思っているところです。
  特に取水停止時間を短くしようとした時には、例えば夜中ですとか、いろいろな場合はございますが、現況を見ながら、取水停止時間を短くできるように工夫していきたいと思っているところです。
(委員B) わかりました。方向としては、なるべく短くコンパクトにするように、今年も努力してほしいと思う。
(委員長) これは平均的な運用の時間なので、これ以上短くなることも、多少はあるということだね。ただ、雨の降り方によってはもっと延びる可能性もあるということだけれども、環境に対する影響を考えるとできるだけコンパクトにという(委員B)の意見はそのとおりだというふうに思う。
  他にありませんか。―本日欠席されている委員の方の意見もあると思うが、(事務局)のほうに欠席委員から意見を寄せられていると思うので、それをちょっとお伝え願えますか。
(事務局) 3月3日から3月18日にかけまして、本日ご欠席の委員の先生、それから本日ご出席の先生に事前説明をさせていただいております。
  今回説明しました連携排砂計画案につきましては、いろいろ質疑等はありましたが、提示計画の変更を伴うような意見はありませんでした。
(委員長) 特に変えなければいけないような意見はなかったというふうに理解していいと思う。
  ということで、特に意見がなければ、平成22年度連携排砂計画についてはこのように実施してもらうということで、先に進みたいと思う。
 
A平成22年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−2 平成22年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
参考資料2 環境調査項目の変更について
参考資料3 宇奈月ダム・出し平ダムにおける今後の堆砂測量の方針について
 
[主な意見]
(委員長) それでは、資料−2と、最後に参考資料3−1と参考資料3−2についての説明があったわけだが、何かお気づきのことがあれば、ご質問、ご意見をお願いします。
  ちょっとわかりにくいところも若干あったかと思うけれども、最後のところにもあったが、出し平ダムの9月の測量はこれまでの測量の実績があるので、予測がつくという意味でしないということの理解でよいか。
(事務局) これまでの実績というよりは、シミュレーションの方でそういった実績のデータをつかみまして精度が向上してきました。今回につきましても、例えば排砂時の状況を考慮に入れて、通砂時の土砂収支を確認したところ、実績とほぼ一致しているというような結果が得られています。当初ぶれがありましたが、現状は精度について一定の確認ができたということで、9月につきましては測量を実施しないと考えています。
(委員C) 説明があったかもしれないが、聞き漏らしたかもしれないので確認させてほしい。
  2ページの環境調査の変更点の左側の表の監視の全体で、「ヘリコプターからの撮影は原則排砂時のみ実施する」ということで結構だと思うが、原則排砂時のみなので、これは原則的ではないと判断されるようなケースとか条件が想定されているのか。または、もし緊急的な何かということだった時に、ヘリコプターがタクシーを呼ぶようにさっと来てくれるものなのかどうかよくわからないので、その辺の想定を説明してほしい。
(事務局) ここで言う「原則排砂時のみ」というのは、先ほども説明しましたとおり、排砂の時に、例えば今年で言うと、風が強くてヘリコプターが一部飛べなかったことがあります。排砂の時に飛べなかったら、通砂の時に行うという意味ですので、前もってそういったものは用意できます。
(委員C) わかりました。
(委員長) これまでは排砂時も通砂時にもやっていたわけだね。
(事務局) やっていました。
(委員長) それをこれからは1回にするということだね。
  〔(事務局)うなずく〕
(委員長) 特に意見がなければ、また欠席委員の意見を事務局の方で伺っていると思うので、知らせてほしい。
(事務局) 欠席されています評価委員の先生の方からですけれども、先ほどの排砂計画と同様、反対というような意見はいただいておりません。逆に濁度計につきましては、今回6月から11月まで計測をするということにつきまして、今後、シミュレーションや土砂収支といったものの精度を向上する上でいいのではないかというご意見をいただいております。
(委員長) 特に環境調査の変更点についての反対意見は無かったということです。
  これは、この次に控えているこれまでの調査結果の取りまとめみたいなものとも関連すると思うが、特にどうしてもやらなければならないような調査は当然してあるわけで、これまでの調査結果から見て、集約してもいいのではないかという点について、今回はそれぞれの点について、2ページにあるように変更するということである。
  ということで、特に意見が無いようなら、平成22年度の連携排砂に伴う環境調査計画については、この案のとおり実行していただくということで、この委員会の意見としたいというふうに思う。よろしいですか。
