平成21年1月19日(月)14:00〜17:00
富山県民会館4F 401会議室
1.平成20年6月連携排砂の実施経過について
2.平成20年6月連携排砂に伴う環境調査結果について




評価委員会





第30回黒部川ダム排砂評価委員会における評価
 今年度の連携排砂・通砂は、6月29日から7月2日にかけて実施された連携排砂1回のみであり、連携通砂については、7月、8月に発生した短時間集中豪雨により、連携試験通砂基準流量を超えるも、短時間でダムへの流入量が中止基準流量を下回ったため実施できなかった。

 出し平ダムからの目標排砂量は約32万m3に対し実績排砂量が約35万m3となり、排砂前に設けた想定変動範囲の約27万m3から約36万m3の内に収まる結果となった。水質、底質および生物相の環境調査結果をみる限り、連携排砂による一時的な環境の変化はあるものの、大きな影響を及ぼしたとは考えられない。

 今回の連携排砂における環境調査結果から以下の知見が得られた。
     
水質について
  湛水池及び河川では、
  全調査地点を通じ、概ね過去の測定値の範囲内であった。
  海域では、
  代表4地点(C点、A点、河口沖、生地鼻)のSSおよびCODは、概ね過去の測定値の範囲内であった。
     
底質について
  湛水池では、
  出し平ダム・宇奈月ダム湛水池における連携排砂1日後の強熱減量、COD、全窒素、全リンおよび硫化物は、5月と9月の調査時に比べ概ね低かった。また、ORP(酸化還元電位)は概ね高くなり、連携排砂の効果がみられた。
  宇奈月ダムの20.8k地点において、9月調査のCOD、強熱減量、全窒素が高い値を示したものの、10月、11月に追加調査を実施したところ、ほぼ例年の9月調査結果並みとなった。
  河川では、
  5月および9月における各調査地点の調査結果は大きな変動がなく、連携排砂の影響はほとんど認められなかった。
  海域では、
  5月および9月における各調査地点の調査結果は概ね過去の変動の範囲内であった。
     
水生生物について
  河川、海域において、種類数・個体数については、過去の調査結果と概ね同程度であった。
  出・洪水時、連携排砂実施時において、アユなどの魚類の個体数に大きな変化はなかった。
  排砂により河道内に堆積した泥分の割合が、排砂後の措置の試行により、減少していることを確認できた。
     
今後の留意点
  @ 試験通砂については、近年の短時間集中豪雨等の出水の特徴を踏まえ、実施方法について引き続き検討を進めるとともに、より効果的な通砂方法についても検討を進めること。
  A 排砂後・通砂後の措置の試行については、その効果を把握するよう努めること。
  B 水生生物調査については、これまでの調査結果を踏まえ、今後の調査ならびに解析方法について検討を進めること。


@平成20年6月連携排砂の実施経過について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−1 平成20年6月連携排砂の実施経過について
 
