白山砂防女性特派員

特派員の意見と感想
  第8回
平成15年7月30日(水曜日)、31日(木曜日)

●手取川源流域調査(白山登山)





白山奥宮前での記念撮影
白山奥宮前での記念撮影


白山砂防施設の役割と自然回復について

M.H

 白山は日本三名山の一つで、白山山系を源流とする川は長良川、庄川、九頭竜川、手取川の4つの河川があります。
 子供時代の記憶をたどると、私はこの九頭竜川で過ごしたといっても過言ではありません。私は福井県大野市の出身で夏になると毎日、この九頭竜川に水遊びに友達と出掛けました。その頃の九頭竜川は、今よりもっと水が多く、台風がくると毎年のように洪水が発生し、ある年には大きな橋も流されて、交通が一時止まったこともありました。
 私が中学3年の時、昭和43年頃、九頭竜川の上流、泉村にロックフィル式ダムが完成しました。その夏休みに私は友達と2人で、九頭竜ダムを見に行きました。大野から越美北線の電車に乗り泉村まで行き、そこから真っ青なダム湖を右手に見ながら上流をめざして3時間くらい歩き、紅色に塗られた箱ケ瀬橋を渡ってから白馬洞という鍾乳洞を見学しました。その頃の道路は未だ舗装がなくて、ダンプカーが通るたびに、土ぼこりが舞い上がり私たちは、ほこりだらけになって歩いて帰った思い出があります。九頭竜ダムが出来てからは、河原の水もずっと少なくなり、少し寂しい気がしましたがその後、大きな水害もなくなりました。
 今回の白山登山では、手取川の源流を間近に見ることができました。私は白山に登山するのは、今回で6回目です。最後に登山したのは、13年くらい前で、その頃は、まだ、柳谷の堰堤はそんなに大掛かりな工事をしていませんでした。
手取川の度重なる水害を防ぐ為、大正元年から、甚之助谷、柳谷の砂防工事が施工され、当時は、現在のような機械もなく、人力で多くの人たちが堰堤を築く為に汗を流してきたのだと知りました。
 その後、手取ダムが造られ、私たちは、河川の氾濫防止、電気、飲料水、農業用水、工業用水等多くの恩恵を受けてきました。
しかし、ダムは周辺の環境に大きな影響を与えて来たことも事実です。上流にダムを造った為に、魚が住みかを失ったり、産卵の為に上流まで、到達できなかったり、またその魚を餌にしていた鳥類が減ったりと、生態系に大きな影響を与えました。 又、水をコントロールする為にダムを造り、土砂を堰きとめることが、海岸の浸食を早める原因の一つであることも事実です。
 白山は活火山であり、毎年数センチも地滑りで動いているという事実から、地震や台風などによる大きな水害が今後起こる可能性が十分にあります。
 柳谷の堰堤工事は、大規模であるのと、コンクリート構造物が多く景観もよくない事から、批判の対象にされやすいのですが、もっと砂防の重要性を庶民に知ってもらうべきだと思います。
 地すべりによって砂防堰堤は、少しずつ土砂で埋まって行きますが、それと同時に堰堤周辺の植生も回復してくると思います。
しかし、高山、又は、亜高山帯である為に、植生の回復はかなり時間が掛かると思われます。
 地すべり崩壊後の植生を早く回復する為に私たちは、砂防堰堤周辺の植生を調査して、ブナ、ダケカンバ等の種子を採取する。それらの種子を播種して育てる。数年育てた後、植栽して自然に戻す等、努力する必要があります。
 この様な緑化の事業が、砂防工事と並行して行われることで、白山周辺の景観を回復すると同時に、白山の自然を守る事に寄与することが出来るのではないでしょうか。
 今回の白山登山は女性特派員の友情を深めると共に、すばらしい天気に恵まれて、雲海に沈む夕日、宝石箱をひっくり返したような星空、ご来光、お花畑などに出会うことが出来、無事、家路に着くことが出来ました。私たちをサポートしてくださった多くの方たちに感謝します。ほんとうに有難うございました。



ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲ
(エコーラインにて)


