(1) 全体方針
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1) |
段階的かつ緊急的な車線確保(全面通行止めの解消) |
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全面通行止め箇所については、まずは緊急車両が最低1台通れる空間を早急に確保することとし、段階的かつ緊急的に応急復旧を実施する。 |
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写真2-2-20 緊急通路の確保(国道17号川口町天納)(H16.10.25) |
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2) |
早い復旧工法の決定(早めの専門家の招集) |
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国土技術政策総合研究所、土木研究所等の専門家を被災後2日目から現地派遣する他、トンネルや橋梁など応急及び本復旧で短期間で非常に高度な技術的判断を必要とする箇所は、学識者を含めた技術検討委員会(一部公開)を組織し素早い工法決定を行う。
専門家による調査状況を写真2-2-21、委員会開催状況を写真2-2-22に示す。
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写真2-2-21 |
国土技術政策総合研究所及び(独)土木研究所、
(財)海洋架橋・橋梁調査会による橋梁調査(国道17号和南津橋) |
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写真2-2-22 和南津トンネル技術検討委員会開催状況(H16.10.30) |
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3) |
冬期前までの全線供用(交通規制の解消) |
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積雪寒冷地域であるがゆえ冬期工事は、苛酷な作業環境になるばかりではなく、その工事規制が一般車両のみならず除雪作業に大きな障害となることから一日も早い全線供用に向け24時間体制で工事を進める。 |
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写真2-2-23 冬期前までの全線供用(国道17号川口町天納) |
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(2) 交通規制の変遷 |
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復旧工事の進捗状況を示すデータの一例として、国道と県道の全面通行止箇所数の経時変化を表2-2-5に示す。被災直後は約100箇所で全面通行止となった。10日後までに直轄国道では全ての全面通行止が解除されたが、余震等の影響により県道では全面通行止箇所数が逆に増加した。その後、約2ヶ月後までに全面通行止箇所数はほぼ半減した。 |
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10月23日
被災直後 |
11月3日 |
12月27日 |
平成17年
7月15日 |
平成17年
10月28日 |
国道008号 |
7 |
0 |
0 |
0 |
0 |
国道017号 |
9 |
0 |
0 |
0 |
0 |
国道116号 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
上記以外の国道 |
24 |
21 |
12 |
10 |
10 |
県 道 |
60 |
89 |
48 |
37 |
35 |
合 計 |
101 |
110 |
60 |
47 |
45 |
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(3) トンネル |
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国道17号和南津トンネル(L=300m 新潟県北魚沼郡川口町大字和南津)では、地震により長岡側坑口から約120mの区間において覆工コンクリートの剥落などが発生し、一時全面通行止となった。応急対策として、鋼製H型鋼支保工の設置及びコンクリート吹付を実施し、11月2日に1車線による片側交互通行を確保した。
なお、余震が続く中、落下物等から通行車両を防護するため、車両防護用プロテクターを通行前に設置した。
和南津トンネルは、直下にJR上越線のトンネルが交差していることから、復旧工事においては慎重を期した。
和南津トンネルとJR上越線トンネルとの交差状況を図2-2-5、応急復旧の状況を写真2-2-24〜27、施工フローを図2-2-6、断面図を図2-2-7に示す。 |
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図2-2-5 和南津トンネルとJR上越線トンネルとの交差状況 |
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写真2-2-27 |
1車線の片側交互通行による供用開始(H16.11.2) |
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トピックス |
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180人の作業員が24時間体制で復旧 |