  〔「異議なし」の声あり〕
(委員長) ちょっと元へ戻ることになってしまって申しわけないが、これまで連携排砂と通砂と試験的通砂というものはやっていたが、今年から短時間集中豪雨対策というものをやるということで、先ほど参考資料1でその説明があったわけだが、これの効果みたいなものはどのように考えておるのか。
  通砂の場合だと、一応全部流してしまってということだけれども、短時間集中豪雨対策は、水位を保ったまま排砂ゲートを上げて排砂をすると。宇奈月ダムもそうだね。だから、浮いている細かいものは出るけれども、大きなものはこれだとどの程度出ていくのかということである。
(事務局) 短時間集中豪雨対策ですけれども、今言われたように出し平ダムでは排砂ゲート、宇奈月ダムでは排砂ゲートではなくて、真ん中の水位低下のゲートです。
  ここでは、このポンチ絵に書いていますように、ゲートに向かって流れができて、細かい土砂はある程度排出できるというふうに予想しています。ただ、粗いものは流速が足りないので排出できないと考えていまして、そのあたりを別途シミュレーションモデルにより検証しているところです。
  実測につきましては、濁度を測定し、検証する計画としています。しかしながら、この対策の実施の有無によって効果がどれほど違うかはシミュレーションでないと分からないと考えており、実測での効果検証については今模索中のところもあります。
(委員長) 一応やってみて効果を見ていきたいということだね。
(事務局) シミュレーションでは確認するつもりです。
(委員長) 新しい試みだと思うので、その効果を見極めていきたいと思っている。
 
B既往環境調査結果に対する分析について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−3 既往環境調査結果に対する分析について
 
[主な意見]
(委員長) 膨大なデータを手際よく説明してもらったわけだが、個々の項目についてはそれぞれ意見を多々お持ちだろうと思う。
  委員の先生方、どうぞ、どこからでもよろしいので発言をお願いしたい。
(委員D) 河川のところでちょっと聞きたいのだが、非常に多様性とか、そういった形でまとめていてよくわかりやすくなっているなと思うが、15ページもそうなのだが、ただ、前回の委員会の時に少し話が出たのは、底生性の魚が減っているのではないかということで、優占種の動きはないけれども、比較的数は少ないけれどもそういう環境でしか住めないものが減っていくことの評価というのは、ここの数字にはなかなか出てこないような気がする。
  だから、やはりメジャーなものと、多少少ないけれども変化を受けやすいものということで、解析の仕方をそこら辺工夫したほうがいいのではないか。
  たしか前回(委員長)も言われたのはそういったことだと私も理解している。
(委員長) 今のは魚類を例に挙げて、こういう分析にはかからないような指摘事項もあったんではないかということであったけれども、これは別にデータをとって解析しなければいけないのかなという感じがしないでもない。
(委員C) 13ページの河川の付着藻類の類似度の関係の、図3−3−6です。これも説明があったかと思うけれども、平成13年以降で似ているということでグルーピングされている。図を見ればわかるということかもしれないが、この「Cπ」だと、よく似た種類が同じように多かったとか、そういうようなことで数字が近づくと思うけれども、主な要因について説明があれば伺いたいと思う。
  それと同じようなことが14ページの河川の底生動物の類似度も、平成14年以前と後で、大ざっぱにであるけれども、厳密な1年、2年のことを問題にしているのではないのだが、何が要因で類似度が高かったというふうに見られるのか説明をお願いしたい。
(委員長) 類似度の算出方法とも関連すると思うけれども、今の質問に対して答えはありますか。
(事務局) 付着藻類の方ですが、こちらは藍藻が13年以降増えてきているというのが一つの要因になっています。類似度というものが個体数と種類の合計といいますか、合わせたような数字指標になっています。よって、主要分類群別組成というものにかかわってきますので、河川の付着藻類につきましては藍藻が増えているというのが一つの要因かと思われます。
  もう1つの底生動物につきましては、どれがというのは今手持ちがありませんのでちょっとお答えしかねるのですが、基本的には組成状況、割合というのが大きくかかわってきているということです。
(委員長) よろしいですか。
(委員C) はい、わかりました。
(委員長) ただ、底生動物は絶対的に種類数も少なければ、量的にはそう多くない形というふうに思っているが、きれいに2つに分かれるというのはちょっと異常な感じがしないこともないが、これは古い時代と比較的新しい時代かと思ったら、そうでもない。年によってばらばらというような感じか。