白山砂防についての一考察

K.K

 今回、白山登山をして、我が登山歴のナンバー2白山でした。28年前に高校1年生の時、山の大好きな先生に連れられて登山をした時も今回の様な絶景でした。その後、あの感動をもう一度と思いつつ、いろいろのメンバーで、時節も7月末から8月末までいろいろに挑戦しました。誰と登っても、白山には登山道が3つあって、初心者は砂防新道、お花が好きならエコーライン、体力に自信があって、山のパノラマを楽しみたいなら、観光新道と教えては下さいますが、砂防というのは、いったい何のことか理解できませんでした。もっと白山らしい風流な名前だったら・・・とも思っていました。
 今回の白山登山で初めて、大正時代にすでに土砂崩れを防ぐ為大きな機材もない中、作業をする人達の通り道だったとか。昭和9年の大洪水以前にすでに危機感をもって対処していたことに感動しました。
 私は、15歳の時からずっと白山のとりこになったようにのぼり続けていますが、あれ以来登山は、滝のような洪水や、台風が近づいた危険な中のことが多く、あるときは、小5の長女と、4歳の長男を連れて登ったのに3日間濃い霧の為下山できず、山小屋で、3泊したことがありました。偶然にも、私を初めて山に誘って下さった、高校時代の恩師が、自然解説員として、又写真愛好家の方と一緒におられ、一緒に過ごすことが出来ました。何しろ宿泊客は、大阪の老夫婦と先生たちだけでしたから。トランプしたり、いろいろ雑談したり小屋ではそれなりに有意義に過ごしました。装備の仕方や、雨ガッパが、どんなに大切か、そして、植物のスライドを見せて頂いたり。私にとってその時間は絵葉書に載る様な景色はなくても、山の成り立ちや、動植物を知る良い機会と思っていましたが、それ以来長女は、登山大嫌い人間になってしまいました。もちろん、我が家ではそのような悪天候の日に子供2人連れで山登りした私は、ひどく責められ、それ以来5〜6年は白山登山御法度となってしまいました。
 でもやはり、私の心の中には一面の花畑、翠か池や血の池のエメラルドグリーン、満点の星、はい松とななかまどの翠の間の雪渓、雲海を忘れることはありませんでした。植物について言えばコバイケイソウは、結構花株のそろった年に偶然見ていたせいかもしれませんが、数が激減したし、(3〜4年周期に花が咲く性質を谷野さんに教えていただいたから)
 28年前は、弥陀ヶ原一帯イワカガミだの白山ふうろう、白山こざくら、ちんぐるまが群生していたように思いますし、クルマユリも減りましたね。もっとも、驚いたのは、はい松が、背丈が、全然変わらず、逆にまばらになった気がします。  確か十年に1センチくらいは伸びているはずですが・・。もちろん、初登山の思い出が、記憶を美化しているだけかも知れませんが・・・。
 今回の登山で本屋さんが、還暦の記念に皆から止められたけど参加したと仰います。私もあと17年で還暦。もし、17年間白山とご無沙汰したとして、景観が今より劣るようなことが明らかだったら、がっかりですよね。甚之助谷や、別当谷の砂防堰堤工事が、思わしく進まなかった場合、白山自体の姿も変わってしまうかも知れません。年に大きな水害がなくとも数センチは動いているとのこと。とても心が痛みます。かといって私がクレーンを動かせるわけでもないし、雪解け水を防げる訳ででもないし、せめて何か出来たらとの思いで砂防特派員に願い出しました。しかし、専門の先生方から、話を伺い学べば学ぶほどに精一杯関係者の方の努力と熱意がわかるだけに、あの剥き出しの砂防コンクリート堰堤の景観が・・・などといっている場合ではないことがよく解りました。はじめ私もコンクリートの一番上部分にアイビーのようなツタ状の人口グリーンを貼り付けるなりコンクリートに流し込んで、季節ごとに遠隔地から、指示を出して紅葉させたり崖の部分にネットを張り巡らし、人工芝のようなものを吹き付ければなどと発言しました。しかし、そんなまやかしでなく本質を通すことが先決と思い始めました。
 白山に自分の足で登ってみようという人なら、山の好きな人なら、きっと砂防事業を理解して下さいます。皆切羽つまっていると知らないだけでしょうか?特に山頂でお池めぐりを体験された方なら、後ろから見る御前峰、剣が峰がどんな岩石なのか、そして冬、風雪に耐え山開きとともに一気に夏を向かえ、ほんの僅かに岩陰で可憐な花を咲かせる岩ききょうやこけ、小さな小さな花・花・花 これを多くの後世の人にもきれいなまま残したいと思うはずです。
 カムフラージュよりあえて本当のこと危機感を伝える事が大切です。私もそうであったように頭の柔軟な中学生・高校生の教育の現場で、山登りを体験し、砂防の意味をよく説明すること。しかも、良い天候を選んで・・・(私の娘のような失敗はしないで欲しい)一般や、今流行の中高年登山者には、下山の折に自然解説員の方にお力を借りて、現場で、要所要所で、たて札が無理なら、肉声で砂防事業を伝えて欲しいです。看板ご法度、室堂センターに砂防コーナーを設けることが無理なら、是非、登山を終えてゆとりのある帰り道、皆さんに伝えたら・・・と思います。
 何も知らない私たち女性にこのようなチャンスを下さった国土交通省の方や、金沢河川国道事務所の方に大変感謝しております。教育の現場から、山に興味のある子供が育ち砂防の事を研究し、極めてくれる人材がでるのも又楽しみです。
 大変なお仕事ですが、応援しています。宜しくお願いします。



別山と室堂
御前峰から別山と室堂を望む


S.N

 手取川源流域調査の一環として、白山登山が決まった時、内心嬉しいのと心配とが交差して、大丈夫かしらと不安でした。
 ま、とにかく出発!登り始めは小雨模様でしたが、徐々に天候が回復して青空が広がって行きました。
 別当覗では説明と共に、別当谷山崩れの跡をしっかり見ました。
 今も豪雨になると、いつ崩壊して土石流となって災害をもたらすかわからずそれを防ぐ為の「砂防堰堤」が頼もしく思えました。
 甚之助避難小屋で弁当を食べている時、泥だらけになったままで工事の資材を運ぶ人達を見て、頭が下がりました。
 途中でも、登山道整備中の人達は、登山する一行が通り過ぎるたびに手を止めなければならず、思わず「ご苦労様、すみません。」と言って通りました。
 17年前に一度登った時とは違えるほど道はきれいで歩きやすくなっていたのは、この方達のお陰と感謝です。
 それでも途中、目に入る砂防工事現場景観は、一般的に見ると自然を破壊しているようにも見受けられます。
 実は私も最初はそう感じていたのです。
 今でこそ、砂防特派員の研修を受けたことによって、偏見と誤解は解く事が出来ましたが、まだまだ以前の私の様な考えをしている人は少なくないと思います。
 そこで、私の提案ですが、小さな立札を工事の見える登山道の脇に立ててはいかがでしょうか。歩く人の目線で自然にマッチしたものです。
 実はこのヒントは夕日寺健民自然園で使われているのを真似ています。
 樹木や植物名が説明史で、わかりやすく、クイズ方式も取り入れてあり、大人にも小人にも結構人気があります。一人でも多くの人達に「砂防工事等」の理解を深めていただきたいですね。
 手取川源流の万才谷見学、昨年リニューアルしたばかりの室堂、今盛りの高山植物、小鳥のさえずり、雲海に沈む夕日、満点の星空、御来光、3つの花をつけたミヤマクロユリの写真も撮れたし盛り沢山の幸せ、全部最高!!
 そして何よりも全員揃って無事白山登山にチャレンジ出来た事、本当に良かったです。
 皆さん、本当に有難うございました。