[主な意見]
(委員A) 出し平ダムの堆砂形状について、ダム堆砂形状の縦断図の線をどのようにして決めたのか、測定方法を教えていただきたい。
(事務局) 測定方法としては、3次元の測量により各測線の地盤高を測定し、そのデータを各測線ごとに集約・集計し、断面図を作成している。作成した各断面図の最深河床高を結んだのが、ここに示している縦断線である。
(委員B) 連携排砂の状況の模式図に関して2点の質問がある。
1点目は、両ダムにおける水位低下の開始時刻の考え方について、上流にある出し平ダムより宇奈月ダムの方が若干1時間ほど早く水位低下が開始されている経緯なり考えがあれば、教えていただきたい。
  2点目は、排砂後の措置の完了について、宇奈月ダムの方が早く、出し平ダムが翌日の5時ぐらいになっており、トータル62時間50分が全体工程の総時間であった。結果的に出し平ダムの排砂後の措置が24時間と長くかかっている。この24時間というのはもともと決められた時間だったのか、あるいは現地で判断して決めた時間だったのかを教えていただきたい。
(事務局) 24時間というのは、もともと決めていた前回の実施計画の委員会で了承・承認いただいた数字であり、実施計画どおりである。
(事務局) もう1点、水位低下の開始時刻だが、宇奈月ダムの方が早かったのは、宇奈月ダムが水位低下に時間を要するということと、出し平ダムにおける流入量の増減の状態を見ながらの低下であったため、結果として、若干宇奈月ダムより遅くなった。
(委員B) 自然流下時間は必ず、両方ある一定時間ダブらせるというところがあり、それを睨んで水位低下時間を考えているということなのか。
(事務局) そのとおりである。
(委員B) 宇奈月ダムは排砂後の措置が7月1日の15時に終わっているが、下流に対する体制、例えば、管理体制や下流の安全確認、取水の関係等あるいは下流の関係者に対する配慮などの実施体制について、宇奈月ダムの排砂後の措置が終了してから変わってくるのではないかと思うが、7月1日の15時と翌日の5時までの間に具体的に何か体制が変わったものはあったのか。要するに、7月2日の5時までは全て終わっていないという判断なのか、7月1日の15時であらかたの体制というのは終了していると考えても良いのか、どちらなのかを教えていただきたい。
(事務局) 実施機関としては、出し平ダムにおいては排砂後の措置の完了まで体制を維持しているが、実質の操作というのは7月1日の15時33分以降はない。体制としては若干違うというか、操作がないという意味では違いはあろうかと思う。
(委員B) この質問をした趣旨は、今回、非常にある意味コンパクトな排砂であったが、8時間の自然流下をするために、トータル62時間という結構それなりの時間を要した。これをもう少し短縮しようとするには、水位低下時間をどう考えるか、排砂後の措置の終わりをいつと考えるか、ということとなる。出し平ダムにおける排砂後の措置時間として、今後も、24時間必要なのかという点も含め、検証していく必要があるのではないかということである。
(事務局) 現在、宇奈月ダムでは排砂後の措置の試行をしているところであり、その効果を検証中である。その検証結果を踏まえ、出し平ダムにおける排砂後の措置の時間についても適宜見直していくべきではないかと考えているところである。
(委員長) この質問並びに意見に対して、排砂後の措置の時間についても実施機関で検討をお願いしたい。
(委員C) 近隣河川河口の写真の中で、小川が比較的きれいだなと思ったが、これは小川の流域にはあまり雨が降っていなかったためと理解してよいか。
(事務局) 小川の流域では、結構雨は降っているが、流域も非常に小さいため、濁水が引くのが早かったためではと考えられる。
 
A平成20年6月連携排砂に伴う環境調査結果について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−2−@1/2 平成20年6月連携排砂に伴う環境調査結果について
資料−2−@2/2 平成20年6月連携排砂に伴う環境調査結果について
 
