スリット砂防堰堤について
最近、砂防工事では、スリットタイプ(透過型)の砂防堰堤がつくられるようになっています。
スリット砂防堰堤は、渓流の水理的連続性を損なうことなく(流れをさえぎることなく)平常時には土砂を流下させる一方、土石流や洪水中の土砂の流出(ピーク)を捕捉し、洪水の後半、または中小出水時に、その土砂を流下させるものです。
このスリット砂防堰堤により、 渓流の下流に必要な粒径の土砂が流水によって供給されるとともに、魚類、渓流昆虫、野生動物等がスリット部を通って、えん堤の上下流を移動する事が可能と なります。
なお、スリット砂防堰堤は、渓流の河床や、山脚の固定を目的とした箇所には適しません。



スリット砂防堰堤の土砂調節機能
スリット砂防堰堤を正面から見た図

横から見た図
- 中小洪水時
スリット部で流れがせき上げられない規模の小さい(中小洪水時)流量のときは、下流へ土砂を流します。
- 大洪水時(ピーク時)
流量が大きくなって流れがせき上げられると土砂を一時的に堆積させます。
(※せき上げ: えん堤の上流側で水がせき止められ滞留するため水位が高くなること。)
- 減水時
出水の後半、水位が下がってくると、堆積していた土砂が再び、スリットから下流へ流れます。