オタカラコウ
オタカラコウ
(砂防新道、十二曲がり付近)


K.T

砂防工事について

 白山には何度も登っていますが、今回のように砂防の話を聞きながらの登山は初めてで、貴重な体験となりました。
 自然の美しさと同時に地すべりなどの厄介さも知り、砂防工事の必要性もある程度理解できたつもりです。それでも中飯場で3回も広い林道を横断し、工事用の巨大なコンクリートの塊を目にしなければならない現状は、どうしても気になってしまいました。やっと歩いてきたら、何と、そこには立派な林道、それに大型トラック、それも3回も。がっかりしているところに、追い討ちをかけるように不動滝下の異様なコンクリートの塊をはじめ段々畑のような堰堤の連続です。美しい白山の姿を保つため、洪水や土石流から下流域を守るためと聞けば、砂防工事に異を唱えることは出来ませんが、それにしてもあそこまで必要なのだろうか、との疑問をぬぐい去ることができませんでした。
 黒ボコ岩の下の方で大正時代に造られたた堰堤が、昭和9年の大洪水にも耐えて、今もしっかり残っていると聞き、感心しました。技術的にも進歩した現在の堰堤がコンクリートの塊で、大正時代の堰堤がきれいに石積みされていて周りの景観ともマッチし、お花畑にあってもおかしくありませんでした。これはどうしたことでしょう。環境への配慮が大正時代に比べて現在の方が後退しているのでしょうか。
 いずれにしても、あの不自然なコンクリートの塊について、少しでも景観が良くなるよう、私たちに出来るお手伝いはないものでしょうか。

白山登山について

 今回の白山登山は皆さんと楽しく登り、白山の自然の豊かさ、美しさ、すばらしさを理解してほしいとの思いでいっぱいでした。登山日程を聞いたときはとっても心配でした。炎天下の登山になるからです。でも、おかげさまでお天気も味方をしてくれ、涼しく登り、夕日、朝日、高山植物と、どれも申し分のない条件がそろい、白山の魅力が一段と輝いたと思います。
 皆さんが、全員で山頂に立てたこと、また、怪我もなく無事に行って来られたのが何よりだったと思います。ありがとうございました。



弥陀ヶ原から御前峰を望む
弥陀ヶ原から御前峰を望む


Y.S

 今回、初めての登山を体験して、周りの人から、山の魅力が解った?と訊かれます。
 天候にも恵まれ、高山植物達の可憐な姿、白山は、まるで母のように両手を広げて私達を迎えてくれました。
 それにしても、なんと大勢の人が山頂をめざしていたことでしょう。
 私にはまだまだ感じることができない、白山の自然の素晴らしさを知っている人達なのでしょう。
 私は、ン十年前に、岐阜県の山中でキャンプした夜、鼻をつままれてもその方向が判らない(この表現わかりますか?)くらい真っ暗な中で、一人では見ているのが恐いというほどの満天の星を観たことがありました。
 私は星を見ていると、知識はないのですけれども、宇宙の「大きさ」を体で感じます。
 そして、自分が宇宙の大きな中のちっぽけなひとつの生命にすぎないのだ、と思うと不思議なのですが、こころが洗われる気がします。
 白山の上で、もう一度あの星達に逢いたい、今回の目的の大きなひとつでした。
 いくつかの照明があって、残念ながら、あの降りそそぐような星空を望むことは出来ませんでしたが、雲のない夜空を見ることができました。
 私達をとりまく「自然」は、いつもそこにそのままの姿であります。
人工光のせいで、はっきりとは見えないけれども、星たちは何百年、何千年前から同じよう瞬いていました。
 地核の動きや、風雪により山は日々崩壊していますが、そこに住む動植物は、それをごく自然に受け入れ、今も営みを続けています。
 わたしたちニンゲンも、かつてはそのように暮らしていたのですが、増殖してニンゲンを中心に物事を考えるようになった現代では、そうもいかなくなりました。
 そこに山があり、大量の雨が降れば、土砂災害が起こることは自然のことです。
 自然の大きさに対して、砂防工事は万全ではありえません、ニンゲンのできることなどちっぽけなことです。
 「そんなちっぽけなニンゲンが、考えられる限り、出来る限りのことを、頑張ってやっています。」と大きな声で言えたらいいですね。
 砂防堰堤を人工的に覆い隠す事より、その費用とエネルギーを、「私達が今出来うる砂防堰堤」の必要性を広く人々に伝えること(特に教育現場)が大切なのではないでしょうか。
 筋肉痛もやっと治りました、あの星を観にまた「自然」の中へ出かけたいものです。



