国指定重要文化財萬代橋ホーム

重要文化財の経緯

 「重要文化財」とは、わが国の長い歴史で生まれ、歴史・伝統・文化などの理解のために欠くことのできない、国によって指定された「文化的な遺産」のことです。今日の世代に守り伝えられてきた貴重な財産であると同時に、将来の文化の向上発展の基礎をなすものです。

 建造物の重要文化財の指定基準が、「意匠的に優秀、技術的に優秀、歴史的価値が高い、学術的価値が高い、流派的または地方的特色において顕著なもの、のいずれかに該当し、各時代または類型の典型となるもの」とされています。

 萬代橋は、「意匠的に優秀なもの」「技術的に優秀なもの」の価値を国に認められました。

指定書

重要指定文化財指定の概要と指定範囲

1.名称 萬代橋(ばんだいばし)
2.所在地 新潟市下大川前通・川端町~万代間、一般国道7号
3.構造様式 鉄筋コンクリート造6連アーチ橋
4.橋長 306.9m
5.幅員 22.0m
6.特徴
  1. 橋梁デザイン史上での価値が高い
    • 充複された躯体側面全体に花崗岩(御影石)を施す重厚な外観
    • 連続アーチの律動感が巧みに表現された近代橋梁
    • 力学的合理性に基づく近代的橋梁美が体現された構造物
  2. 技術的達成度を示す遺構として貴重
    • 建設当時、鉄筋コンクリート構造物としてわが国最大支間を実現(最大支間:L=42.4m)

重要文化財指定範囲の解説

①高欄
高欄

建設当時の高欄の鉄柵は、鋳鋼造による唐草模様のデザインでしたが、太平洋戦争中の金属供出により失われました。この唐草模様の鉄柵を復元したものが、橋詰広場にある階段の転落防止柵に組み込まれています。
転落防止柵

②旧橋詰階段親柱
橋名板

建設当時の橋詰階段の降り口に設置された小さな親柱のこと。
石積風目地が切られた表面モルタル洗出の柱です。

③橋詰隅柱
橋名板

橋梁本体の親柱とともに、建設当時の橋詰の角に設置された石張りの柱のこと。昭和39年(1964年)に発生した新潟地震の復旧工事の過程で失われた5本の橋詰隅柱のうち、信濃川沿いの3本は平成16年(2004年)に復元されました。

④橋詰壁面
橋名板

右岸の橋話隅柱に接続している橋詰壁面の上部には、モルタル塗りで仕上げられたロンバルディア帯と呼ばれる波模様を連ねた軒周りの装飾が施されており、壁面の表情を豊かにしています。

重要文化財指定に伴う復元事業(萬代橋75周年記念事業)の解説

①照明灯
照明灯

太平洋戦争中の金属供出により失われた建設当時の照明灯を、平成16 年(2004年)、当時の図面や写真を参考にデザインを進めほぼ完全に復元し、設置しました。
明治期の装飾的な意匠から脱皮しようとした形状が確認できます。

②橋側灯
橋側灯

萬代橋本体の側壁に、平成16年(2004年)、建設当時の図面や写真を参考にデザインを進めほぼ完全に復元し、設置した照明装置です。橋上にある照明灯の意匠と整合が図られています。夜間や濃霧などの際、航行する船の安全確保のために大切な役割を担っています。設置費には、市民からの寄付1,800万円が充てられました。

③橋名板
橋名板

建設当時の鋳鉄製の橋名板は太平洋戦争中の金属供出により失われ、代わりに石材製の橋名板が取り付けられていました。平成16年(2004年)、萬代橋開通当時の写真などをもとに鋳鉄製の橋名板を復元、設置しました。

④転落防止柵(スロープ部)
橋名板

建設当時の旧橋詰階段には、御影石の支柱に鋼製の手すりを組み合わせた転落防止柵が設置されていました。スロープ部の転落防止柵はこれを再現したものであり、地覆石には旧橋詰階段の地覆石と推定される石材を使用しています。

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