平成18年3月28日(火)14:00〜16:00
名鉄トヤマホテル 4F「瑞雲の間」
1.平成18年度連携排砂計画(案)について
2.平成18年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について



評価委員会






第24回黒部川ダム排砂評価委員会における評価
 平成18年度連携排砂計画(案)及び連携排砂に伴う環境調査計画(案)については、了承する。
  なお、環境調査の実施にあたっては、各委員から出された意見を踏まえ、実施すること。
 
○平成18年度連携排砂計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−1 平成18年度連携排砂計画(案)について
 
[主な意見]
(委員A)
通砂実施基準流量を排砂実施基準流量(出し平ダムで300m3/s、宇奈月ダムで400m3/sのいずれかを上回る出洪水)まで引き下げ、平成18年度の排砂後に一回、試行的に実施する予定としている試験通砂(以下「試験通砂」という。)については、これまでの排砂評価委員会において、「排砂による環境への影響を低減させるため、なるべく一度にまとめてではなく、分散する形で土砂を通過させるような試みを検討をするべきである。」との提言に対する一つの試みとして事務局より提案されたものと理解している。
この試験通砂については、ある程度の回数を実施し、効果等を評価する必要があると考えるが、排砂実施期間(6月〜8月)内において試験通砂が可能となる出洪水の発生頻度はどのくらいか。
(事務局)
排砂実施期間内において1〜2回程度である。
(委員B)
ダムに堆積した土砂量および形状については、貯水池測量の結果より出し平ダムでは最深河床の縦断図で、宇奈月ダムでは平均河床の縦断図で表記しているが、今回は堆積土砂量が例年に比べ少なかったこともあり、縦断図では土砂の量的な変化が分かりにくい。土砂の量的な変化が分かるよう表記方法を工夫できないか。
(委員A)
ダムに堆積した土砂量および形状の表現については、排砂・通砂前後の堆砂形状や堆砂量の変化、あるいは、昔の堆積土砂に影響があるかどうかなど、検討目的によって方法が異なってくる。通常、ダムの堆砂形状は縦断図で表記されている。
しかし、堆砂の動き(変動)を見る場合には、特に動きが大きい代表的な断面の横断図もあわせて示した方がより詳細に土砂の動きが分かるのではないかと考える。
(事務局)
代表的な断面の横断図を次回以降、提示させていただきたい。
(委員C)
今回の目標排砂量である3万m3(平成17年12月時点暫定値。以下「目標排砂量暫定値」という。)はどのように設定されたものか。また、排砂時には出し平ダム堆砂形状の図の破線で示されている平成6年12月河床高まで近づくように土砂を排出させるのか。
(事務局)
目標排砂量暫定値については、平成17年度の排砂、通砂後から平成17年12月の間に堆積した土砂量を設定している。また、平成6年12月河床高については、排砂時にこの河床高を下回らないという基準として設定しているものであり、排砂時は目標排砂量分のみ排出することとしており、この河床高に近づくよう土砂を排出するということではない。
なお、最終的な目標排砂量については、今後の融雪出水等により新たな土砂堆積が見込まれることから、平成18年5月の貯水池測量の結果をもって決定する。これまでの前年12月〜5月の堆砂実績は出し平ダムで平成16年度が約16万m3、平成17年度が約6万m3であった。
(委員A)
出し平ダムの設定河床高としては排砂時にこれを下回らない基準として平成6年12月河床高が設定されているが、ダムの管理上支障がなく、安定的に維持できる河床高(以下、管理河床高という。)は設定されているのか。
(事務局)
出し平ダムについては現在、管理河床高は特に設定していないが、例年実施している排砂後の貯水池測量による堆砂形状を見ると、平成17年度排砂、通砂後の河床高と概ね近似しており、現状ではこの程度の河床高で安定的になっているものと考えている。
(委員A)
出し平ダムの最上流端は発電所の放流口機能維持のため人工的に開削しているが、この部分は排砂を行っても恒常的に土砂が堆積し、今後も補足的な土砂対策を実施していく必要があると理解してよいか。
(事務局)
そのとおりである。この部分には新黒部川第二発電所と黒部川第二発電所の放水口があり、特に新黒部川第二発電所からの放流を確保するため人工的に掘削しているものである。
(委員D)
出し平ダムの堆砂形状の図を見ると、発電所の放流口の機能維持のため人工的に開削している部分の土砂量が非常に大きく見えるが、掘削量はどの程度か。また、この掘削量が目標排砂量(暫定値)にどう関連しているかについては重要であり、説明願いたい。
(事務局)
人工的に掘削した部分の土砂量は約6万m3であるが、貯水池内で側面や下流側のほうに土砂を移動しているだけであり、目標排砂量(暫定値)には影響していない。
なお、幅10mほどの台形断面で掘削しているため、出し平ダムの堆砂形状の図で示す最深河床では非常に深い形に見えるが、平均河床ではもう少しなだらかな形になる。
(委員E)
試験通砂ではどのくらいの土砂量が通過すると想定しているのか。
(事務局)
通砂時に通過する土砂量把握の必要性については、これまでの排砂評価委員会でもご指摘いただいているところであるが、現在の技術では正確な把握が困難な状況にあることから、現時点では断言できない。今後、ある程度精度高いデータが得られた段階で公表していきたいと考えている。
なお、試験通砂は排砂後に発生する小規模な洪水によって新たに流入する土砂を通過させることを目的に実施するものであり、その効果把握のため試験通砂前後に貯水池測量を実施することとしている。
(委員F)
試験通砂において発生するSS値はどの程度になると想定しているか。
(事務局)
資料-1の8ページに示す「平成18年度連携排砂におけるSS値の予測」は試験通砂を実施する規模の出水も含めた形でシミュレーションを行っており、資料に示す下限値程度ではないかと考えている。
(委員長)
平成18年度の連携排砂計画(案)の中で、これまでの計画と異なる点は、通砂実施基準流量を排砂実施基準流量まで引き下げた試験通砂を実施する点である。
 
