「温泉」を利用した冬の工事現場
温泉の利用目的
奥飛騨地域の冬の作業現場は「積雪が多く」、「積雪期間も長く」、「気温は氷点下」となる非常に厳しい環境です。奥飛騨地域は日本有数の温泉地であるため、冬の工事に豊富な温泉を利用するアイデアを考え、作業環境と作業効率の向上を図っています。
自然動植物を守る取り組み
1.工事に使用する巨石の洗浄
現地で採取した巨石の回りには泥や氷が付着していることがあるため、クレーンでの石の吊り込み作業時の滑り等、事故の原因となります。そのため温泉を利用し、巨石を洗浄しながら氷を溶かすことで事故防止を行っています。
2.温泉の熱を利用したコンクリート養生(温め)
投入したばかりのコンクリートは、固まるまでに時間が掛かります。冬期には、強いコンクリートを作るため、コンクリートが冷えないように温泉で温め、シートにて保護することで蒸気が発生し、乾燥することなく保温できます。
3.温泉を利用した融雪
奥飛騨地域の工事現場は、非常に積雪の多い現場です。施工作業を行う前に、除雪を行うと作業効率が悪くなり、コストも掛かります。そこで、温泉を利用し融雪作業を行うことで除雪時間の短縮を図っています。
4.温泉を利用した施工業者の事務所(休憩所)の暖房、雨具等の乾燥設備、手洗い場の設置
冬は氷点下の中で作業を行うため、事務所の暖房に温泉の熱を利用しています。また、作業員の雨具等を乾燥させる設備や手洗い場等にも上手く温泉を利用しています。事務所の見取り図および温泉の利用状況は次の通りです。
~事務所(休憩所)の見取り図~

事務所の通路に管を設置し、管に温泉を流しています。その熱により室温は、常時約15℃~20℃前後の暖かさを保っています。
また、雨具は昼休憩中には乾燥することができます。

休憩所の外にある手洗い場は、室内の暖房に利用した温泉にもかかわらず、温度は52℃と少し熱めのため、水も一緒に引いています。
氷点下の作業現場から戻ってくる作業員には、暖かい手洗い場となります。また、作業靴についていた雪も直ぐに溶かすことができます。