ハクサンフウロ
ハクサンフウロ
(室堂付近)


白山登山研修を終えて

M.M

 春夏秋冬四季に富み、山紫水明緑の美しい日本の自然は世界に類がなく、ユネスコの生物圏保存地域に指定されている国立公園白山、又我国三名山の一つ白山に、久々に研修を兼ねて登山出来て幸福だった。天候に恵まれた。白山連峰は、北は医王山から南は大日岳までの2000M級の山脈までの100qをさすが産業、文化、信仰の源流といわれ自然保護、遭難対策、防災、草木鳥獣と交わり歴史を訪ねながら神秘と魅力を後世に残したいものである。
 砂防工事は必要不可欠な大切な工事であり、景観よりまず山の安全を考えるべきと思う。別当の大崩れは徐々に緑が生きることを望んでいる。雪のお陰で登山者の飲水も確保され、白山のお陰で地震がおさえられている。御前峰頂上に登る事を禅定というが瑞気風光の澄みきった頂で心静かに恩恵に感謝し、自己を反省する気持ちが大切と思う。古の修行者の道を辿りつつ、母なる白山を改めて見直すと共に、砂防工事の必要性をもっと多くの方々に知らすべきと思う。



大汝峰
御前峰から見た大汝峰


手取川源流域調査(白山登山)に参加して

N.K

 7月30日(水)〜31日(木)の1泊2日で手取川源流域調査(白山登山)に参加しました。
 初めての白山登山で,数日前より楽しみにしていましたが,同時にとても緊張していて何度もヘリコプターで運ばれる自分を想像し,不安な気持ちでした。
 自分の目で白山の自然と砂防堰堤の両方を見ることは未だかつてない貴重な体験です。
 前日から激しい雨であったのに,出発して3時間ほど経った頃にはみごとに晴れていました。
 これまで,砂防施設と役割,効果については下流域の見学会・資料をもとにした勉強会等で学んできましたが,現地を見て初めて砂防事業の必要性を理解することができました。
 途中の覗から見えた地すべりの生々しい傷跡は,山肌が緑の衣服を剥ぎ取られ叫び声をあげているかのようでした。また砂防新道の黒ボコ岩の手前には,大正初期に施工された砂防堰堤がありました。
 植生がみごとに回復し人力で積み上げられた岩石がみどりで覆われていました。
 スタートしてからの経路で心臓破りの坂をクリアし,左手に谷間を見ながら危険な斜面に咲き誇る花になぐさめられ,時折涼しい風が吹き抜けたと思えば,湧き水が流れいずるせせらぎの音に癒され少しゆとりが出た頃見たこの砂防堰堤が一番印象深い砂防施設です。
 荒れ狂う地すべり斜面にしっかり歯止めをしているかのように見えました。
 初めての登山で,いろいろな箇所を見学できてほんとうに良かったです。
 この砂防新道の一部が,8月中旬から約2ヶ月間,施設設置工事のために通行止めになるようですが,防災情報の収集・伝達・集中管理化等のための光ファイバケーブルを登山道の下へ埋設する為だそうです。登山途中ですでに準備にかかっている工事関係の人に何度も出会い,材料を背中に担いだファイト溢れる若い人も見ました。このとき,景観が悪いとか自然を破壊しているなどと簡単に言ってはいけないという気持ちが自分の中で大きくふくらみました。
 手取川源流域を見学することは,デスクに向かって資料を読むことよりはるかにわかりやすいし,山全体が素晴らしい教科書だと思います。
 柳谷の砂防堰堤は特に巨大で,人が立ち寄れない危険区域なので無人化施工されたと聞きました。
 確かにコンクリートがピラミッドのように並び,自然と調和しないと思う人もいるでしょう。近年は多くの登山者の目に飛び込む位置の柳谷護岸では自然石を利用した施工がされているし,別当谷では緑化工もおこなわれて,かなり環境保全への配慮がなされています。
 白山を訪れる登山者は年間3万人もいるのだから,なにかできないかと思わずにはいられません。
 例えば,登頂出来たことの感謝の気持ちとして,樹木の種子とその土地の土をまぜた泥団子を斜面にプレゼントするとか,私としたらその程度のことしか思い浮かびません。
 今日現在,研究を重ねた結果がコンクリートの施工ならば仕方のないことだと思います。
しかし,次世代の担い手であろう登山者には,延々と続く自然災害と環境保全の難問を解決して欲しいものだと切実に感じました。
 その意味でも,私たち女性特派員の役割は,情報収集・発信のお手伝いをしっかりしなければと思いました。
 今回の見学会では,特派員同士の仲間意識も深まり,共に見た室堂での夕日・頂上での御来光・お池めぐりコースでの雪渓と翠色した池と連邦のコントラスト・360度に広がった雲海・お花畑の数々の花等々・・・・・感激することの多い研修となりました。
 同行して下さったスタッフの方々との心の交流も出来てとても嬉しかったです。
 砂防に関する感想は,それぞれ異なっていることと思います。それが女性特派員の特徴でもあり,今後の残り少ない研修会では,意見交換会を活発に行いたいとまだまだ意欲漫々です。



キヌガサソウ
キヌガサソウ
(砂防新道にて)