○平成18年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−2 平成18年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
 
[主な意見]
(委員C)
平成18年度のアユ調査において採捕調査が計画されているが、黒部川では内水面漁業協同組合によるアユの放流がかなりの頻度でなされていることから、放流に関するデータ(放流日、サイズ等)を把握しておく必要がある。
(事務局)
平成17年度は内水面漁業協同組合に放流に関するデータをご提供していただいているものであり、平成18年度も同様に把握してまいりたい。
(委員G)
海域のセジメントトラップにて採取した試料の分析項目は、底質調査項目に応じて行うとのことだが、粒度分析も行うのか。粒度分析を行う場合はどの程度のサンプル量が必要なのか。
(事務局)
サンプル量が十分であれば、粒度分布も含めて調査項目について分析してまいりたい。
(委員A)
粒度分析を行う場合は、今はレーザーで測るものがあり、その場合ではほんの少量のサンプルがあれば分析は可能と思う。
(委員長)
セジメントトラップを設置している期間はどれくらいか。
(事務局)
セジメントトラップの設置期間は、連携排砂実施期間の前後を含めて、5月から9月までの間を考えている。採取瓶の回収は10日毎の回収を考えている。
(委員D)
採取瓶の回収を10日毎に行うとのことだが、この間隔はずっと変えないで行くのか、あるいは排砂がこの数日の間に行われるであろうと思われる日から10日間継続して行くような、臨機な回収を行うのか、具体的にはどのように考えているのか。
(事務局)
基本的には決まった間隔で回収しようと考えているが、排砂前の予測に基づく回収は困難であるが、排砂終了後に間隔を変えて回収することは可能である。
(委員D)
排砂中における一定期間の量というものを押さえておく必要があると考えられるので、タイミングよくセジメントトラップで採取出来ればより良いデータが取れると思う。
(事務局)
昨年は洪水が大きかったこともあって、連携排砂期間中のサンプルは、セジメントトラップが流されてしまったため採取出来なかった。18年度は流されないように重りを増やすなどの工夫をして観測してまいりたい。
(委員E)
セジメントトラップで海底付近については採取されないのか。
(事務局)
昨年、セジメントトラップを設置したC点の水深40mに対して、10m、20m、30mという3層で採取したが、18年度はそれを変更し、一番深い層については、海底から1m上がったような位置でセジメントトラップを設置して採取したいと考えている。
(委員E)
我々が議論しているのは、海底から採取した試料についてであるため、セジメントトラップで採取する位置も海底により近い所で採った方が良いのではないかと思う。
(委員長)
海底から1m程度上での採取が精いっぱいではないかと思う。湖のようなほとんど水の動きのないところでは10cmぐらい上まで採取できるが、ダムになると流れがあり、かなり難しい。海も底層に近い所では難しいのではないかと思うので、採取位置は1mぐらいが精いっぱいではないかという感じがする。
(委員F)
セジメントトラップで採りたいのは、例えば10日間なら10日間でトラップに沈積した土砂を採取しようとするものであり、あまり底のほうに沈めすぎると、海底に一度沈積したものがもう一度巻き上がり中に入ってくることも考えられ、このようなことになると解析を誤る可能性があると思う。
(委員E)
海底により近いところにおける沈降物の採取は、一度沈積したものがもう一度巻き上がるような現象が起こっているかどうかを調べてみるためにも必要な調査ではないかと思う。
(委員長)
