はじめに

第1章
新潟県中越地震の概要
第2章
北陸地方整備局所管施設
等の被害及び応急復旧状況
第3章
様々な支援の取り組み
第4章
北陸地方整備局所管施設
等の本復旧及び復興
第5章
地震発生後の動き
第6章
地域への情報提供
第7章
参考資料



国土交通省
北陸地方整備局


第3章 様々な支援の取り組み

第12節/芋川河道閉塞対策
1.直轄化の経緯
2.緊急対策の検討
3.緊急対策の実施
4.二次災害防止対策
5.本格的な復旧工事の開始
6.復旧工事の進捗状況

2  緊急対策の検討
(1) 検討体制
(1) 1)芋川河道閉塞対策現地対策室の設置
1) 東竹沢地区と寺野地区の河道閉塞対策についての主な緊急の課題は、
a. 当初、地震により道路が各所で寸断され、地上から現地への建設機械や資材の搬入手段がないうえ、河道閉塞部上流側の水位が上昇するという緊迫した状況の中で、閉塞土塊上の越流による崩壊で下流の堀之内町等で二次災害が発生しないように緊急的に水位低下させる
b. 本格的な積雪期を迎える前に、短期間で融雪出水を十分に流せる排水路を整備することの2つだった。
 このため迅速な対応を行う必要があり、11月5日から緊急工事を実施するなかで11月12日湯沢砂防事務所に芋川河道閉塞対策現地対策室(総括:国土交通省保全課長)が設置された。現地対策室は融雪出水対応の応急対策が完了する12月28日まで設置され、その間、本省、本局、各事務所の職員、延べ約400人以上の応援や新潟大学並びに国土総合技術研究所と独立行政法人土木研究所の専門家の支援を受けた。

写真3-12-3,4  芋川河道閉塞対策現地対策室(湯沢砂防事務所災害対策室)における執務状況 写真3-12-3,4  芋川河道閉塞対策現地対策室(湯沢砂防事務所災害対策室)における執務状況
写真3-12-3,4  芋川河道閉塞対策現地対策室(湯沢砂防事務所災害対策室)における執務状況

2)芋川河道閉塞対策検討委員会による恒久対策の検討
 緊急復旧工事を実施するなかで芋川流域の砂防計画と寺野・東竹沢地区の恒久対策を検討するため、学識経験者、専門家からなる「芋川河道閉塞対策検討委員会(委員長:丸井英明新潟大学教授)」を設置し検討を進めた。
第一回委員会[平成16年11月17日(水) 開催]
第二回委員会[平成16年11月26日(金) 開催]
第三回委員会[平成17年01月14日(金) 開催]
第四回委員会[平成17年03月01日(火) 開催]

写真3-12-5,6 芋川河道閉塞対策検討委員会開催状況 写真3-12-5,6 芋川河道閉塞対策検討委員会開催状況
写真3-12-5,6 芋川河道閉塞対策検討委員会開催状況


(2) 調査・検討内容
1)寺野地区の河道閉塞状況
 寺野地区の閉塞箇所は芋川の上流にあり、付近の地質は泥岩や砂岩の互層からなっている。右岸側は傾斜が急で、3箇所の崩壊が発生した。左岸側は勾配の緩やかな斜面になっているが、地すべりが発生し、260mにわたって谷を埋めた。地すべりの移動量は上部で60m、下部で40m、地すべり土塊は右岸側の谷壁に押しつけられるようにして止まっている。決壊すると土砂氾濫が発生し、下流他の閉塞部にも決壊を招いて大きな被害が出る恐れがあった。
 地すべりの状況を写真3-12-7、湛水状況を写真3-12-8、河道閉塞の状況を図3-12-2、河道閉塞の規模を表す諸元を図3-12-3、河道閉塞のデータを表3-12-1にそれぞれ示す。

写真3-12-7  上流から見た地すべりの状況(H16.10.28)
写真3-12-7  上流から見た地すべりの状況(H16.10.28)


写真3-12-8 下流から見た湛水状況(H16.11.23)
写真3-12-8 下流から見た湛水状況(H16.11.23)


図3-12-2 寺野地区における河道閉塞状況図
図3-12-2 寺野地区における河道閉塞状況図


図3-12-3 河道閉塞の規模を表す諸元
図3-12-3 河道閉塞の規模を表す諸元


表3-12-1 寺野地区における河道閉塞状況
河道閉塞箇所の規模
高さ
(m)
最大長
(m)
最大幅
(m)
堰き止め
土砂量
(m3)
最大
湛水量
(m3)
31.1 260 123 303,340 387,500
地すべりの規模
長さ
(m)

(m)
想定深さ
(m)
土砂量
(m3)
360 230 25 1,040,220
寺野地区の堰き止め土砂量は新潟県庁約1.6杯分、最大湛水量は新潟県庁約2杯分に相当

参考:大きさの比較
新潟県庁
高さ87.3m
地上18階地下1階
庁舎の体積約18.9万m3
東京ドーム
高さ地上約56.2m
体積約124万m3
建築面積約47万m2

2)東竹沢地区の河道閉塞状況
 東竹沢地区では芋川の河道が左岸からの地すべりによって320mに渡って土砂で埋まった。現地調査から、地すべり地の上部斜面の移動量は約70mであったことが分かった。河道閉塞部上流の水位が上がり、上流の集落では家屋が水没・浸水するなど、深刻な被害が発生した。また土塊の上を水が流れるようになると、河道閉塞決壊による土砂氾濫で下流にも被害を及ぼす恐れがあった。
 地すべりの状況を写真3-12-9、湛水状況を写真3-12-10、河道閉塞の状況を図3-12-4、河道閉塞のデータを表3-12-2にそれぞれ示す。

写真3-12-9  下流から見た地すべりの状況(H16.10.28)
写真3-12-9  下流から見た地すべりの状況(H16.10.28)


写真3-12-10 下流から見た湛水状況(H16.11.18)
写真3-12-10 下流から見た湛水状況(H16.11.18)


図3-12-4  東竹沢地区における河道閉塞状況図
図3-12-4  東竹沢地区における河道閉塞状況図


表3-12-2  東竹沢地区における河道閉塞状況
河道閉塞箇所の規模
高さ
(m)
最大長
(m)
最大幅
(m)
堰き止め
土砂量
(m3)
最大湛水量
(m3)
31.5 320 168 655,940 2,560,500
地すべりの規模
長さ
(m)

(m)
想定深さ
(m)
土砂量
(m3)
350 295 30 1,295,540
東竹沢地区の堰止め土砂量は新潟県庁約3.5杯分、最大湛水量は東京ドーム約2杯分に相当

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