平成21年3月26日(木)14:00〜16:30
富山県民会館 3F 304号会議室
1.平成21年度連携排砂計画(案)について
2.平成21年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
3.平成20年度出し平ダム湛水池内ボーリング調査結果について
4.その他




評価委員会






第31回黒部川ダム排砂評価委員会における評価
平成21年度連携排砂計画(案)及び連携排砂に伴う環境調査計画(案)については、了承する。
連携排砂及び環境調査の実施にあたっては、計画に沿って、出来るだけ忠実に行うこと。
今回、各委員から出された意見は、今後の排砂計画で留意してほしい。
特に、排砂、通砂、試験通砂、短時間集中豪雨対策については、実施基準を整理して、わかりやすく定義してほしい。


@平成21年度連携排砂計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−1 平成21年度連携排砂計画(案)について
 
[主な意見]
(委員A) 3ページの特記事項の7「出し平ダムの……」の2つ目の文書の、「なお、宇奈月ダム排砂・通砂後の措置(試行)中に宇奈月ダム下流の発電所から放流を行う場合は、愛本合口堰堤の取水に影響を与えないよう配慮するものとする」というところで、「宇奈月ダム下流の発電所」が2つのダム以外の新しい登場人物のように受け取れた。
  1つ目に、この宇奈月ダム下流の発電所というものについて、想像するに関西電力のダムなのか。2つ目には、宇奈月ダムの運転と、その発電所の運転者の間で調整して行われるものなのか。それから、「影響を与える」とは、どのような影響を考えて配慮しようとしているのか、この3つについて、具体的に教えてほしい。
(事務局) まず1箇所目、宇奈月ダム下流の発電所ですが、関西電力が所有している発電所は、まず下流に音沢発電所があり、取水口を出し平ダムに持っているものです。そして、もう1箇所、愛本発電所があります。ただし、今回、特記事項に書かれてある下流発電所は、特に音沢発電所にかかわるものだというふうにとらえていただいても間違いがないと思われます。
  3点目に移りますけれども、愛本合口堰堤の取水に影響を与えないように配慮するということですけれども、排砂を実施しているときは、濁りが出ることもさることながら、流量のほうが、下流河川は非常に多くなってきます。そうした時に、愛本合口堰堤の用水路が排砂期間中は取水を停止している状況です。それが、排砂・通砂後の措置を始めるころには濁りもかなり清水によって薄められていたりして、濁りが下がっている状況で、実はまた取水のほうを再開しています。
  宇奈月ダムの排砂・通砂後の措置の試行の最中に、例えば音沢発電所からその間発電を開始していると、ちょうど愛本合口堰堤の上流で流水が合流することになります。そうすると、宇奈月ダムの排砂・通砂後の措置は300m/sの放流をしているので、音沢発電所からの放水が宇奈月ダム排砂・通砂後の措置の試行の放流とぶつかれば、愛本合口堰堤の取水停止基準である350m/sを超える可能性が発生します。これを回避するための特記事項です。
(委員A) 音沢発電所は出し平ダムから取水しているという説明で理解した。
 
A参考資料1「短時間集中豪雨対策の試験的運用について」及び
  参考資料2「出し平ダム排砂・通砂後の措置時間短縮(試行)と各ダムの運用について」について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
参考資料1 短時間集中豪雨対策の試験的運用について
参考資料2 出し平ダム排砂・通砂後の措置時間短縮(試)と各ダムの運用について
 
[主な意見]
(委員B) 短時間集中豪雨対策の試験的運用にしろ、操作時間を短縮するにしろ、両方とも、私は意欲的な試みであって、評価したいと思う。
  質問があるのは、まず短時間集中豪雨対策のほうで、宇奈月ダムに関しては排砂ゲートは使わず、水位低下用ゲートを使っているというところについて理由を教えてほしい。
  それと運用時間の短縮について、最後に説明があった参考資料2−2のところで、水位回復から排砂後の措置移行時のゲート操作の不具合防止のため、3m水位上昇させようということが書かれているが、この不具合というのはどんなものなのか、その2点を教えてほしい。