油野 香織

 白山砂防女性特派員第9回研修会で、今回初めて白山登山をしました。登る前は登れるかとても心配でしたが、皆様のご協力のもと、無事登ることができ、本当に感謝しております。
 白山を登山してまず印象に残ったことは、山道にゴミがほとんど無くきれいだった事、登山道が歩きやすく整備されていた事です。
 白山登山するにあたり、事前に柳谷の砂防堰堤を見てどう思うかと言う質問を登山好きの知人数人に聞いてみました。答えは「見たくない」「隠して欲しい」「あまり気にした事はない」と言う意見が返ってきました。文句を言われるのは嫌でしたが、興味がないというのも少し残念です。私が初めて柳谷の砂防堰堤を見た時はその雄大さに目を奪われたものです。そして、今回の白山登山で見た時も初めて見た時と同じ印象でした。砂防を見たくないという人にどう受け入れてもらえるか。関心を持っていない人にどう関心を持ってもらえるか。と深く考えました。白山登山用のマップを見ると私の見た限りでは、砂防のことは全く載っていないので、白山の自然と砂防を合わせた登山マップがあれば良いと思いました。白山の優れた自然を守る上で砂防は非常に重要だということを理解してもらえるのではないかと思います。また、自然解説員のように砂防解説員がいてはだめでしょうか?砂防の歴史やその重要性を学びながら楽しめる「白山砂防科学館」に一人でも多くの人に足を運んでもらえるようにアピールできたら良いと思います。



黒ボコ岩
黒ボコ岩にて


私が感じた砂防施設の役割と効果、景観について

村中 和子

 白山は富士山、立山とともに日本三名山に数えられる名山です。今年はその白山に白山砂防女性特派員として登山する機会を得ることができました。この登山の目的は砂防施設と白山の自然を目で見て学び、「砂防施設と自然の関わり」について考えることを目的としたものでした。
 白山はその基盤である手取層という柔らかい粘土層の上に噴火によって岩などの堆積物が積み重なって出来たと言われており、この柔らかい手取層が滑ることで上の堆積物が崩れるという全国的にも稀な高山地の地すべり地帯です。この地すべりを防止するために砂防堰堤を施工し、地中に排水トンネルや集水井工が設けられていました。又、GPS測量等、観測機器の自動化を図り、監視体制の整備が行われており、現在の卓越した技術が結集され、白山が守られていることをこの目で見ることが出来てとても有意義でした。
 それでも、自然の力は驚異で、山腹の崩壊箇所が幾箇所も目につきました。特に、甚ノ助谷左岸部の崩壊は山肌がはげしく削り取られ、痛々しいばかりで、早急に砂防堰堤や山腹工等を行い、植栽をうながし、崩壊を防止する必要があるのではないかと思いました。
 現在は、柳谷で砂防堰堤が無人化で施工中であり、登山道では光ケーブルを埋設する工事が施工中でありました。工事用の案内看板は登山者を和ませる工夫がなされ、幾箇所にも設けられていました。それぞれの現場員の方々も登山者への安全には十分に気を配られ、汗を流し、施工されている姿には感動しました。
 さらに、十二曲がりでは大正元年に施工された石積みが今もしっかりと大地を守っており、先人達の知恵と技術が今も災害防止の礎として生かされ、高山植物も群生し自然と共に調和している景観には感嘆しました。
 この研修で学んだことは、砂防施設は、山を守り、平野を守り、私達の生活を安全に守ってくれていること。そして、その豊かな水源は治水から利水へと私達の生活を豊かにしてくれることを痛切に実感しました。今後とも、霊峰白山を守るべく整備を邁進されますことを祈念いたします。
 また、この研修では多くの高山植物を学ぶことが出来ました。そして、なによりも天候に恵まれ、別天地での夕陽、満天星の天の川や御来光を拝し、全員が登山出来たことがこの上ない喜びでありました。
 この研修に御尽力いただきました皆様方に深く感謝申し上げます。



ヨツバシオガマ
ヨツバシオガマ
(南竜道にて)


白山登山に参加して

滝下 麻衣

 私は、今回初めて白山に登りました。参加するまでは登ってみたいという気持ちと、ちゃんと山頂まで登ることができるかなぁという不安な気持ちが入り混じっていました。
 登り始めは雨も降っていて'つらいなぁ'と思っていましたが徐々に体も慣れてきました。山道ですれ違う人達が「こんにちは!」と声を掛け合っているのを見て、自分も知らず知らずのうちにあいさつを交わすようになっていました。見知らぬ人なのに、同じ目標に向かう同士のような感じがして、とても親近感を感じました。登ることだけで精一杯で、周りを見る余裕がなかったのですが折々に谷野さんが色々な花を紹介してくださり白山の自然を十分に見ることができたし、勉強になりました。とても感謝しています。どの花も可憐でとてもかわいらしかったです。
 室堂では、美しい夕日、満天の星空、流れ星、ご来光を見ることが出来き、とても感動しました。いつもの生活とは全くかけはなれた世界を体感出来ました。また、白山砂防女性特派員の方々、国土交通省の方々とこれまで以上に色々なことを話すことができ、仲良くなれて嬉しかったです。
 登山道の途中からは砂防堰堤の工事現場が見えました。確かに、景観から言うと、白山の自然にマッチしているとは思えません。しかし、今にも崩れそうな大斜面を目の当たりにし、この斜面が崩れたら下流は大被害を受けることを実感したし、今でも動いている白山の崩壊を防いで今ある美しい白山の自然を守る役目も果たしていることからあらためて砂防堰堤の必要性を感じました。これまでは自然に溶け込んだ砂防堰堤を作ったらいいのでは、と思っていましたが、今回の白山登山に参加してそれだけではなくなぜ砂防堰堤が必要なのか、どういう役目を果たしているのかをもっと多くの人達に理解してもらう事も大切なのではないかと強く感じました。私たちの活動で、少しでも砂防についての理解を広めていきたいと思います。