[主な意見]
(委員D) 水生生物調査について、下黒部橋地点の採取個体数における平成7年から20年までの変化を見ると、採取個体数がずっと下がってきているように思う。平成8年、9年の頃と20年を比較すると採取回数が違っているので、同じ採取月に揃えるとどうなるのかをお聞きしたい。
(事務局) 平成7年、10年あたりは夏に採取調査をしており、採取した魚種の主だったものはアユ、ウグイであった。夏の採取結果をまず1回省いて、アユ、ウグイ等を除く現行の5月、9月、11月の調査時での結果を分析すると、ほとんど横ばいである。
  また、平成7年以降の調査の方法については、大きな変化というのはないが、平成10年頃については、宇奈月ダムが建設中であり、ダム建設後の周辺の状況が変化したことにより採取個体数も増えていたものが若干減ってきたことも要因の一つと考えられる。
(委員長) その点をもう少し専門的立場から検討していただきたい。事務局は、回帰直線をここへ載せたのは、あるトレンドを見ようということなのか。
(事務局) データとして参考のため、整理の仕方の一つとして記載をした。
(委員長) 了解した。
(委員D) こういう結果は事実であり、もう少し中身を解析しないといけないが、どういう理由でこの線は引けないとか、理由をしっかりと書いておく必要があるかと思う。
(委員E) 排砂中の魚類調査結果について、アユの肥満度を示している図がある。これは要望であるが、連携排砂を行った後にも、アユを放流しており、また、平成18、19、20年度のデータがいずれも非常にでこぼこしている。気になったのは、平成20年度の四十八ヶ瀬の一番右サイドの標準偏差が非常に小さいということは、完全に全てやせ細っているように見ることができ、これが排砂の影響で、もちろんアユというのは石についた藻をはむわけであるが、食料が少なくてやせ細ったのかどうかというところを少し調べていただきたいと思う。方法については、胃内容物を調べるということ、石の表面についているはむ跡を見るというのが一般的であるので、これらの調査結果も含めた形で出していただくとこのデータが生きるということになると思う。その辺の検討をぜひお願いしたいと思う。
(委員長) 今までもいろいろと内容物についての検討も行ってきている。
(委員E) アユだけなので、肥満度で見れば、肥満度が低いときに実際にどの程度の藻類を捕食しているのかというのを見ることができるので、ぜひお願いをしたいと思う。
(委員長) 今のご意見に付随して何か。
(委員F) 結局よくわからなかったというのが結論である。これまでも随分気にしてきたが、例えば、胃の内容物、消化管の内容物を調べても、藻類はあまり出てこなくて、何かわからないデトリタス状のものというようにこれまで表現していたと思うが、それしかないということで、実際本当に食べているのだろうかという疑問がある。このことはまだ解決されていないのではないかと思っている。
(委員E) その場合、放流されている種苗が悪くてやせているということも考えられるので、少しきっちり詰めておいた方がこのデータは生きるのではないかと思う。
(委員長) 委員が言われたように、標準偏差の幅が縮まっており、そのようなことも考えられる。
(委員C) 土砂堆積調査結果について、今年度は排砂直後、泥分が結構多かったという結果が出されている。それと比較して、平成17年、18年は今回より排砂量が多いのに、それほど泥分が多くないとのことだが、泥分が多い理由として、先ほど資料説明された黒薙の方から細かい粒度分が多く出たことについて、もう一度説明していただきたい。
(事務局) 先ほど、土砂の量が多かった一つの要因として、黒薙川からの細かな土砂の流出の多さを理由とした事については、河川水質の粒度組成の左側の上から3つ目に黒薙の結果を記載しているが、昨年度と比較すると若干パーセンテージの方も多く、粘土質を青色で示しているが、こういったものが入ってきたためと考えられる。
(委員C) 決定的な理由はよくわからないということか。
(事務局) 土砂の量も平成19年度に比べて若干、目標排砂量も多く、水質の観測データを合わせ、このような推察が可能かと考えている。
(委員D) 河川水質(上流域)のSSデータについて、例えば6月30日、出し平ダム直下では非常に高い値が検出されているが、猫又、黒薙はほとんど検出されていないというところに値が示されているように思う。この時期の図は、資料−1の猫又における6月30日11時頃の写真からは濁っているように見えるのに、猫又のSS値がほとんど上がっておらず、データとしての信用性が少し心配である。
(事務局) 資料−2−Aデータ集にグラフの元となっている調査結果として、猫又地点のものが載っている。