(事務局) 1点目のお話です。宇奈月ダムの排砂ゲートを使用しないという理由ですが、宇奈月ダムにつきましては、ダムの構造上、貯水池の水位が標高235m以下にならないと排砂ゲートを開けることができません。したがいまして、短時間集中豪雨対策につきましては、高水位を保持した状態では排砂ゲートは使用出来ないので、水位低下ゲートを使用したいと考えているところです。
(委員B) 了解した。
(事務局) 2点目にありました出し平ダムにおける回復目標水位の変更ですが、出し平ダムでは、まず洪水吐ゲートで流量の調整をしていますが、水位が低い状態では、洪水吐ゲートの敷高からの水深が非常に低く、流れのほうがフリーフローになったり、パーシャルフローになったりして、いろんな流れを伴い、それに伴う操作が非常に複雑になります。非常に流量の調整が難しい状態であるといったところで、これをもう3mほど高い位置で排砂・通砂後の措置を実施させてもらえれば、こういった状況も改善され、要は下流の水位変動を十分コントロールできる安全最優先のゲート操作ができるのではないかということで、今回見直しを図りたいと考えているところです。
(委員B) 要は完全にオリフィス状態で放流ができるということだね。
(事務局) そうです。
(委員B) 了解した。
(委員C) 今回の説明は、第30回評価委員会での意見を踏まえて検討したものということで、今後の黒部川の連携排砂、あるいは通砂のあり方に種々の示唆を与えている。いい試みだと私は思う。
  説明の中で明らかになってきたことは、従来、洪水期に入って1回目の排砂と、それに続く比較的大きな洪水が起きた場合の通砂という大きい2つの操作があった。それに試験通砂というものがあり、それから今回の短時間集中豪雨対策がある。要するに4段構えになっているということである。いろんな洪水が実際にはあるから、それぞれに応じたものを考えるというのは非常にいいことだと思うが、現場は恐らく、洪水が始まったときに、排砂はいいと思うが、残りの3つはどれが来るか実際にはわからない。後から振り返ると、このときにはこういう操作をすればベストだったというのが幾らでもできるわけだが、現場はなかなか、この数十時間の間に何が起こるかということがわからない状態で操作をしないといけない。実際にはかなり苦労するのではないかというのを想像する。
  それで、排砂、通砂というのはいわゆる洪水規模、あるいは1回目、2回目ということでわかりやすいが、通砂であるか、試験通砂であるか、あるいは短時間集中豪雨対策であるかということについては、少し整理が必要ではないかと思う。
  というのは、参考資料の1−1の左側の図が非常にわかりやすいと思うが、平成12年以降、排砂については6月末から7月上旬ぐらいに1回目が大体できており、250m/sという基準を少し下げて、確実に排砂をすることについては概ね成功してきている。それが1つ大事なポイントである。
  残りの2回目をどうするかというときに、黄色の部分だが、梅雨が明けてしまうと洪水が来てもなかなか継続しない。これは、黒部川も元々は雪があって、融雪がある時期は出水が長く続くわけだが、8月になってしまうと、雨だけしか頼るものがなく、どうしても多少雨が降っても、継続時間が短くなり、いわゆる水位を下げて、ダムを空にして放流することはなかなか難しいということがある意味わかってきたということだろうと思う。
  では、何もしないでいいのかというと、やはり近年短時間集中豪雨があるということを踏まえると、水位を下げずに、特に説明があったように細かい土砂だけをある程度ダムから通過させることをあわせて考えるべきであり、この短時間集中豪雨対策というものが提案されて実行されるとすれば、従来、検討されていた試験通砂というものが、非常に中途半端な対策になっているのではないかと思う。
  この表の中で見ても、実際に平成18年に1つだけ実施をされた例があるが、平成18年は非常にたくさん洪水があって、その中の1つということで、ある意味かなりイレギュラーな状態ではないかなと思う。そこで、今回、短時間集中豪雨対策としてこういう操作が位置づけられていくということであれば、この試験通砂についてはある程度役割が終わってきているのではないかと思う。あるいは短時間集中豪雨対策のほうに役割を移すということでもいいのではないかと思う。要するに4段構えを3段構えぐらいに整理してもある程度カバーできるのではないかというふうに思うが、いかがかというのが1点である。