雲海と水屋尻雪渓
雲海と水屋尻雪渓


中越 真子

 白山に登山して、自然のすばらしさを全身で感じることが出来ました。
 登りは、辛さのあまり周りを見る余裕がなく、本当に上がれるのか自信が無くて諦めていました。でも、特派員の皆さんの励ましや、事務所の方々のお心遣いのお陰で、絶対上がるぞっ!!と、心に決め上がることが出来ました。ありがとうございました。
 登りの時に見た物の中で、昭和の初期に造られた水を抜くためのトンネルはとっても傾斜の急な所にあり、その当時の建設に携わった方は、相当の覚悟の上の作業だった事と思いました。でも大自然の中にぽつっとあると、一般の登山者にはそのトンネルが何なのか、何のための物かが全く分からないと様な気がします。何かの映画の秘密基地のように見えたりもしました。
 下りは登りよりも心身共に余裕が出来、ご来光も初めて見られ、さらに下界では見られない貴重なお花や景色、白山サンショウウオまで見ることが出来ました。足元ばかりを見て登った事に後悔してしまいました。
 下りの途中にあった、大正時代に造られた砂防堰堤を見たときは、"これが砂防堰堤?!"と驚きました。白山の大自然の中にごく自然に、昔からあったかのようにマッチしていたように見えたのは私だけでしょうか。人の手で造られた物であるのに、人工的に見えませんでした。コンクリートでなく、自然の石を使っていたからなのでしょうか?
 甚ノ助谷の大きな砂防堰堤は見た目が確かに不自然、人工的に見えるけど、もしなかったら、今年九州の水俣地区にあったようなひどい土砂災害が起こるかもしれない。私たち人間は、土砂災害で尊い命が奪われないように、私たちみんなのチカラで土砂災害を防いでいかなくてはならないと思います。砂防堰堤は、危険な大きな土砂災害を最小限に防いでくれる、守り神様といった感じでしょうか?(^^ゞ
 白山は、目に入ってくる物全てがすてきで、乾いていた心にオアシスが出来たような感じでした。砂防堰堤の周りも今は、乾いた崖のようだけど、砂防堰堤があったから、土砂災害が減った事と思います。将来、砂防堰堤もたくさんの緑・木々に囲まれる事と思います。またそうであって欲しいです。
 最後になりましたが、今回、白山砂防女性特派員の皆さんと金沢河川国道事務所の方々と白山登山が出来て本当によかったです。皆さんがファミリーのように支えてくれたことが何よりうれしかったです。本当にありがとうございました。



クロユリ
クロユリ
(弥陀ヶ原にて)


野尻 博美

白山登山で思った事

 とても楽しかった。天候にも恵まれて、白山がこんなに明るく輝いていたのは初めてだった。
 でも今までと山の見方が少し違う。うるさくて場こわしと思っていた砂防工事の重要性を知ったから。また白山はとても弱い山と知ったから。
 こんなに大勢の人が(自分も含め)ドカドカと登ったり降りたりして大丈夫なのだろうか?登山者こそ自然を「私の自然化」しているのでは・・・
 ともかく白山は明るく輝いてなんかいなくてももうボロボロなんじゃないのかと柳谷の現場の壁のクラックをみて思った。と思ってみても自分ではなにもできないし、大好きな山登りはやめられないし・・・
 せめてまわりの人に砂防の重要性を話し、私たちの安全の為、白山を守る為日夜努力されている方々がいる事を伝えていこうと思った。
 大正時代だったかの手作りの石積み堰堤の事とか、昭和9年の大洪水の事とかも。

友人の意見

 砂防工事を登山者の方々に理解してもらうにはどうしたらいいと聞いたら「それは簡単。バスで中飯場までいけるのにすればいい。」という無責任な答え。どうせ登山者なんか自分の事しか考えないのよと思ったけど、そうすれば、そこまでは登山者に荒らされないし、電気バスにすればいいし。でも登山者がバスのせいで倍増すればまた困ったもので。やはり今のままがよいかも。
 そうそう登山道は整備されていた方が山は荒れないように想います。



恐竜の足跡化石
恐竜の足跡化石
(砂防新道にて)


山田 知恵子

白山登山の感想文

 今回初めて登りました。
 年齢のこともあり正直とても不安でした。
 しかし、好天に恵まれ、夕日、満天星、ご来光、幻想的な雲海、初めて見るお花畑の美しさ等々、とても感激しました。
 そして初めての経験が「白山砂防女性特派員」の研修の一環だったことにとても感謝しています。というのは、道中の谷野さんからの説明がとても親切で解かり易かったことと、同行スタッフの方々の温かい心遣いが嬉しかったです。
 今回の経験から砂防に対する認識と学習、メンバーとのふれ合い等々、正に一石二鳥の収穫でした。
 有難うございました。

砂防ダムについての感想

 その必要性については大賛成なのですが、景観面でもっと工夫できないものかなぁと思います。砂防ダムに限らず日本の至る所に景観に不具合なものが多くあります。
 古い建物や自然の中に新しいものを取り入れる場合、それに合った景観を心がけることが大切だと思います。ヨーロッパ等ではそれがとても大切にされています。
 専門的なことはわかりませんが、コストのかからないもので何か良いモノはないのでしょうか?



