地獄平砂防えん堤奥飛騨の砂防チェック!-⑩

さらにもう少し
«穴があいているのに何故えん堤の役割を果たすのか?»

→① 例えば、水を入れたコップとビンを同時にひっくり返した時に、コップの水の方が早くなくなっていく。それと同じように、5ヵ所あいている穴(暗渠)が、川が増水した時にビンの口の役目を果たすことで、水が流れ出るスピードを遅らせることができる。

→② 水の流れが遅くなると、そこに川が運んできた土砂が貯まるようになる。

→③ こうして、洪水の時はこのえん堤のところに土砂が貯まって、下流に流れていかないようにすることができる。

→④ そして、平時には普段どおりに水や土砂を流し、魚や昆虫が普段どおり行き来できるよう環境にもやさしい構造となっている。

«どうしてこういう施設を造ったのか?»

→① 大正9年6月26~28日にかけて飛騨地方は大雨に見舞われ、上宝村・船津町(現在の飛騨市神岡町)合わせて死者22名の大惨事となった。このとき蒲田川で発生した土石流により、道路は3800mにわたって寸断され、当時9軒ほどあった温泉旅館を含め建物13棟が川もろとも流されて蒲田温泉が一瞬にして消失した。そのとき、山に伐採衆やきこりの飯場があり、旅館の人はそこに避難したという。