  それから今回の対策を実施するに当たって、ぜひこの辺は具体的に詰めてほしいというのが幾つかある。
  1つは、何m/sから始めるかということと、何m/sでゲートを閉めるのかということだろうと思う。一応何m/sから始めるかということは決まってはいるわけだが、実際はゲートを開けるとなると、下流に対して安全面の問題が生じる。通常だとダムからゲート操作を始めるときには警報したり、いろんな関係機関に連絡したりとか、いろいろ手順をとられると思うので、そのあたりの手順を十分確認をしてほしい。
  それからゲートを閉めるタイミングだが、これも宇奈月ダムと出し平ダムでは当然流入の遅れ時間があり、それから参考資料1−1の図にあるように、出し平ダムから放流された、ある意味少し濁質分を含んだ水が宇奈月ダムのほうに流れてきて、さらに宇奈月ダムの貯水池の中を流れていくというプロセスを経ていくわけだから、これは同時には起こらない。だから、実際には遅れ時間を伴う。このあたりを十分検討し、実施の可否は当然両ダム同時に判断しないといけないと思うが、同時に終わる必要は必ずしもないのではないかと思う。実際の土砂が流れていくプロセスを十分考慮し、実質的に土砂が流れていくということの意味がある操作をぜひしてほしいというのが1点である。
  それからあとモニタリングについては、短時間集中豪雨、最近はゲリラ豪雨という名前がついており、まさにゲリラ的にいつ来るかわからないことなので、自動でモニタリングを実施するというのは実質的にやむを得ないというか、そういうやり方しか多分ないのだろうと思うが、できれば複数の方法でバックアップをとれるような方法をぜひ考えてほしい。
  つまり、こういう場合、よく二重化と言うが、1つの1点、1カ所だけだと、それがもし何か電源のトラブル等でとれなかったときに、そこだけデータが空白になってしまう可能性があるので、できれば複数、それも少し系統の違うデータをとっておくといろんな意味でバックアップになるのではないかと思うので、そこの投資はぜひ惜しまずに考えてもらえればありがたい。
  最後に、こういうゲリラ豪雨対策をやる場合には、ある程度心の準備も必要なので、やはり気象予測の体制の充実が必要だと思う。これはこういう操作をする、しないにかかわらず、ダムを管理される場合のベースになるものだと思うが、そのあたりの予測精度の向上とその活用を行って欲しい。黒部川については日本全国の中でもかなり進んでいるほうだと思うが、なお一層こういう対策をするに当たって、どういう基礎情報の活用をすればいいかという点についても引き続き研究してほしいと思う。
(委員長) ただいまの発言に対して、事務局のほうで、今この時点で何か答えることができれば。
(事務局) 8月の中小規模の出水のときの取り扱いですが、C委員のご発言のように、まずもって非常に判断が難しい。試験的な通砂なのか、短時間集中豪雨なのかというのを判断しなければいけない。さらに実施に当たってはそれを適切に関係団体、関係機関のほうにも混乱のないような形で情報伝達、情報連絡もしていかなければいけないということで、実は実施機関では非常に頭を悩ませているところです。
  よって、今C委員からいただいたご指摘も踏まえまして、実際どういった形が自然条件に対して見合った、そしてなおかつ適切な運用となるかを検討させていただきたいと思います。
  そういったものを踏まえ、最終的にこういった試験的な通砂の8月の取り扱いについては、適切に検討をしたいというふうに考えています。
  また、開閉のタイミングですが、こちらについては今実施機関のほうで鋭意検討を進めているところです。まずは流れてくる土砂を出すということが第一義ですから、こういったものを踏まえて、さらにゲート操作の優先順位を決めたいと思っています。まず、出し平ダムと宇奈月ダムでは若干操作性が違うところもありますので、こういったものを十分精査、比較の上、開閉のタイミングについては検討を進めていきたいと思います。