ゴゼンタチバナ
ゴゼンタチバナ
(砂防新道にて)


白山登山と砂防及び登山道整備工事について

山本 恵子

 7月30日・31日と1泊2日で初めて白山登山を体験した。以前立山の一の越(室堂までバス)まで歩いたことがある。あの時は、サンダルにスカートといった出立で散歩気分で歩いていた。流石に一の越より上は無理だった。白山は未知の世界で家族の様子とかで私には「無理」と言った風が漂っていて、私も好んで山歩きするというのでもなく、「たぶん登ることはないだろうな」と思っていたが結論から言うと「大変迷惑をおかけしました。」と頭が下がります。
 途中箇所の工事現場、過去の集水工事と砂防工事、登山道の整備など白山の自然と人間の工事の歴史を間近に感じつつ登ると大自然が迎えてくれる。しかし白山は死火山ではなく年に数pで地盤が動いているという。もろい地盤で土砂災害などいままでに沢山の災害が発生しているがそれの予防のために沢山の砂防堰堤がつくられているがどれだけの人がその事に気付いているのだろう。登山道を登下山すると前に甚之助谷の砂防ダム群が見える。人は自然の中のコンクリートの魂を見ると「なぜ?」と思い自然の中の不自然さを感じるらしい。しかし、私はコンクリートの美しさも感じるのだが・・・20世紀の建築物はコンクリート構造物なのにと思う。人間の頑張っている姿を感じさせるのに、色など塗らずにそのままがいいと思う。
 帰りはエコーラインを通ったので行く時と違い、でこぼこでなく歩きやすかった。きつかった所をもっと歩きやすくすると、高齢者や子供達、体の不自由な方達ももっと身近に白山を感じることが出来るので、登山道に整備は必要ではないかと思う。しかし人が沢山入山すると自然が破壊されると言う意見もでてくるだろうが、それは各個人が今まで以上に自然を大切にする心掛けがより一層必要だと思う。
 私は今回白山登山をし、今まで自分が見えなかったこと、感じなかったことを考える機会を与えて下さり感謝します。沢山の仲間達と一緒に白山のすばらしさを満喫出来た事がうれしかった。登山しなければ御来光・夕映え・満点の星・可憐な高山植物の群生などを感動することがないまま終わっていく事になっただろうが、登山することで自分の中で沢山の思い出と沢山の想いを増やせたことが、これから自分の糧になることだろう。
 最後にスタッフの方々には大変お世話になりました。ありがとうございました。



クルマユリ
クルマユリ
(砂防新道・十二曲がり付近)


山岸 尚子

 今まで白山には何度か登ったことはありますが、「手取川の源泉はどこだろう?」とか、「登山道の途中で川がどのように流れているだろう?」など考えたこともなく、ただ、のん気に登っていたといった感じでした。
 今回は、登山道について自分なりに考えて見ました。白山で隣の富山県の立山の様に、ある程度の高さまで車でいけるようにしたらどうだろうか?といった話があることは聞いたことがあります。もし、そうなった時自分の足で登りたい人は、横の登山道を歩いて登ればよいと言われても車がビュンビュン通っているのにばからしくてきっと登る気にはなれないと思います。
 しかし、今ある登山道の整備なら賛成です。その整備の仕方にも問題はあるでしょう。コンクリートの階段をつけたり、舗装したり、不必要に道幅を広げたり、変に手摺をつけたりなどなどしなければ、幅広い年齢層の人達が安全に登山を楽しめればこれ以上のことはないと思います。
 どうしても自然のままの登山道を歩きたければ、いろいろルートがあるのですから、その中から自分の目的に合ったルートを選んで登山をすればよいと思います。全部の登山道を歩きやすいように整備すればよいというのではありません。それぞれのルートの特色をいかして最低限の整備をしていければと思います。
 登山道の整備は現場の条件も悪く、工事のできる期間も限られ、国立公園内ということもあり、制約も多くて大変だと思います。反対に、登山者にとっては施工中は道幅も狭くなり、天候によってはとても歩きづらいことにもなるでしょう。そこで、登山道の整備は山の崩壊を防ぎ、人々の安全を確保するためなど大切な目的があるのだということを理解してもらえるように努力することももちろん必要です。いろんな立場の人達が、どのようなやり方がいいのかなど話し合いの機会をもち、広い心で歩み寄らなければ、いつまでたっても平行線で何も始まらないと思います。なぜそれが必要なのか、極力皆にわかりやすく知らせながらすすめていければいいなあと思います。
 実際、登山をしていて、結構ご高齢の方々が多くいらっしゃったのには驚きました。いつまでも、豊かな自然の中で安心して登山が楽しめればと思います。
 最後に、谷野さんがおっしゃった「身体は疲れたけど、気持ちはリフレッシュできたんだよね。」という言葉がとても印象的でした。
 白山砂防女性特派員の白山登山に無事参加できて心から感謝しております。本当にありがとうございました。



センジュガンピ
センジュガンピ
(砂防新道にて)