セジメントトラップの採取方法については、18年度の環境調査計画(案)に基づいて慎重に対応していただくことで、その結果採取されたデータを見てまた次回検討するということにさせていただければと思う。
(委員E)
海の採泥では、20cmぐらいの厚さはとれると考えられ、20cmもあったら、そこのところの堆積環境がわかると思う。新しく堆積した砂か、前からそこにある砂か、海底ではきれいな層になっていると考えられるため、必ずパイプによるコア抜きか、きれいに切断し層を出して写真に記録しておくことが重要だと思う。
(事務局)
H18年度については、採泥したときにビニールパイプのようなものを刺して、柱状にコア抜きのような形で抜いて写真に記録してまいりたい。
(委員E)
海域の追加調査は排砂実施機関として調査をやるのか、それとも富山県漁業協同組合連合会が実施する調査結果を利用させてもらうことになるのか。
(事務局)
資料2の7ページに記載の富山湾全体の調査で、黒部より西の海域については、富山県漁業協同組合連合会が実施されるデータを利用させていただく計画にしている。排砂実施機関では、7ページ左側の拡大した図面の緑の点について調査する予定である。
(委員E)
水深200mより深いところで採取する計画になっているが、採取するときはスミス・マッキンタイヤ採泥器で丁寧に採っていけば、きれいに互層ができている状況がわかると思う。それがどのように変わってくるかということについては、黒部川のことを調べる場合や富山湾全体を調べる場合に非常に役に立つと思う。
(委員D)
資料2の5ページでは水産試験場で行っている採泥方法と排砂実施機関で行っている採泥方法とを比較検討することにしているが、水産試験場での採泥は直近に堆積したものを中心に採泥を行おうとすることから、表層から5cm程度の堆積物に焦点を当ててサンプリングをしているのに対し、排砂実施機関のほうでは、スミス・マッキンタイヤで採泥したものを全て混合しているとのことで、それぞれが準拠している指針等があるため、どちらが正しいか正しくないかということではないと思う。
(委員長)
17年度の調査結果で一つ問題が出てきたのは、水産試験場のデータと排砂実施機関とデータを比べると、水産試験場の有機物の値が高い傾向があり、この要因は採泥方法に違いがあるのだろうと考えた。排砂実施機関としては今の方法でこれだけの年数を重ねてきたので、今までの方法で継続していく必要があると考えるが、今後、水産試験場が実施したデータも入ってくるので、採泥方法の違いによるクロスチェックを実施し、検証を行っていけば良いと思っている。
(委員長)
平成18年度に富山県漁業協同組合連合と排砂実施機関が富山湾全域の調査を実施する計画となっており、富山県漁業協同組合連合の調査結果を排砂実施機関の方へ提出していただけるとの事なので、富山湾全域の状況の中で黒部川河口域がどういう位置づけにあるかということを比較したい。ただ、今後とも排砂実施機関が富山湾全域を調査するわけでなく、この海域の底質調査はあくまで黒部川河口域の範囲に絞っていくということでいいのではないかと思っている。
(委員D)
富山湾全域の調査については、水産試験場では平成13年度に富山湾漁場環境総合調査というものを実施し、その中で水質、底質、航空写真を撮って藻場の面積を出すといった形で湾内全域の調査を行った。モニタリングは5年毎に実施していくことが望ましいということで、18年度にもう一度、水質、底質、藻場の現存量の調査を実施したいと思っている。その実施にあたっては、富山県漁業協同組合連合等にもいろいろ協議しており、確定ではないが、底質調査について一回実施する計画である。参考までにご紹介する。
(委員B)