  あとバックアップについても、確かに濁りを相手にしているところですので、そういったことが十分考えられますので、十分対策をとりたいと考えています。
(事務局) 試験排砂にするか、短時間集中豪雨対策にするかというところは非常に運用側としては悩ましいところで、また今後調整しますが、例えば8月については過去の気象状況から割り切って、ゲリラ対策だけを実施する。一方、6、7月については試験排砂を実施するという案も考えてよろしいですか。
(委員C) 参考資料1−2の左側に解説で、前線通過を伴うという表現と、前線通過を伴わないという表現があるが、8月に前線があるというのはあまり考えられないので、要するに梅雨が明ける、明けないというふうに解釈すれば、概ね季節的にいっても6、7月と8月ではだいぶモードが違うと考えられる。従って、8月の相当する出水については短時間集中豪雨対策に特化するということで、実質的にはいいのではないかと思う。
(事務局) 今の話で、8月はとりあえず短時間集中豪雨対策という方向で行くとして、6月、7月というのは、先ほどC委員のほうから試験的な通砂は不要なのかという話がありましたが、6月、7月は梅雨中であり、ベースフローがあるので、そのあたりはまだちょっと実施の可能性が残っています。これは実際に効果というのをまだ把握していないところなので、この6月、7月については試験的な通砂を実施し、8月については短時間集中豪雨対策というふうな形でちょっと調整したいと思います。
(委員B) 私が感じるのは、むしろ通砂基準の480m/sとか650m/sというのを、試験通砂のものと一緒にしてしまってもいいのではないのかという気もしている。要するに、通砂基準だとなかなか実施できないから試験的通砂ということをやっているわけであって、幾つも基準があるのは非常に面倒ということで、むしろ試験的通砂というのを普通の通砂にしてしまってもいいのではないのかなという気もしている。だから、過去発生した事例をもうちょっと細かく点検して、もう2パターンでいいとか、3パターンでいいとかというふうに考えていけばいいと思うのと、もう1つ、250m/sという基準もあるが、250m/sで排砂した例はあるのか。
(事務局) 250m/s付近の非常に小さい流量の排砂というのは過去にちょっとあまり記憶にはないのですが。
(委員B) 要するに一番基準になっている憲法のところで250m/sという数字もあるわけだよね。
(事務局) 今B委員が言っているのは、250m/sから300m/sのピーク流入量で排砂をしたときがあったかということで良いですか。
(委員B) そうだね。これも、要するに融雪時期や梅雨時期で、総ボリュームが大きいと想定される洪水のときに排砂ができるようにということで基準を下げたものだった。だから、いろんな基準が、480m/sとか300m/sだとか250m/sだとかいっぱいある。
(事務局) 今手元にある資料では、平成10年以降の排砂時のピーク流入量ですが、これを見ますといずれも300m/s以上になっています。
(委員B) 今まで、元々通砂も高い基準で決めたいきさつがある。あまり排砂するなという一つの考え方、年に1回しか排砂してはいけないというような考え方の中で、やはり少しでも排砂したほうがいいということで通砂というのを考え出してきたが、そのときに基準が高かったから試験的通砂というのが出てきたりしているので、そろそろ過去にやった事例をもう一度全部整理し直してはどうか。僕は、むしろC委員の意見を聞いていて、逆に試験的通砂を通砂にしてしまったほうがいいのではないかというふうに考えたりもした。
  ということで、いろんな基準がいっぱいあるので、再検討して、過去の実例からどういうパターンにしたら一番いいのかということで検討したらいいのではないかなというふうに思う。
(事務局) 今、B委員の発言は我々のほうも非常によくわかっており、そういうのを目指しています。
  試験的通砂というのを平成18年から計画に入れ、また今年短時間集中豪雨対策ということで、4つになって、非常にわかりにくいのは承知しています。ただ、先ほど申しましたように試験的通砂の効果が把握できていないというところもありまして、それをやはり何とかしたいという思いもあります。したがって、今B委員が言われたのはもうちょっと、1年あるいは2年先の段階として、段階を踏んでいきたいと思っていまして、そのために検討はしますので、そういうご理解でお願いします。
