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変化する河相
 扇状地では、山地から運ばれてきた土砂の堆積と洪水の氾濫が繰り返され、川の流れはしばしば大きく変化してきました。また、比較的大きな砂礫が堆積し、水は伏流しやすいことから、農業用水などに恵まれず、扇状地の扇の面は土地の開発も遅れがちでした。
 やがて堤防がつくられ、それが補強されていくにつれ、流れは次第に固定され、周辺の土地利用も進みましたが、流れ出た土砂は河床に堆積し、天井川となっていきました。
 近年では、砂防事業の進捗にともなう山地からの土砂流出の抑制、ダムへの堆砂、砂利採取や河床掘削等によって、多くの河川で河床の低下が顕著になってきています。河床の低下は、天井川の解消にともなう安全性の向上につながる面もありますが、一方で、護岸など河川に設置された施設の基礎を浮き上がらせ、危険な状態を引き起こします。また、北陸の河川は河床勾配がきついため、水の勢いが強く護岸や堤防へ与える衝撃も強烈です。このため、水衝部などでは洪水時に急激な深掘れが生じ、破堤などによる激甚な災害につながる恐れも出てきます。
 このように、急流河川の中・下流部は、上流からの土砂生産の影響を受けやすく、河相の変化が著しい不安定な河道となりがちです。

手取川扇状地


黒部川扇状地


洪水時流水をはねているピストル型水制(常願寺川)

[関係資料]
 ◆写真:根継ぎ護岸(工事中)
 ◆写真:タワーエキスカベーターによる
      河道掘削

 ◆図:常願寺川の断面図