  生物の調査は、そのときの条件で随分データが変わってくると思うので。それから地点数もそう多いわけでないから、一つの参考資料にはなるかと思うのだが、絶対的なものではないかなというふうに私は思っている。
(委員A) 今ほどから出ている12ページの河川で、DAIpoの有機汚濁の指標ということだが、意味合いをちょっと教えてほしい。
  具体的には、この12ページの場合は、下黒部橋で概ね貧腐水性と言っているが、これは有機汚濁が見られるというのか、そうではないというのか、そのあたりの意味合いを教えてほしい。
(事務局) あくまで、こちらに「好清水性種」と書いていますが、各種類に好清水性のレベルがありまして、そういった種類がどれだけの割合でいるかということを示しているにすぎないんですけれども、今、貧腐水性という意味では、好清水性の種が多いということを示しています。イコール、水質は貧腐水性にある、と定義としている指数です。
(委員長) 珪藻の種類によって、この種類が出てきたら、中腐水性だとか、強腐水性だとか、そういう種類ごとにリストがある。それで出現した種類をそのリストと照らし合わせてみると貧腐水性に該当する種類が、量と種数と両方だろうと思うけれども、多かったということだね。
(事務局) はい。
(委員A) 何かわき水が影響していて、そこに住む種が増えているとか、対応する現象みたいな意味づけというか説明というか、そのあたりがちょっとわからない。特に意味はないということか。
(委員長) これは一般的な指標だろうと思う。だから、そこの河川をずっと通して見て、そういう貧腐水性の珪藻がたくさん生えていたら貧腐水性であるというふうに見ているだけだと思う。ほかのところは濁っていてというか、有機汚濁みたいのがあるけれども、今(委員A)が言われたように、どこかで湧水が湧いていて、そこの湧水のところだけで調査すると貧腐水性だと。その周りのところを見るとそうではないということだってあり得ると思う。
  ただ、今回の調査は多分、そういうところと無関係に調査されているんだろうと思うので、これは調査時点で付着している珪藻から見たら、こういう結果になったというふうに理解しておけばいいんだろうと思っている。
  ただもう1つ、これにプラスされる要因としては、恐らく水温も関係してくるんじゃないかなと思う。だから有機汚濁に限らず、汚濁が進んでいるところでも水温が高いと別な結果になる。黒部川みたいに水温が低いと、そういう貧腐水的な珪藻しか出てこないということもあり得ると思うので。ただ、このような分析というのは何を基準にやるかというので非常に複雑になってくるわけだけれども、これも一つの事象だと思っている。別な観点、角度から見たら、また別な結果が出てくるかもわからないね。
(委員A) とてもわかったとか、納得できたとは言えないけれども、こういう分析されて、データをこんなふうにまとめられたことは非常に意義があると思うので、今後、そういった説明というか、いろんな現象の考え方を今後整理していく必要があろうかと思う。
(委員長) そうですね。
(委員C) もう1点。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員C) ちょっと細かいことになってしまって恐縮だが、15ページの河川の魚類の2の(1)の分析項目で、4番目に「類似度」、6番目に「類似度」と出ているのは、別の計算をやったのか。
(事務局) 間違いです。すみません。
(委員C) そういうことだと思う。
  それから25ページの動物プランクトンの説明の時に、例えば主要な分類群が「ギョウキャクルイ」と聞こえたのだが、「橈脚類(トウキャクルイ)」が正しいと思う。私の聞き違いだったかもしれないのだが。
  (委員A)の先ほどの意見と同じなのだが、繰り返しになるけれども、環境調査項目の分析が進んだというのは非常に意義深いと思う。これが出てきたので、ある意味、排砂の事業の全体像を描写するもう一方の切り口というのがあり、それは排砂の運転技術の改善経緯だと思う。
  資料−1の9ページに出ている平成3年からの表があり、これを見ると、平成3年に1回目の排砂があって、平成13年に連携排砂になって、今年は平成22年なので、来年度が終わるとちょうど最初の排砂から20年、連携排砂10年という非常に切りのよい年がやってくると思う。
  運転が初回排砂から試験、試験的、緊急排砂、連携といろいろと変わってくる。ここの一言で書かれているところをもう少し、実際どんなことをしたかというのが出てくると、何年にどんなことをやりながら改善して、平成22年まで来たという姿が描写できると思う。そうなると、運転技術の改善経緯と環境の両方のパーツが出てくるので、検討に非常に便利であろう。富山県民の皆さんにもわかりやすい表現を求めるそういう取り組みがあるとよいのかなと思う。
  一応意見です。
