白峰村(現白山市白峰)にある石川県立白山麓民族資料館を訪れ、山口一雄館長に白山麓の生活と、三馬場を中心とした白山信仰について解説していただきました。
白山麓民俗資料館には6件の県や村指定の文化財になっている建物がそのまま移築されており、中に入って見学することができます。また出作りの畑や水車小屋なども再現されており、当時の生活を肌で感じることができました。
午後からは、2004年5月17日に発生した白山別当谷土石流の痕跡と、白山の砂防事業を見学しました。
まずはじめに白山の別当谷に向かい、土石流が残した土砂の上を実際に歩いて痕跡を見学しました。
上方にある大きな崩壊の痕跡は昭和9年(1934年)に発生した「別当大崩れ」です。 下側に見える大きな岩は今回の土石流で流れ出たものです。
別当谷には34基の砂防堰堤が設置されていますが、土石流で23基が破損しました。 しかし、よく見ると堰堤の近くに生えていた緑が残っている箇所もあり、堰堤が谷の両岸の土砂を抑えて、土石流の土砂が谷を削っていくのを防いでいたことがわかります。
甚之助谷に移り、現在施工中の第3号集水井(しゅうすいい)と、第6号排水トンネルを見学しました。 甚之助谷では大規模な地すべりが発生しており、その主な原因である地下水を排除するための工事が進められています。
第6号排水トンネル内部の様子。集水井や排水ボーリングで集められた地下水は排水トンネルを通って地上へ排水されます。 (排水トンネル模式図)
甚之助谷の砂防堰堤工事の様子。常に崩壊の危険がある現場のため、遠隔操作ができるラフテーレーンクレーン(堰堤の中央にある青い機体)や型枠ブロックなどを使った、無人化施工が実施されています。
現場の上方にある、今にも崩壊しそうな岩場の様子。
最後に、別当出合の今年7月に完成した吊り橋を見学しました。この吊り橋は、5月に発生した土石流で流失した砂防新道へ渡るための吊り橋に代わって作られたもので、従来の橋より標高は9m上、18m下流側にあり、全長は117mあります。
橋の上から見た別当谷の様子。 大量の土砂が堆積しています。現在別当谷の各所にはワイヤーセンサーが張られ、土石流の再発に備えられています。