縦工

縦工の概要

黒部川水系の概要

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黒部川では上流の治水ダムの完成および、砂防事業の進捗により、上流からの土砂供給が減り、河床低下がほぼ河道中央で進み、堤防前面には高水敷化した寄り州が残りました。
縦工は、堤防と一体となった高水敷(寄り州)の強度安全率を評価し、出来るだけ現況のまま維持するようにして、その成長を助け、環境に配慮しつつ常水路を製正し、固定化することを目的としています。
縦工の構造、配置計画等は土研での移動床模型実験の結果を得て以下のように決定しました。

  1. 縦工の配置間隔について
    縦工の間隔LBは河岸侵食量ΔYが許容侵食量内に収まるようにする。河岸侵食量ΔYの推定式は模型実験からΔY≦0.14LBの関係を得ました。また、縦工の配置間隔と河岸侵食量の発生位置は縦工間の中央より下流に集中し、その角度θsは12°、θfは20°となり、これを採用しました。
  2. 縦工の長さについて
    縦工の長さltは長ければ確実に守れる河岸長が長くなりますが、黒部川では、流れの急変が河岸に影響を与える区間を縦工の最小必要長さとしました。この長さとは平均年最大流量時の低水路平均水深Hmの約15倍です。
  3. 巻き込み部
    河岸侵食防止工の上流側に設ける巻き込み部の長さは、巻き込み工の先端位置を河岸侵食量ΔYより堤防側に入れることとしました。