(委員長) 発言のとおりで、平成3年に初回排砂があって、しばらく排砂がとまっていたわけだが、平成6年から再スタートという、かなり長い歴史がある。この辺の経緯をご存じなのは、かなり高齢のというか、ここで言うと(顧問)とか(委員E)さんぐらいなのかなと思うし、また県外の委員の方はこの当時からご存じの方もおられると思うが、どういう流れでこういうことに至ったかというのは、どこかで大きな変革点みたいなものがあると思うので、一度、歴史みたいなものも整理して示したら、委員の先生方の理解も通るのかなと思うので、そちらの方もよろしくお願いしたい。
(事務局) ちょっとよろしいですか。
(委員長) はい、どうぞ。
(事務局) 今の件ですが、先ほど説明しました資料−2の8ページから11ページまでは、環境調査で過去に何をやったかというのを昨年まとめたものですが、今のお話と、きょう(事務局)がご報告した分析結果、その2つを合わせて資料を作成するつもりです。また見ていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
(委員長) そうだね。そのとおりだと思う。
  過去にもいろんな調査をやって、短期間で終わったものもあるし、ある意味で言うと試行錯誤をしていったという面もあるかと思うので、それをもとにしてぜひ取りまとめをしてほしいというふうにお願いしたい。
  (顧問)は何かありませんか。
(顧問) 生物相の結果について、今までかなりやられてきたわけで、もうちょっとそれを整理できないかといった話が前回、さらに前々回の評価委員会で出ていたわけだね。それで、今(事務局)の方でクラスター分析等で評価できないかといったような試みをやられただろうと思うが、今まだクラスター分析をやって、類似度がどうであるとかということと、生物相の生存の状況とをどういうように結びつけていけばいいのか。その点、ここではちょっとわかりにくい。むしろこれは生物関係の専門である(委員長)にご見解を聞いたほうがいいかなと思っている。
(委員長) 私も長い間、黒部川の主に生物のほうは見てきたわけだけれども、この排砂のほうは出し平ダムから下流を対象にしている。
  それともう1つは、あくまでも排砂が始まって以降の状況についてのいろんな分析だったと思うけれども、黒部川の環境というのは一体どんなものであったのかというデータがあれば、拾い出して、それをベースにして考えたらいいのではないかなと思うのだが、ただ、残念なことには、恐らくこれほど多項目にわたってかなり多大な労力をかけて調査されたということは、この排砂が始まる前はなかったのではないかなと思う。
  そういう意味で、同じレベルで比較するというか、そのベースがあってどういうふうに変わっていったのかということを論ずるのには、少し問題があるのかなというふうには思っている。だが、全くそれでできないというわけではないと思うので、できる範囲でぜひやってみたらいいんじゃないかなというふうには思っている。
  水質とか、化学的、物理的なほうは、物理的にはそう変わらないと思うのだが、化学的な方が排砂によって非常に大きく変わったというのは、結果的に定義にはっきり出てくるだろうと思うのだが、生物のほうはなかなかそうはいかないというところがあり、苦慮するところも多いかと思う。
(顧問) 今(委員長)の発言のように、特に水質は割合はっきりする。だから、少し前、何年ぐらい前だったかはっきり記憶していないけれども、富山湾の沿岸の特に黒部川に近いところで、朝日町の方からずっと黒部の方までだけれども、排砂の砂の影響がどこまであるかといったようなことが話題に出たよね。
(委員長) はい。
(顧問) これは、漁業関係者も非常に興味を持っているものだから、そのときに初めてクラスター分析をやったわけである。それでもやっぱり類似度の点からなかなかはっきりは言えなかった。だから、今生物の方でこれをやるのは、どういう具合にこの結果を評価していけばいいのかというのは、かなり難しいなとは思っている。それは水質のほうから見れば、生物はやっぱり評価は難しいなとは思っている。
  だから、今ここでクラスター分析の結果が出ているけれども、これでもって付着藻類とかそういったものが減ったか増えたかとか、過去と現在とどうだとか、そこまではちょっと言及できないような気がする。ただ、こういう試みも今後やっていけば、だんだんそれは排砂の影響というものも出てくるんじゃないかなという期待はあるけれどもね。
  そして、こういうクラスター分析等をやって類似度を見たりいろいろして、あまり変わらないとなれば、それはこれでいい結論だしね。まあまあ、そんなところだね。
(委員A) 今の件で、生物の方はちょっと難しくて私はよくわからないが、海域の水質、底質だが、底質は特にグルーピングが非常に顕著に見えて、19ページでは、CODと硫化物と中央粒径で見た場合に、何らかの意味付けができるような結果になっていると思う。特にC点から河口沖、小型底引というのは、排砂の時に一つ黒部川から吐き出してくる水塊が直接影響するようなところだし、非常に顕著にグルーピングされているC点を除く北東海域と呼んでいる部分は、排砂の影響が議論できるグルーピングだと思う。
