事業概要

ダムの目的

ダムの目的

洪水調節

台風などで大雨が降ったときに、利賀ダム地点で上流から流れ込む洪水の一部をダムに貯め、ダム下流の河川の流量を減らします。

利賀ダムでは、ダム地点で最大流量770m3/sが流入したときに、ダムにおいて最大500m3/sを貯留する洪水調節を行い、下流への放流量を減らして利賀川及び庄川本川の洪水被害を軽減します。

ダムの洪水調節機能強化に向けた施設

利賀ダムの洪水調節方式は自然調節方式(ゲート操作を必要としない洪水調節方法)としていますが、近年頻発する異常洪水への対応を可能とするため、利賀ダムを最大限有効活用する設備として、常用洪水吐にゲートを設置し、さらに最低水位よりも下に事前放流設備を設置する計画としています。

常用洪水吐へのゲート設置

常用洪水吐に設置するゲートは、ダム下流の河川管理者、または自治体等から、ダム下流河川の洪水被害を軽減するため要請を受けた場合に特別防災操作として使用するものです。

今後の洪水予測等により、特別防災操作への移行が可能な場合に、放流量を操作規則より減じてダムに貯め込む操作で、下流河川の洪水継続時間を減少させることなどが期待できます。

事前放流設備について

事前放流設備は、治水の計画規模やダム下流河川の施設能力(流下能力)を上回る洪水の発生が予測された場合に、事前に利水容量の一部を放流することで、貯水位を低下させ、その容量を洪水調節に転用するための放流設備です。

主な洪水被害
昭和9年7月洪水


射水市(旧大門町) 鉄道線路越水状況

(左右岸 数箇所で堤防破堤)

人的被害(人)
死者 行方不明者 負傷者
20 不明 240
浸水被害
家屋(戸) 面積(ha)
流出 浸水
94 4,009 4,168
昭和51年9月洪水


射水市(旧大門町)柳町付近

人的被害(人)
死者 行方不明者 負傷者
0 0 0
浸水被害
家屋(戸) 面積(ha)
流出 浸水
8 42 11
平成16年10月洪水
  • 台風23号による洪水で、上流の岐阜県 平瀬観測所(気象庁)で359mmの降雨を記録しました。
  • 大門地点では、危険水位7.01mに対して、観測史上最大の水位7.68m(流量3,396m3/s)を記録しました。
  • 堤防や護岸に多大な被害が発生したほか、高岡市、新湊市(現 射水市)、大門町(現射水市)などで1,400世帯、2,840人に避難勧告が出されました。


避難所に集まった住民
(能町小学校:高岡市)


堤防護岸の決壊及び根固め流失
(砺波市 庄川町青島地先)


堤防護岸の決壊及び根固め流失
(砺波市 庄川町金屋地先)

流水の正常な機能の維持

降雨が少なく河川の流量が減少するときに、ダムに貯めた水を放流して川の流れを安定させ、流水の清潔の保持や、動植物の保護のほかに、庄川沿川での水利用が保たれます。

主な渇水
発生年 渇水被害の状況
昭和42年 県下の干ばつ、さらに拡大 用水不足面積約120ha
昭和48年 小牧ダム水位10数m低下、庄川の減水で下流の諸用水が枯渇し、干ばつの被害が出た。
昭和53年 稲の枯死約30ha、野菜、飼料作物の水不足を含めると5千haを上回る大規模な干ばつ
平成6年 20%の取水制限106日
平成19年 庄川水量低下により境川ダム湖水位20m低下。ダム湖を利用する大学や企業のボート部の合宿キャンセル。

工業用水

新たに富山県の工業用水道として、砺波市庄川町庄地先において1日最大8,640m3/日(0.1m3/s)の取水が可能となります。

利賀川工業用水道

利賀川工業用水道は、平成13年度から導水施設、取水施設、配水施設等の工業用水専用施設の建設整備を実施し、平成16年度から暫定水源を境川ダムとして飲料製造業の企業に供給を開始しています。

また、当該地区は「富山県地下水の取水に関する条例」で定める『観察地域』に指定されており、周辺住民の生活に支障を及ぼすことがないよう地下水環境保全の観点から、「浸透池方式」を国内で初めて採用しています。


砺波市東般若工業団地


浸透池内部