(委員D) データ集を見ると値が低いということだね。
  次に、資料−1の猫又上流の写真を見ると、猫又の色と、その下の黒薙地点における黒部川本流の水の色が違う。これは先ほどの河川水質の粒度組成で説明があった、猫又の方はシルトが多く、黒薙の方は粘土が多いこととあったが、色はどのように解釈したらよいのか。
  資料−1の黒部川近隣河川の河口の状況を見ると、黒部川の河口域へ入ってくる水の色だけが黒っぽく見える。他の神通川や常願寺川の方はシルト色をしている。これらの河川との違いとして、黒薙や黒部川本川からの粘土質とダム湖内で溜まったものが加わって黒っぽく見えるのかなと考えたが、写真を撮った位置や影などでこの色になったのか。
(委員長) 感覚的なものではあるが、雨が降るなどして黒部川が濁っている時に、例えば片貝川とか常願寺川ではちょっと茶色い。これと比べ、黒部川は自然の状態でもやや灰色がかった濁りであり、そのあたりの土質的な違いが反映されているのではないかと思う。
(委員D) 土質として考えてよいのでしょうね。
(委員長) そのような感じがする。
(委員D) 資料−1の連携排砂時の河口部状況に黒部川河口の時間ごとの変化に沿った写真が撮ってあり、9時26分と10時14分ではその色が大分違う。黒部川本川の方の粘土質の土砂が沢山あるのと、本川から流れてきた土砂がダムに溜まっていて、それも流れてきているという感じで受け取ってよいかなと思うが。
(委員長) そうだと思う。
(委員A) 資料−2−@の海域水質の代表4地点のグラフについて、定点Cは、黒部川の河口域の出口の真正面であり、この地点の値は高いということだが、SS、CODの高い値を示しているときは、定点C以外の地点の値もお互い似ていそうに思うが、排砂量などのグラフとは何となくそんなに関係はないようである。定点CにおいてSS、CODが高くなるときとそうでないときがある理由とか、取得されたデータで何かこれと関係しているのかなとかという解釈があれば伺いたい。
(事務局) 今ご指摘の点は、海域河口沖のC点であり、海域まで土砂が到達するには、宇奈月ダムから土砂が出た後、かなり流下時間等がかかる。ダムを出た直後のダム直下の値等であれば濁りの平均値などは排砂量と関係があるが、海域まで到達すると、そのときの出水の状況、雨の降り方等により、若干差は出てくると思う。特に最大値の方は海域に出てからの影響等もあると思う。
(委員A) 河川の方の条件からでは今のところうまく説明はつかないということか。
(事務局) 海域について正確に分析をしているわけではないのではっきりしたことは言えない。河川であれば、結構そういったものが見えやすいと思う。
(委員A) わかりました。
(委員D) アユの採捕結果について、アユの放流尾数が載っているが、放流効果というのは算出されているのか。放流尾数に対して、放流した種苗はどのくらい回収が見込まれているのか、あるいはそういう計算になるのか。例えば、ヒレを切ったりして放流しておけば、おおよその放流効果というのが計算できるわけだが、そういうことが漁協さんの方でされているのか。
(委員F) あまり詳しいことは知らないが、おそらく漁協さんでもそういう調査はやっていないかと思う。県の水産研究所の方で調査されたことはあるかもしれないが、黒部川はとにかくアユを放流しても、当然海から遡上してくるアユも沢山いるはずであり、その意味の放流効果はどのくらいあるかというのは随分気にはしているが、結局、天気の具合とか、流量とか、釣りに適した日数が少なく、フリーの釣り客も多分かなりいるだろうから、この把握が全くできないということと、内水面漁協の方で採っている方はほとんどが個人的に釣るので、どのくらい漁獲しているのかというのは全くつかめない状況である。
(委員D) そうですか。
(委員F) 先ほどの肥満度ともちょっと関係するが、河川の付着藻類について、例えばクロロフィルa量の値が5月の時点では毎年ほとんどない。つまり、藻類がついていないような感じがある。これが若干付着しているだろうというのは、下のグラフに細胞数とか、種類構成が出ているからわかる。5月は珪藻類が一部多いということになっているが、量的には非常に少ないということと、それが夏を越した後の9月になると、珪藻が減り、藍藻が増えてくるというようなことがある。こういう現象は、何もない河川だと多分起こらないだろうなと思うので、排砂の影響があるとすれば藻類の変化に出てくるのかもしれないということである。しかし、藻類の変化の因果関係を調べたことがないので、わかっていない。
