魚が捕れなくなり、食べるものがなくなってしまったおじいさんとおばあさんは、しかたなく木の実や草の根っこを小太郎に食べさせ、自分たちは水だけを飲んでいました。
そのせいで、春を待たずにおばあさんが死んでしまい、おじいさんも骨と皮ばかりになって、とうとう寝込んでしまいました。
そしておじいさんは、 小太郎の手をしっかりとにぎり「小太郎や、実はお前の生みの親は、湖の主の犀竜様と白竜様なんだよ。後は二人を頼って、世のため人のためになることをしなさい」と告げて、息をひきとりました。
小太郎は、何日も何日
も泣き続け、こんなひどいことをする湖の主が、自分の母であるわけがないと、犀竜をうらみました。
一人になった小太郎を犀竜が迎えに来ました。
「さぁ、早く、湖の家に帰ってきておくれ」
しかし小太郎は「私の親は、あのおじいさんとおばあさんだけです。湖の底になんて行くものか」と言いました。そして、おじいさん、おばあさんがどんなにやさしく、どんなに心のきれいな人だったかを話しました。
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