(委員B) 了解した。
(委員長) B委員並びにC委員のほうからの意見だが、かなり複雑になっており、ぱっと見ただけではなかなか理解できないような状態にだんだん落ち込んできた。進むにしたがっていろんなことがわかってきて、さらに項目が盛りだくさんになってきた。だから、このあたりで整理しておく必要があるのではないかなと思って、両委員の意見に私も全く同感をする次第である。
  この点、今後事務局のほうでひとつ検討をぜひお願いしたいと思う。
(委員C) 1点だけ確認をさせていただきたい。
  今回提案のあった短時間集中豪雨対策の説明時に、愛本堰堤での取水の話があったと思うが、このときは、流量にもよると思うが、下流での対応としては、環境調査は自動で機敏に対応するということで、これはやむを得ない。放流警報等の関係機関への通知は当然される。では、下流の取水は実際にどうなるか、これは想定できるか。
(事務局) まず1点目は、流量がどうかということと、濁りがどの程度出るかということですけれども、濁りの程度は通常の排砂、通砂に比べれば随分低いのではないかと考えていますが、流量については、自然の流入量の水位を保持するわけですから、流入量次第だと思います。
(事務局) そこはまたこれから調整したいと思います。
(委員C) 恐らく、今日の説明でも、通常の洪水対応と何ら変わらないということを想定し、実際の操作をされると思うので、そういうモニタリングを実施するということだろうと思う。基本的には特別な操作ではなく、ダムから放流する流量も基本的には変わらないということですね。従来、貯水池内の表層から放流していたものを少し低め標高から放流して、上流から入ってくる濁り相当のものをダム貯水池内でためることなく通過させる操作である。元々短時間集中豪雨対策というのは通砂の中の一つのカテゴリーだと思うので、下流にとって、それほど重大なインパクトが起こる操作ではないという説明を下流の関係機関等にも行って理解を得ることが重要で、この操作が非常にハードルの高い操作にならないように心がけてもらいたい。
 
B平成21年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−2 平成21年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
 
[主な意見]
(委員C) 最後の6ページ、7ページに総括表があるが、これは環境調査というカテゴリーでくくられているので、場合によっては外れてしまうのかもしれないが、一番右下の測量という項目について、ダムの中は、毎回堆砂測量の結果というのを報告されている。その下に河川という項目があり、河川堆砂測量と記載がある。これは排砂後という形になっている。
  土砂がだいぶ宇奈月ダムからも出ているということを踏まえると、川の地形変化が今後どうなっていくのかを知る必要がある。それをどういう間隔でモニタリングして、データとして評価していくのかというのがこれから大事になってくると思うが、右側には「終了」と書いてあり、測量誤差が大きく、明確な土砂の変動量を把握できなかったということが理由で挙がっている。恐らく昔はそうだったと思うが、今は多分全然違う状況になっているはずであり、そのあたりはこの環境調査の中でどういう位置づけをして、今後、どういうタイミングでとっていくのかが重要ではないかと思うが、いかがか。
(事務局) 河川の縦横断測量につきましては、毎年時期的には秋ぐらいにとっています。ただ、今、堆砂の概念との比較ということでは比較はしていませんが、一応測量はかけています。
(委員C) この表の中に盛り込むことはできないのか。
(事務局) この辺の書き方につきましては事務局のほうで検討したいと思います。
  と言いますのは、ここに書いてありますのは、いわゆる堆砂直後の縦横断という概念ですので、要は今ほど言いましたように時期的なずれというのがありますので、そこら辺の書き方はちょっと検討させてください。
(委員長) 今回の報告書で新しく6ページとか7ページのところは、今まで出てこなかったかなと思っている。これは大変苦労してでき上がった一覧表であり、非常に有効だね。
(事務局)