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国道17号和南津トンネルは、日交通量17,000台を担う交通の要所であり、周辺に迂回路がないため、応急復旧が急務であった。
地震発生から3日後の10月26日までに崩落したコンクリートを撤去し、29日から11月2日にかけて2交代24時間体制で応急復旧工事を行った。支保工を建て込み、すぐにコンクリート吹付を行い、片側交互通行による応急復旧を行った。同時に本復旧工事を行うためのプロテクターも製作するなど、多い日には180人の作業員が現場に入った。
施工を担当した西松建設の現場代理人は、「地震の翌日、日曜日でも営業している商社を探して電話をかけ、資材を確保した。支保工は仙台と千葉の工場から、製作し終わった分から運んでもらった」と話す。11月27日からプロテクターを坑内に運び入れ本復旧を開始し、当初予定よりも早く、12月26日に2車線による復旧が完了した。
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1車線の片側交互通行による
供用開始を見守る工事関係者(H16.11.2)
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夜を徹したプロテクター製作の様子 |
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(4) 橋梁 |
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直轄国道における橋梁部の損傷は12橋であったが、耐震補強の進捗により落橋等の復旧に長期を及ぼす被災は無く緊急輸送道路として機能を発揮することができた。
被災橋梁の位置図を図2-2-8、橋梁の損傷状況一覧を表2-2-6、被災状況を写真2-2-28〜33に示す。 |
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No. |
路線 |
名称 |
車線構成と車線規制状況
(H16.10.29現在) |
損傷 |
1 |
8 |
新組跨線橋
(54.7〜54.9kp) |
上り-2車線
下り-2車線
【下り2車線通行止め、
上り線対面通行】 |
下り線P4、P5橋脚部せん断ひび割れ
下り線A2支沓(上沓)変形、移動制限装置損傷 |
2 |
8 |
長岡大橋
(59.7〜60.8kp) |
上り-2車線
下り-2車線
【規制なし】 |
支承カバープレートの変形外れ
支承サイドブロックの変形
ロッカーローラーの傾斜
主桁ウェブの変形
火災による主桁の変色 |
3 |
8 |
宮本橋
(69.0kp) |
上り-1車線
下り-1車線
【規制なし】
近くで片側交互通行 |
橋台背面土の沈下
ウイングにひび割れ |
4 |
8 |
観音橋側道橋
(69.1kp) |
上り-1車線
下り-1車線
【規制なし】
近くで片側交互通行 |
パラペットにひび割れ |
5 |
17 |
新佐梨橋
(246.5〜246.6kp) |
上り〜1車線
下り〜1車線
【規制なし】 |
A2支承(下沓)の割れ
主桁端部の腐食減肉
伸縮装置の遊間が小さい |
6 |
17 |
堀之内橋
(250.3〜250.5kp) |
上り〜1車線
下り〜1車線
【規制なし】 |
支承サイドブロック等の脱落・変形
P1橋脚の2段の水平方向クラック |
7 |
17 |
和南津橋
(257.4〜257.6kp) |
上り〜1車線
下り〜1車線
【上下線通行止め】 |
A1橋台上G4桁破断
主桁端部の腐食
ゲルバー部落橋防止ボルト破損
サイドブロック破損
支承サイドブロック破断
A1、A2パラペット・床版損傷 |
8 |
17 |
小千谷大橋
(267.9〜268.5kp) |
上り〜1車線
下り〜1車線
【規制なし】 |
P2橋脚柱部曲げせん断損傷
可動支承の多くが破損
A2上流側支承ローラーの逸脱
下フランジの変形(P5橋脚上)
補剛材溶接部破断(P5橋脚上)
P4、P6、P7橋脚柱部曲げせん断ひび割れ |
9 |
17 |
越の大橋
(270.7〜271.2kp) |
上り〜1車線
下り〜1車線
【規制なし】 |
支承セットボルトの破断、サイドブロックの破損
補剛材変形・亀裂
対傾構、下横構(取付部のガセットプレートを含む)の変形
橋脚貫通ひび割れ(P1) |
10
11 |
17 |
十日町高架橋(上り)
十日町高架橋(下り)
(275.6〜276.1kp) |
上り〜2車線
下り〜2車線
【規制なし】 |
セットボルトの破断
下横構・対傾構の座屈
床版下面の剥離、うき
主桁ウェブ突合せ溶接部塗膜変状
ゴム支承の変形
アンカーバーの損傷 |
12 |
17 |
十日町高架側道橋(上り)
(275.6〜276.1kp) |
【規制なし】 |
主桁支承部ボルト曲がり |
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写真2-2-30 |
国道17号和南津橋 橋台サイドブロック損傷 |
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写真2-2-32 |
国道17号越の大橋 橋脚ひび割れ |
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写真2-2-33 |
国道17号十日町高架橋
橋脚及び台座コンクリート損傷 |
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(5) 路面 |
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直轄国道における路面段差、亀裂等の損傷は30箇所以上に及んだ。
被災状況を写真2-2-34〜37に示す。 |