  それが何を意味するのかというのは、まだ今後の分析をしなければいけないと思うけれども、こういうふうにグルーピングを示されたことに関しては非常に意味があるように見えるというのが正直な感想である。ここまで出してもらい、非常にありがたいと思った。
(委員長) 確かにこれを見ると、C点だけがグループに入ったり出たりということがあるけれども、特定のところだけ影響があるような感じで受け取れるように思えるということで、ここからさらに分析を進めてもらえればもっとわかるのかなということがあるかと思う。
  それから先ほどのところへちょっと戻るが、14ページのところである。河川の底生動物のところだけれども、まとめのところで、「多様性指数は増加する傾向がみられた」というので、この「傾向がみられた」というのは程度の問題があると思う。多様性指数が増加するというのは、要するに種類数が増えたとかというイメージになってくると思うけれども、どの程度なのか。絶対的に多様性が低くて、その中でほんのちょっぴり増えたのか、それともうんと低かったのがかなり増えたのかとかということがこのまとめだけからではちょっと見えないと思うので、そこの辺もきちんと……。
(委員E) 関連の質問だけれども、初めて多様性指数とかそういったものが出てきてちょっと戸惑っているのだが、多様性指数は増加の傾向にあるとか有意な傾向にあるとかといったことだけれども、それは排砂の影響があったので増加の傾向にあるのか、そういったことはわかるのか。ほかの河川でそういったことをやっていて、多様性指数が増加しているところはしょっちゅう刺激を与えているとか、普通の……。
(委員長) ごく普通の……。
(委員E) 増加の傾向と排砂との関係が何かあるかどうか、そういったことはわかるのかといった質問である。
(委員長) 普通、多様性指数云々と言う時は、今回排砂との関連で言っていると思うのだが、そうでなしに、多様性指数が大きくなるということは、多分種類数が豊かになってということだと思う。いろんな種類が出てきてというイメージでとらえたらいいんじゃないかなと思っているけれども、それを排砂との関連で見てということでこのまとめに書いてあるんだね。
(事務局) 今回は、先ほど冒頭に言いましたが、今回出ているデータをまず分析しようということで、統計的に分析したのみですので、いわゆる排砂等とどう関係があるかといったところまで分析はできていません。今回、あくまで生物のものにつきましては、一般的に用いられている指数で当てはめた場合、どういった傾向が出るのかというのを示したにすぎません。よって、今(委員E)のほうからご指摘いただいた点につきましては、何か見解を持っているのかというのは、(事務局)にはございません。
(委員E) 関連のことだけれども、(委員長)が教えられたかどうかわからないけれども、焼岳のところに京大の防災研の砂防観測所があって、そこで澤田という人が40年ほど、砂がどんなふうにしてできるか研究しているけれども、彼が言うのには、静かな池より川が、激しくとは言わないけれども流れていて、土砂が入ってきたりするところの方が生物の種類が多いんだといったようなことを言っていたものだから、こういったことと関係があるのかと思って質問をした。
(委員長) いろんな考え方ができると思うのだが、非常に安定した川で、ほとんど水量も一定、底も何も動かないという川になると、住める生物が限られてきてしまう。そうじゃなしに、時々洪水があって、底質が攪乱されたりなんかした方がいろんな生物が入ってくる。生物は常に入り込もうとするのだが、それが定着するかどうかという観点から見ると、攪乱があったほうが種類数が多くなるというふうなことがある。
  だから、このデータというのは、恐らく排砂期間というか、排砂が始まって以降をとらえたデータに基づいてこういう分析がなされたということなので、排砂が始まって以降ずっと今日まで見た時に、例えば14ページにある「多様性指数は増加する傾向がみられた」というのは、そういう排砂ということがあって、なおかつ底生動物を調べた結果として多様性指数が多くなっていったということなんだろうと私は理解したのだが、よろしいですよね。
  〔(事務局)うなずく〕
(委員E) どうもありがとうございました。
(委員長) こういう分析の仕方だから、ほかにもいろんな分析の仕方もあるし、考え方もいろいろあるのではないかなと思うが、出てきているデータというのは公開されているデータでもあると思うので、それをどのようにどういう形で分析するか、個々の人たちが個人的にもやってできないことはないだろうと思う。ただ、これだけのことをやろうと思ったら大変な作業になるし、恐らくコンピューターも駆使しなければいけないだろうと思うので、大変な労力を使ってされたのではないかなというふうには思われる。