今、委員長が言われた6ページ、7ページは、過去に実施した環境調査の一覧表ですが、前回の第30回評価委員会の中で、評価の留意点Bで「水生生物調査については、これまでの調査結果に踏まえ……」というのがありまして、作成の過程で、水生生物だけじゃなくて、今まで環境調査をいろいろやってきたのに全然生かされていないのではないかという趣旨で、そういう目で一度まとめた形です。これに必要があれば、最新データを積み重ねてもう一度評価するというのに使いたいなという観点でまとめています。

 
C平成20年度出し平ダム湛水池内ボーリング調査結果について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−3 平成20年度出し平ダム湛水池内ボーリング調査結果について
 
[主な意見]
(委員長) 従来から平成6年12月の河床高を一つの目安として、それよりも掘り込まないといったような形で排砂をやってきたわけであるが、このデータを見る限りにおいては、たとえ掘り込んでも、そんなに有機堆積物はないということがどうも言えそうである。よって、今後は平成6年12月の河床高にあまり神経質にならなくてもいいのではないだろうかということをこのデータは証明していると思える。
(委員D) 12ページと18ページを見てほしい。これを地質屋が見ると、粘土は多くて、有機物がたくさん入っていて大変じゃないかというふうに判断すると思う。
  それで、細かく見ると色の説明がしてあるが、この色の使い方はどこでも同じだろうと思うが、地質屋は三角ダイアグラムを使って、礫は赤、砂は白、粘土は青といったふうに決まっている。
  例えば緑を使う場合は、粘土と砂が混じっている。それからオレンジを使う場合は、赤(礫)と砂が混じっているという、そういったふうな使い方をしている。
  それで、ここの箇所はどんなふうになっているかというふうに見るわけです。12ページと18ページを見ると、非常にシルトとか粘土が多いというふうに地質屋はすぐ判断するだろうと思うが、細かく見ると全然違う。やはりだれが見てもわかるような使い方をしないとおかしいのではないかと思う。これは平成19年度のときにも私は発言をしている。
  一応決まっている決まりに合わせれば、わざわざ注釈をつけてから特別な使い方をする必要は一つもないわけである。
  それからちょっと関係ないが、ずっと今までの報告書を見ていると、「m3」と「m」を使っているが、「m」と「m3」というのは明らかに違う。そういったものがずっといつもどこかに出ている。もっと厳しく見ていいのではないかと思う。
  例えば、今回だと、資料−1の6ページの右上に平気で「m3」と使っている。私の言いたいことは、みんなの基準に合わせたらどうかということを言いたいということである。
(委員長) ただいまのD委員の発言は全くそのとおりだと思う。
  やはり一般的に通用できる表現方法が、土質のほうではあるわけなので、それをここに使うということである。これは今後の対応として今の意見を十分生かしていきたいと考える。
(委員A) ダムの中のボーリング結果では、数値で正確にわかったことが大変結構なことだと思った。皆さんはわかっていると思うが、有機物とか粒径の非常に小さいものがダム堤体に近いところにまとまってたまっているという姿について、これはどういうふうにしてそこにたまると考えるのかということを伺いたい。
(委員長) ダムサイトのところに有機物が結構たまってくるのはどうしてだろうかということである。
(事務局) まず、細かな土砂がダムの堤体付近に多いのは、おおよそ大きなダムは同様の傾向ではないかと考えられます。その理由としては、当然、湛水池もどこか上流で終わるわけですが、そこまでは河川部で、それからは水を満々と蓄えた湛水池です。
  よって、上流から土砂が供給される中で、河川部では礫とか大きな土砂までも、出水の程度にもよりますが運んでくるだろうと考えられます。ただし、それが一たん湛水池に入ってしまうと、非常に幅広く流れが起こってしまって、流速が極端に落ちてしまいます。その中では、やはり細かな土砂しか流下していかないという状況ではないかと思われます。よって、ダムの堤体付近に至りますと、そういった河川部が終わってからかなり距離がありますので、恐らく表層のほうで出てくる土砂も、そういった細かな土砂が出てくる、そういった理由ではないかというふうに理解をしています。