  もう1つ気になるのは、どの程度泥分があるかという説明について、泥分は、例えばアユが食べる藻類の付着しているところに当然くっつくわけである。一番細かいものか、ないしはちょっと粗いものまでくっつくかもしれないが、かなり細かいものがくっつくのだろうと思う。アユが一生懸命食べても栄養にならないというのは、結局、生えている藻類の量より、藻類にくっついている泥のほうが多いのではないかなというようなことも考えなければならない。しかし、これは全くの推測であり、そういう観点で調べたことはないのでわからない。
  先ほど、アユの消化管内容物がわけのわからないものであったという、これは何年前からですか、胃の内容物調査を排砂実施機関で実施したことがある。その経過を見ると、とにかく形のあるものがほとんど出てこない。もし珪藻がちゃんとついておれば必ずわかるわけですが、そういうのがなかった。藍藻ですとちょっとわかりにくいかもしれないが、それでも何かしらの形跡があるのではないかということでわかるはずである。
  だから、排砂の前も多分似たような状況であると思うが、排砂の後もアユにとっては非常に食料不足の状況がずっと続いているのではないかと推測され、これが肥満度などに影響しているのではないかなと思っている。ただし、しっかりとした証拠はなく、これ以上のことは言えない。
  それで、実際にどの程度泥が付着しているのかということをきちんと調べていただきたいと思っている。それはしっかりとした岩盤でもよいし、比較的大きな埋まっているような石の表面でもよいが、ずっと年間を通して観測できるようであれば観測していただきたいと思う。
(委員長) 今まで結構いろいろな調査を実施してきたが、今言われたようなことは具体的にはやっていないということか。
(委員F) アユに関してはかなりやっていたが、結局、はっきりした結論みたいなものは出てこないので、まだ疑問な点というのがずっと残ったままきていると思ったほうがいい。
(委員長) そうすると、やはり水生生物関係で、何かもう少しデータがとれそうな、評価ができそうな調査を考えていかなければならないということになりますね。
(委員F) はい。
(委員長) これは来年度の調査に、できるだけ適用されるようにしていかなければならないということになる。今まで付着藻類とか底生動物のデータがすごくとられてはきたが、調査の目的をもう少しはっきりさせて、それに向かった評価の方法というのもやっていく必要があると思う。
  この点については、また事務局の方で新しい環境調査をやる計画が3月に出されるときにどの程度入れられるか、それぞれの専門の委員の方々と相談されたい。
(委員G) 今の委員長のまとめに賛成である。
  先ほどは河川の方だったが、海域の方も、例えば動物プランクトン、海域の底生動物あたりでもそうだと思うが、全体として、過去の変動の範囲内と言っているが、それが本当に評価したことになるのかというのがいつも疑問に思う。つまり、有効な分析を、データのとり方から含めてやっているのかというのが疑問で、他の委員から出た意見のような視点で海域の方の傾向を見ると、やはり右肩下がりに見える。海域の底生動物、プランクトンはどう見ても右肩下がりだと思う。確かに最初の頃は、値がそれぞれの観点でデータとしては大きいので、右肩下がりであれ、なかろうと、とにかく範囲内であるということは言えるが、それだけでは何も正しく評価していないと言えてしまうので、それであれば多少無理でも、長期の傾向を見たときに下がってきていると見えるのであれば、それはなぜかというところまで突っ込まないと、やはり評価したことになっていかないのではないかと思う。
  そういう点で、先ほどの委員長のまとめで今後のデータのとり方、解析の仕方、これをもう一度、生物関係の委員の方のご意見を入れて検討していただきたいと思う。
  もう1点、海域の水質でSSの空間的な分布図を見ると、排砂の影響というのは黒部川の河口付近に顕著に出ており、それは当然とも言えるが、海域の水質のCODを見ると、そう高いとも言えない。
  小川の周辺、宮崎とかこの辺に、例えば7月1日の9時頃に2.4mg/lというのがあり、15時ごろの2.1mg/lというのが出てきている。これはこの周辺に2.7mg/lというのもあるので、小川の周辺に、もしかしたら排砂の影響ではなくて、小川の固有のこのときの河川から出たものの影響か、そのあたりはとりあえず事務局の見解を伺いたい。
(事務局) 今言われた現象は、過去にも排砂中、このような平面図にすると、赤川や小川の沖で若干高い値を観測されている傾向がある。 他の委員が言われたように連携排砂の影響も多少あるかもしれないが、こういった至近の川からの影響もあるのではないかと考えている。
(事務局) 4〜5年前に小川のところでちょっと泥があるとかということで、小川の上流で地質か何かを調べたような記憶があるので、後日この件に関して、伝える。
(委員長)