  そういう意味で敬意を表するわけなのだが、出てきた分析等についてはいろんな見方があるので、ここで示されたものは、そんなにはっきり結論づけているものはないだろうと思うけれども、これはあくまでも今の現時点で見た時にこういう形で見られるという形でまとめてもらったので、先ほど(委員A)からもあったように、そういう意味では非常に有効なものを出してもらったのではないかなというふうには思われる。
  このことも含めて、きょう欠席の委員からも多分意見が寄せられているのではないかと思うのだが、もしあったら紹介いただけますか。
(事務局) まず海域に関してですが、先ほど(委員A)からご指摘いただきました内容と同じような内容をコメントとしていただいています。今回、底質に基づく分析で傾向が出たのはよかったのではないかというようなコメントをいただいています。
  あとは、今回あくまで定期調査での結果になっていますので、今後は排砂だとか排砂1日後といったことや、先ほど委員からもありました各イベントに関しても考察といいますか、そういったところも含めて検討ができればいいなといったような意見をいただいています。
  あとは、先ほど(事務局)のほうからコメントがありましたが、今後こういった調査をどうしていくのか、目的は何であるのか、どのようにモニタリングしていくのか、それを空間的、時間的な観点でどうしていけばいいのかというのをまとめていくことが重要だというような意見をいただいています。
(委員長) それで、こういうまとめが出てきた上で、例えば調査項目とか調査期間とか、改善点みたいなことが考えつくようなら、そういうことも意見として出していただければいいのではないかなと思うのだが、特に海域のほうが調査も非常にやりにくい。特に排砂時は天気の荒れたときにやるので、やりにくい時期なのだろうけれども、それを除いた時期、天気の良い時にきちんとやればいろんなことがまたわかってくる可能性もあるのではないかなと思われる。
  ただ、聞いていると、先ほどの報告の中では意外と富山湾の、プランクトンも含めて資料が少ないというのか、こんなものなのかなと思ってしまうのだが、全然無いよりはあるわけだから良いわけだが、海のほうは広いので、黒部川の河口周辺だけの特徴というのは、そういう意味では出てきにくいということで、富山湾全体の傾向とよく似ているというような分析結果になったということだったと思う。
  (委員C)さんは、そういう点でデータを出している方だろうと思うけれども、この見方はそんなことでよろしいのか。
(委員C) 引用されている資料については、富山水研のほうで独自に調べて出しているものを引用いただけばいい。私が先ほど発言した意見としては、今(事務局)からも説明があったように、本事業で取得したデータについて取りまとめた分析についてですよね。
(委員長) はい。
(委員C) 淡々とした分析として、大変労力をかけてすぐれたものが出たと思う。そういう意味では、この資料によってこの部分のデータ整理が突出してしまった。ここだけもっとさらに細かくいくというよりは、ある程度この水準でとめて、その上で別の領域の運転技術の歴史とかの分析を進めて並べてみるとまた視界が広がると思ったので、そのように発言したところである。
(委員長) どうもありがとうございます。
(事務局) (委員長)、よろしいですか。
(委員長) はい、どうぞ。
(事務局) 先ほど2番目のテーマで、22年度の環境調査計画案をご説明させていただいたのですが、今回の改善点というのは、今年は河川とダムのことばかりで海のことについては触れられていません。今回このようなまとめをやって、河川やダムの項目で実施しなくてもよいものがわかってきたので、今度は同じように、海域の方も検討し案をつくっていきたいと思いますので、よろしくご審議ください。お願いします。
(委員長) 確かに調査はどんどん変更されていくわけだけれども、海については従来からと同じことをやるという、変更はなしということで来ているということで、こういう分析結果を踏まえてどうしたらいいかというのを考えていきたいということだと思う。
(事務局) 先ほどの話の追加ですけれども、今後、排砂中、通砂中につきましても分析を進めたいと思いますし、またそれに対する調査項目等につきましても、どのように進めたらいいかというのを考えていきたいと思っております。
(委員長) 特に質問や意見がこれ以上ないようなら、この既往環境調査結果に対する分析というのは、多分これで終わっているわけではなくて、これからもいろんな角度から続けてなされるのだろうというふうには思うし、またそういうふうに期待したいと思う。ご苦労だけれども、よろしくお願いしたいと思う。
−以 上−





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