(委員A) 了解した。すなわち、ダムというのは水をためている期間にはほぼどこのダムでもそのような状態で堤体付近に細かいものが到達してたまるものだということですね。
(事務局) はい。
(委員B) ついでに、今D委員から表記の問題が出たので追加すると、「m/s」の表記で
「m/sec」というのが試験的運用のほうで2カ所あるので、単位の表現だが、できるだけ統一をするようにしてほしい。
(委員長) では、このあたりで全体を評価するとして、提出された平成21年度における連携排砂計画の案についてどのようにとらえていくかということだが、私の考えとしては、案どおりに平成21年度の排砂を実施すれば、環境に対して、特に環境というと水環境に対してそれほどのマイナスの影響を出すことはないだろうというふうに感じられる。そのような把握の仕方でこの会を閉じたいと思っているわけだが、要はこの計画について、できるだけ忠実に平成21年の連携排砂をやっていただきたい。
  きょうのいろんな委員の方々の話し合いの中でいろんな問題が出てきたわけだが、特に重要なのは、排砂、通砂、試験的通砂、短時間集中豪雨対策の対応といったようなところで、なかなか理解がしにくいということもあるので、その点をもう少し整とんしてほしい。あるいはある程度わかりやすい定義づけをしてもらいたいと思う。そうしないと、お互いに議論をやるときにちょっとやりにくいので、その点を事務局でひとつ考えてほしい。
(委員B) 先ほどの平成6年の堆砂面を低下してはいけないとか、当初のころは排砂は年1回しかだめとか、いろんな過去のいきさつの中で今の試験排砂だとか、いろんな基準が決まってきていると思うが、大分時間が経過しており、もう一度その辺を整理し直してもいい時期に来ているのではないかと思う。今までの過去のいきさつはそれなりに意味があったわけだが、改めて新しい段階に来ているので、ぜひ新たなやり方というのを、少し整理してくれたらありがたい。
(委員長) 実際、この報告書を見ているとかなり混乱するので、もう少し整とんをしてほしい。
(委員C) 環境調査の最後に総括表があり、これは非常にわかりやすい総括表だと思うので、連携排砂が始まってかれこれ10年弱になってきているわけだから、このあたりで10年を総括したレポートをまとめられるいいチャンスではないかと思う。これは、ただこれで終わったということではなくて一つのまとめだと思うし、それが極めて大事な観点を逆に次のステップに引き継ぐ一つの大事なポイントではないかと思うので、そういう点もぜひ検討してほしい。
(委員D) 今、C委員が言われたことだが、私は非常に大切なことだと思う。顧問がやっていたときもかなりまとめていたが、諸事情があって、結局そのままほったらかしになってしまった。
  だから、諸事情があるかないかはわからないけれども、やっぱり事実は事実としてきれいにまとめておく必要があるのではないかと思う。非常に大切なことだと思う。
(事務局) 先生方がおっしゃるとおりだと思っています。ただ、相当なボリュームのデータがありますので、すぐできるかどうかという判断は少し難しいと思いますが、努力していきたいと思います。その中でまた新しい発見があるかもしれませんし。
(委員D) 大切なデータがたくさんあって、それが埋もれてしまうのではないかと思っての発言である。
(委員C) 黒部川ダム排砂評価委員会というのは非常にいいシステムをつくり上げてきていると思う。今までの歴史がもちろんあるし、今の形になってきたというのは皆さんの苦労があると思うが、こういう技術的な点を評価すること、それから関係の自治体あるいは行政機関、あといろんな関係者の方にも情報提供するという意味では、意思疎通を図っていくことは、一つの大事なポイントだと思う。
  それで、この黒部川で実施してきたシステムなり、あるいは結果だけではなくてデータのとり方とか評価の仕方といういろんな示唆がこの中に含まれていると思う。黒部川のような形がどこの川でも適用できるということでは必ずしもないと思うが、最近いろんなところで、ダムから土砂を出すというのがこれから増えてくる。まさに一例を挙げると天竜川とか、いろんなところでそういう議論が進んでいるので、また他のところにも非常に参考になるような、データそのものではなくて、例えば評価の仕方、あるいはモニタリングの仕方というところについても、非常に大事な視点が含まれていると思う。そういう意味でほかの川にも参考になるようなレポートという側面も多分にあると思うので、そういう視点で、非常に苦労してもらうところが多々あると思うが、ぜひ検討してほしい。