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(6) 盛土部 |
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国道8号長岡市宮本、国道17号川口町天納などで、盛土部の大規模な崩落が発生した。
国道17号川口町天納では、道路の一部とJR上越線を巻き込む大規模な斜面崩落により一時、全面通行止となった。復旧に長期間を要する事から、10月25日、緊急的に現道路肩部に1車線の緊急通路を設置(緊急車両、地域交通を対象)。また地権者の協力を得て、10月31日、被災箇所山側に迂回路を設置。交通の確保を図りつつ、12月29日に本線の復旧を完了した。
迂回路に必要な用地は、地権者3名からの工事期間中の借地で対応し、当該用地上に存する墓石展示場兼事務所・住宅1棟の移転補償を行った。
盛土部の被災状況を写真2-2-38〜42、国道17号川口町天納における復旧活動の推移を写真2-2-43〜45に示す。 |
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写真2-2-41 |
国道17号川口町天納 JR上越線被災状況 |
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<国道17号川口町天納> |
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写真2-2-43 |
夜を徹しての緊急通路工事
(H16.10.24) |
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写真2-2-44 |
緊急通路の確保
(H16.10.25) |
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写真2-2-45 地権者の協力により完成した迂回路(H16.10.31)
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(7) 切土部 |
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国道17号堀之内町、川口町牛ヶ島など、切土部・斜面部においても大規模な崩落が発生した。
国道17号川口町牛ヶ島においては、切土区間約90mを含む延長200m区間で法面崩落および路面沈下が発生した。復旧にあたり、まず崩落土砂を撤去。土留区間は車道への土砂流入防止のための親杭横矢板を設置し、切土区間は斜面の亀裂部分を切土し安全性を確保した。
国道17号川口町牛ヶ島における被災状況を写真2-2-46、復旧状況を写真2-2-47〜49に示す。
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(8) 消雪施設 |
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国道17号において15箇所の被災を受け、冬期前までには仮復旧を完了させた。
長岡国道事務所における消雪施設の被災と復旧状況を図2-2-13に示す。
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図2-2-13 長岡国道事務所管内における消雪施設の被災と復旧状況 |
トピックス |
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災害対応の拠点基地として道の駅が活躍 |
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災 |
各地の「道の駅」は情報発信、災害支援、住民への被災対応等、防災・災害対応基地としての役割も果たした。
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道の駅の駐車場に建設された仮設住宅
【道の駅「クロス10十日町」】 |
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名古屋市からの給水車の基地
【道の駅「クロス10十日町」】 |
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刻々変化する道路情報を資料で提供
【道の駅「豊栄」】 |
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道の駅を活用した災害時のFM放送 |
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新潟県中越地震で道の駅が防災拠点として機能したことや、FM局が随時放送した各種情報が住民の避難生活を支援したことを踏まえ、長岡国道事務所では、FMながおか(長岡市)及びFMゆきぐに(南魚沼市)と、災害時における道の駅を活用した緊急災害放送に関する基本協定を、平成17年7月29日に締結した。
この基本協定は、地震や風水害が発生した際、道路情報や住民の生活関連情報を、FM局を介して道の駅から放送するものである。
*対象となる道の駅(平成17年10月末現在) |
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「ちぢみの里おぢや」 |
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・ |
「越後川口」 |
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・ |
「良寛の里わしま」 |
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