白山砂防女性特派員

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  第9回
平成15年9月3日(水曜日)

●尾添川流域調査


尾口村


特派員参加人数 13名



手取川流域図

 第1期白山砂防女性特派員最後の活動は、手取川の支流・尾添川流域についての調査・学習となりました。

 「尾添川」は尾口村と吉野谷村を流れ、手取川ダムより下流で手取川に合流する、手取川の支川です。
 尾添川の支流・中ノ川上流の地獄谷・仙人谷では特に荒廃が顕著で、温泉・噴気作用などで岩石が変質しており、崩壊しやすく、荒涼とした裸地になっています。


 牛首川の砂防堰堤が、手取川ダムに土砂を流入させないよう、土砂流出を防ぐ砂防堰堤になっているのに対し、尾添川では、土石流などの急激な土砂流出は防ぎつつ、平常時には下流域に土砂を安定的に供給する事を考慮した砂防堰堤が作られてます。
 尾添川流域の砂防事業を担当している尾口砂防出張所長に、尾添川流域について解説していただき、次は実際に尾添川の様子を見学しました

中ノ川上流の荒廃状況

 まずバスで県道岩間一里野線に入り、新岩間温泉に着きました。ここまでの道も大変細く、崖にへばりつくようにして作られており、道路よりはるか下を川が流れているのが見えました。この道は3年前に一部崩壊し、1年間通行止めになっていたそうで、途中アンカー工法で崩壊箇所を修繕してありました。


 新岩間温泉からは中ノ川工事資材運搬道路を歩きました。道路から200m下に中ノ川が流れ、途中には中心部が格子状の鋼管で作られた中ノ川下流第2号砂防堰堤が流木と土砂をたくさん捉えているのが確認できました。

 また、このあたりでも光ファイバーケーブルによる災害情報監視ネットワークの整備が進められており、この道路の下にも光ファイバーケーブルが埋められているとのことでした。

中ノ川下流第1号砂防堰堤 ハンドホール

 バスに戻り、白山スーパー林道沿いを流れる蛇谷の方へ向かい、平成13年に完成した「蛇谷下流水と緑の渓流整備工(蛇谷下流第2号、第3号砂防堰堤)」を見学しました。

蛇谷下流第2号砂防堰堤

 この堰堤は一見すると何のために設置されているのかわからないくらい高さが低く、河原に溶けこんでしまっていました。
 しかし、これでもちゃんと川床の不安定な土砂が流出するのを防止し、上流から流れてくる土砂を調節する役割を担っているのだそうです。河原に簡単に降りられる階段をつけるなど、親水性と魚類の遡上(そじょう)にも配慮されており、これから先堰堤が作られるとしたらこんな感じのものであるといいな、と思いました。


 白山自然保護センター・中宮展示館に立ち寄ったあと、「蛇谷」「中ノ川」「丸石谷」の3本の支流が合流する、通称「三ツ又(みつまた)」を見学しました。

 蛇谷から流れてくる水が、蒼い清流なのに対し、中ノ川から流れてくる水は天気が晴れているのにも関わらず茶色に濁っていました。これは、中ノ川流域の斜面崩壊が激しく、川に土砂が流れ込むためで、上流域の崩壊のすさまじさが想像できました。

三ツ又

大万場砂防堰堤の工事の様子

 最後に、尾添川が手取川と合流する地点まで戻り、手取川第2ダム直下にある「大万場砂防堰堤」を見学しました。昭和33年に完成した大万場砂防堰堤ですが、現在堰堤中央部に自然石による斜路を設置し、水生生物や魚類の生息の場と、親水の場を作る改修工事が進められていました。

 ここは、昨年(平成14年)に大量のホタルが発生した場所でもあり、工事はホタルの生息域に配慮しながら進められていました。また、金沢河川国道事務所側でも6月のホタル最盛期には工事現場近くの河原に見学台を設置し、地元の方や、ホタル見学に訪れた人々に好評だったそうです。現場に関わるすべての人達でホタルを守っていこうという姿勢があり、とてもすてきな事だと思いました。


 今回は、これまでの活動で見てきた牛首川流域とはまた違った砂防を学ぶことができました。平常時には、土砂を安定的に下流域に供給し、豪雨の時には土砂の急激な流送を抑止する砂防。砂防事業が、単に土砂流出を防止するだけでなく、「土砂を総合的に管理する」ものであるということがはっきり理解できました。

 第1期白山砂防女性特派員の活動は今回で終了です。まだまだ学びたいことが沢山あるのに残念ですが、次は白山地すべりフォーラムでの発表に向けて、特派員全員が一丸となって頑張りたいと思います。





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