(委員E) きょうは出席していないが、前回のときにF委員とG委員から、アユが何でやせているのかという疑問点が出された。それに対して、本日これまでのさまざまな環境調査のまとめが出てきている。このまとめを見ても、なかなか疑問点に対する答えが出てこない。今、C委員、B委員も言ったように、これまでの調査結果をまとめて、さまざまな現象に対し結論が出るものは出るのだろうと思うが、一番ややこしいのがやはり生物なのだろうと思う。生物への影響に関する答えは、これまでの調査の経過を見てもなかなかすぱっと割り切れたようなものは出てこない。けれども、ある程度のことは言える段階に来ているのではないかな、ということは事実だというふうに私も思っている。
  そういう意味で、今後の留意点と対応のところのBにそのことがちょっと書いてある。今後の留意点に対する対応状況と今後の予定ということで、過年度調査を整理し、今後の調査分析方法を検討する上での基礎資料とするというので、この資料が多分、出てきたものだろうと思っている。
  それで、これを踏まえて来年度に調査解析法の検討を行うとなっているが、どういうことをやったらいいのかというのは、恐らく頭を絞ってもなかなか出てこないようなところがある。
  というのは、結局はダムから出てくる細かなシルト、先ほどボーリング調査にも出てきたが、ダム底にあるシルトの中に含まれている有機物が実際に川を流れていって、どのように川の中に残るのか、そのまま海に行ってしまうのかとか、そういうあたりのことがもうひとつ判然としない。そのあたりも含めてきちんとまとめてもらえれば、生物を考える上でも非常にためになるかなというふうに思っているので、よろしくお願いしたいと思う。
(委員長) E委員、今この時点で今の話に何か気づかれたものはあるか。
(委員E) 先ほどもあったが、例えば、どういうふうに排砂後の措置をやるかということである。川底の礫の間にたまった砂が流れるということはあるが、礫そのものが捕まえてしまうような、砂よりもっと細かいシルトみたいなものが礫にどの程度残っているかとか、そのあたりのことがもう少しつかめれば良いと思う。例えば、過年度の環境調査の中で、石に付着している藻類が一時的に流れてしまうが、回復は意外に早いという結果も出ているし、クロロフィル量とか、そういうものを見ても、排砂後に速やかに回復しているような状況にはなるが、そういう状況と、例えばアユが何で太らないのかということと少しも結びつかない。それが何で結びつかないのかということを重点的にこれから考えていかなければいけないのかな、というふうに私自身は思っている。これからの課題だと思っている。
(委員A) この6ページ、7ページの表が出てきたことは、過去に行われたことの結果が整理できているのでとてもいいことだと思う。
  他の委員も言っているように、この表に継ぎ足していけばというものではないと思う。前回の委員会で、「こういうことをやったら」という意見が出たときに、「たしかそれは以前もやったことがあるのではないか」というようなことを、「もう1回ぶり返すのはよくないのではないか」というスタンスで、この表が出てきていると受け取れる。既にやっていた範囲がわかるということが大事だと思う。
  今指摘があったように、その上でこれまでに明らかにできていないこと、新しい問題意識から見たときに、過去のデータでは説明し切れないことについて計画を議論しましょうという時に使うものとなっていると思う。この表の記述で終わりじゃなくて、逆にスタートラインに立つ資料が出てきてよかったなと考えている。
(委員長) きょうの会議はこのあたりで閉じることとするが、各委員の方々、また気づいた点等あったら、事務局のほうへ連絡をするといったようなことで今後対応していきたいと思う。
−以 上−





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