砂防施設と景観について

坪野 知江

 白山砂防女性特派員になって、今回の研修で、はじめて白山に登りました。日頃からあまり体を動かしていないので、登りは本当に大変でした。白山特有の高山植物など至る所で見ることが出来たのに、ゆっくり眺める余裕もなく、ただひたすら前を歩く人の足元を見ながら、みんなに着いていくのがやっとでした。登りはじめは小雨が降っていましたが、みんなの日頃の行いが良いせいか、まもなく雨もやみ、室堂では、きれいな雲海や夕日、満天の星空、そして翌朝には、山頂で日の出も見ることが出来ました。はじめての山登りで、とっても良い思い出が出来ました。
 下りはじめは、日の出を見て興奮していたせいか、登りの疲れもほとんど感じませんでした。いろんな植物を見ながらゆっくり下りていく途中で、山が崩れているところを何箇所もみて、砂防施設の必要なところがまだまだたくさんあるなと思いました。周囲の緑豊かな山肌に比べ、痛々しいくらいに崩れている様子をみて、とても危険だなと感じました。
 登山道から砂防堰堤の工事箇所を眺めてみて、コンクリートがむき出しの状態ではとても人工的で、そこだけが目立って、周囲の自然に合わないなと思いました。自然を大切に思っている登山家の人たちの目には、私が思っている以上に不快なものに映ると思います。コスト・工法など考えなければならないことはたくさんありますが、やはり景観に配慮した整備が必要だと感じました。
 むき出しのコンクリートの色を自然に近い色に替えても、そこに構造物があるのが丸見えでは、あまり効果が期待出来ないし、自然の石を使って化粧をするという方法も、人が近づけない危険な場所なので、とても困難だと思います。一番出来そうなことは、時間・手間ともにかかるとは思いますが、低木や植物を植えて自然にできるだけ近いかたちで構造物の目隠しが出来たらいいのではないかと思います。とはいっても危険な場所だから、人が行って直接植えたりすることは出来ないので、何か特別な方法を考えないといけないのですが、たとえば、植物の種子を土に混ぜてから、砂防堰堤の上をその土で覆うとか、種子と種子が発芽するのに必要な栄養をいっしょにして、シートのような状態にして、それを砂防堰堤の上にのせて緑化させるなど、そんな方法で簡単に出来たらいいなと思います。上手に緑化出来たら、自然の景観を損ねることなく、砂防堰堤によって山の崩れを防ぐことが出来ます。
 大正時代に造られたという石積みの砂防堰堤が今でもしっかりと山の崩れを押さえて残っているのを見たときに、先人の技術はすごいなと思いました。今造られている砂防堰堤も将来多くの人々が見て、景観にも配慮した強固なものとして残ったらいいなと思います。
 最後に、この一年砂防関係のことを含め、白山を中心に多くのことを学ぶ場、考える場を与えていただき、ありがとうございました。これからも、白山の自然を大切にし、砂防堰堤によって安全に生活出来ることに感謝していきたいと思います。



イワハゼ
イワハゼ
(エコーラインにて)


白山にふれて

車古 恵美理

 今回いろいろな年齢の方、幅広い白山に関して知識を持っている方々と白山に登ることが出来て、非常に勉強になりました。子供の頃にむりやり親に連れて行かれたという印象しかなかった白山ですが、今回の登山では高山植物や土砂崩れ、光ケーブル工事のことなど一度に身近に触れることが出来て感激しました。
 登りの段階で驚いたのは、白山登山道が美しく整備されていたことでした。光ケーブルを埋設する工事に伴って登山道整備もしているということだったのですが、あの狭い登山道で登山者も多い中、管を埋設するのは本当に大変な仕事だろうと非常に感心しました。その光ケーブルによって山中の映像を、平地でいながらにして映像はもちろんのこと地盤のずれも監視出来るということにも文明を感じ何故か感動しました。
 山を登るにつれ、絵はがきで見る花を実際に近くで見ることができ、みんなに花の名前を教えてもらいながら登れたのも非常に印象深く、登山を楽しめました。頂上に近づくにつれ雲海が眼下に広がり周囲は美しい花々に囲まれ、非日常的な空間に感動しました。途中疲れを感じたときには周囲の人とのおしゃべりを楽しみあっという間に頂上に到着した気がします。室堂も子供の時行った時とは異なり、最近新しくなったということで、どんな風に変わったのか期待していたのですが、期待以上に美しく整備され、くつろげる場所になっていたのにも非常に驚きました。その日は、美しい雲海、夕日が映った雲海、きらめく星空を見ることができて本当に幸せな時間を過ごせました。夜も普段はあまりゆっくり話も出来ない特派員の方々と、楽しくゆっくり話も出来て忘れられない楽しい夜でした。ご来光を拝めるか不安に思いながら、寝たような寝ないようなうとうとしているうちに、あっという間に、ご来光を見に行く時間になりました。登るにつれ、周囲が明るくなり、ご来光を見られないのでは??と少し不安を感じたのですが、本当に美しい朝日が昇る瞬間を見ることができて、幸せでした。
 下りは登り以上に疲労を感じ、少し余裕がなくなったのですが、かわいいお花に気が紛れました。下りで非常に印象的だったのは、谷の崩れでした。土砂災害の映像や写真はある程度、興味を持って見るようになっていたのですが、実際に近くで崩れているのを見たのは衝撃的でした。砂防によってあの崩れを少しでも防げるということも教えてもらい、今まで研修に行ったどの中よりも一番砂防の重要性を感じた気がします。昔は平坦だったという登山道も今は段差が激しくなった場所もあり、山が動いていることを強く感じました。
 あの美しいお花畑、星空、夕日、朝日を守ってほしい。みんなにもあの幸せ感激を味わってほしい。そして何より、恐ろしい土砂崩れを防ぐ砂防の重要性。色々なことを強く感じる長くて短い貴重な2日間でした。
 色々な段取り本当にありがとうございました。



山頂での記念撮影
御前峰山頂での記念撮影





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