底質の調査を実施するときに調査位置について、赤い字で「漁業関係者と相談の上」とあり、これは確かに必要と考えるが、漁業関係者の都合だけではなくて、海底地形とか底質との関係で、サンプリング位置を決めていく観点も必要であると思う。例えば、資料2の7ページのところで、過去実施された点を見ると、尾根の部分が多い。尾根のところと谷の深場のところは当然底質が違う。12年度の調査地点は尾根部に偏っていると思う。経年変化を確かめるという観点では、過去に調査したところと同じところは当然入ってくると思うが、海底、地形、底質等を考慮して調査地点を選定することも検討しなければならないと思う。
(事務局)
調査結果を整理するときには、地形が尾根なのか谷なのかといったことを考慮した取りまとめを行いたい。
(委員長)
平成12年度に実施した調査地点の決定については、漁業者からの意見を尊重して選定された経緯があり、科学的な代表地点といった観点はなかったと思う。
やはり基礎的な科学的背景がしっかりしていないとそれからの評価が難しくなる。その点を今後少しずつ改正していく努力が必要ではないかと思う。
(事務局)
お示しした調査地点については、12年度調査地点との継続的な比較を行うこととして載せているが、いただいた意見も踏まえて地点については改めて検討してまいりたい。
(委員B)
河口は別として、水産試験場で分析したデータと排砂実施機関が分析したデータと数値が違っている地点については、1回の排砂でたまる堆積物の厚さというのは相当薄いはずで、20cmより薄い5cmだとしても、当然何年か分のものをミックスしている。そうすると、毎回1回の排砂の影響そのものではなく、そういう堆積したものがどのように経年変化するかをモニタリングしていることになると思う。一方、セジメントトラップは、積分ではなくて瞬間、瞬間がどうなるかと、その短い時間の中での経時変化を見ようという目的があるわけだから、その辺をやはり我々は十分理解していかなければならない。
(委員D)
底質の採取方法として、水産試験場が実施している方法と排砂実施機関が従来から実施している方法と二通りで底質の採取を行うということだが、具体的には、同じ地点で2回採泥器を下ろして実施することか。
(事務局)
サンプリングについては、1回の採泥で、採取された試料を2つに割って、それぞれの方法でサンプリングをする予定である。
(委員長)
公害関係の場合は、クロスチェックは分割して実施することにしている。排砂実施機関でも同じ方法で実施するとのことであり、問題ないと思う。
(委員A)
排砂前後で細粒分の局所的な堆積状況についてはかなり調査をされていて、18年度も実施するということで結構だと思うが、宇奈月ダムでは粗い土砂が通過してきているという実態を踏まえて、下流部の河床の材料が経年的にどう変わってきているか把握することが今後重要になってくると思う。
経年的な河床材料の変化を把握するための調査については、広域に実施することは大変であるため、生物の生息場として重要視されているような場所を選定して、継続的に調査していくことが大事ではないかと思う。
(事務局)
河床材料調査については、不定期であるが過去に実施しており、今後もできるだけ実施してまいりたい。そして調査をした際には、過去のデータとも比較しながら変化を把握してまいりたい。
 
○その他
◇第19回黒部川土砂管理協議会おいて「排砂評価委員会議事要旨は発言者の氏名がなく「委員」とのみ表記されていることから、他の委員からの関連する事項の発言なのか分からず、審議の趣旨が判断できない。各委員にA、B、Cなどの記号を付する等工夫してはどうか。」との意見があったことから、事務局より今回の排砂評価委員会議事要旨から変更したいとの提案があり、了承された。
−以 上−

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