河川は大気、海洋を含んだ地球規模での水の循環系の重要な構成要素です。
それと同時に、この水の流れは、土砂をはじめとする様々な物質を運ぶ物質循環系ともなっています。
北陸地域は、日本でも有数の多雨多雪地帯であり、この雨と雪によってもたらされる多量の水は、豊かで清らかな河川の流れとなって、大地を潤しています。
また、河川の上流部で生産された土砂は、河川の水の力によって下流に運ばれ、豊かな実りをもたらす扇状地や沖積平野、さらには白砂青松の海岸線を形成してきました。
このような水や土の恵みを受ける一方で、ひとたび大雨になると、山は崩壊し、洪水や河川に流れこんだ多量の土砂は、しばしば氾濫して、大きな災害を引き起こします。
とりわけ、北陸地域は、北アルプスに代表される火山地域や荒廃地域が上流に広がり、流路が短く勾配が急な河川が多いことから、多量の土砂が、大きなエネルギーを持って流れ出て、被害をより大きなものとする原因となっています。
こうした土砂による災害を防ぐために、砂防ダムの建設をはじめとする砂防事業が進められてきていますが、自然界の物質循環のなかでの土砂の流れに対して人の手を加えた結果、著しい堆砂によるダム機能の低下、平野部や河口部での河床の低下、海岸線の後退などの問題を引き起こしているのも事実です。
このため、これからの土砂の管理にあたっては、水の循環と同様、水源から河口・海岸までを視野に入れ、バランスのとれた総合的な対策が欠かせないものとなっています。
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