その調査は、小川から流れてくる土砂の堆積状態がどこの範囲まで広がるかを調べようということで、いろいろな成分を統計的に主成分分析したが、あまりはっきりしなかった。やはり、直感的に小川の付近は小川だと見ればいいと、結論的にはそういうことになる。

  今、ここもCODが確かにちょっと高い。これは小川以外に赤川とか、小河川の舟川とか、その流域に民家が結構ある。この程度なら生活排水とか、農・工排水が影響していると見たほうがいいのではないかと思う。ここは排砂の影響ではないと思う。
(委員G) 過去と同じような変動の範囲内というだけではなくて、今言われたようなあたりまで、もう少し踏み込むべきではないかなと思う。CODはSSとは特に相関がないので、ローカルのものだというのが一つ可能性としてはあるので、確定できないにしても、その可能性を指摘するぐらいのことまで評価の際にはすべきではないかなと思うので、今後の方向性として検討してほしいと思う。
(委員長) ある程度、もう少しはっきりさせるには今の調査では足りない。やはり目的を持って、例えばここにある中小河川、舟川とか赤川とその海域を少し調べてみないと何とも言えず、この排砂に関係する調査だけではなかなか言いづらいような感じがする。
(委員B) 河川水質のSSの粒度分布のところで、先ほど他の委員から、泥が今年多かった理由は何か考えられないかとの話があった。下から3段目に宇奈月ダム直下の平成19年度と20年度の比較があるが、かねて宇奈月ダムはだいぶ堆砂がそれなりに進んできて、細かいものだけではなく、少し砂分も流れるようになってきたのではないかということを、この委員会でも何回か発言させていただき、それはどちらかというと、このチャートの黄色(細砂)の部分がだんだん増えてきたということであり、それは今年も同じだと思うが、実は平成20年と19年を比較すると、青(粘土)の部分の一番下の粘土分がいわゆる自然流下時のピークの時でも、結構流れているという印象がある。
  これは、粘土は当然ダム湖の中にある程度溜まっており、水位が下がってくると初めにフラッシュされ、水位が下がった頃にはもう砂が卓越するというふうに考えた方がいいが、それでも結構たくさん粘土が流れているためだと思う。下流に少し淵みたいなところがあると、ピーク時に、たくさん粘土が流れているとどうしても淵にトラップされて、水が引いたときに粘土が取り残されるということに多分なっているのではないかと思う。この粘土がなぜ今年は多かったのかについてはその原因をよく検討すべきと思う。
  それで、ここから先は事務局のほうで考えてほしいところでもあるが、昨年の8月に出水があって、排砂ができなかったというのがこの2年ぐらい続いている。ということは、8月ぐらいの小出水で、ある程度細かいものが排砂できずにダムの中に少し多めに溜まっていて、ダムが水位を低下して排砂したときに少し多めに粘土が流れていることは考えられる。もしそうだとすると、2回出水分ぐらいの粘土が多めに流れているということも場合によっては考えられる。ここは推測だが、そのあたりの検討を引き続きやってもらえたらよいと思う。
(委員長) 今後、事務局で検討しておいていただきたい。
(委員長) 海振協から聞かれたそうですが、宇奈月ダム湛水池の底質について、COD、強熱減量、全窒素の今年度9月に測定した値が、例年に比べて高いということに関して、私なりに説明してみる。これは、昨年の7月、8月にはゲリラ豪雨と呼ばれる短時間に限られた範囲での集中豪雨を記録しており、この時の洪水により、いろんな山肌とか谷肌というところに溜まっていた堆積物がダム湛水池に流下し、落ち葉等を主体とした有機性の堆積物が一時的に堆積した結果、有機性を示す指標が上昇し、例年の値より高くなったものと考えられる。しかし、その後、このグラフを見ると、10月、11月の追加調査では例年の値とほぼ同程度に下がっている。これについては、その後の出水でダム湛水池の堆積面上に水が流れ込み、浮遊性の軽い有機堆積物が流れ出したためと考えられる。これは、2カ月や3カ月で、その堆積物が生分解して少なくなっていくということは到底考えられない話で、物理的現象で少なくなったのではないかと考えられる。
  それと、河川水質の観測最大値・平均値の推移について、左のグラフの一番下の方に溶存酸素(DO)と溶存酸素の飽和率があるが、6月の連携排砂後は例年と比べ低い値である。特に赤い線の愛本の地点では、溶存酸素の測定は平成14年7月以降されているが、昨年の7月までの間ではDOが一番低く8mg/lである。これについては、河川のAA類型で、最も正常な河川の溶存酸素は7.5mg/l以上であり、8mg/lは、そういった河川の正常な溶存酸素の量はクリアしており、河川の水質環境が悪くなっているという状態にはなっていないと判断できる。ただし、下がった原因までは不明である。
(委員B) 可能性があるという段階だと思うが、先ほどのなぜ今年は泥分が多かったのかという話と、全部原因は同じではないかなという気がする。泥、細粒分が多いということ、それから先ほどのCODや、窒素、リンも値が高いし、DOが下がったということもある意味間接的に影響が出ているのではないかと思う。その原因が何か一方向的に変化してきているということではなく、恐らくこの数年、去年、今年あたりの現象として、先ほども挙げた8月の出水で、実は排砂をしかかって途中で中断をし、その後1年は経っていないが、かなり時間が経過した上で排砂をしているためにどうしても細かいものが少し多めに出ていると思う。その中には、先ほど委員長が言われたようないろんな山肌とか谷肌というところに溜まっていた堆積物とかが当然入っていると思うので、そういうものがこの排砂で通常の年よりも結果として少し多めに出ているということではないかと思う。
  では、今後どうすればいいかということにこれをつなげないといけないということで、分かってきたことは、梅雨明け後の8月の通砂を昨年もトライアルしているが、なかなか通砂までには至らなかった。どうしても融雪や梅雨の時期に比べると、雨が止んでしまうと水が急激に流量が下がってしまい、水位が低下して、一定の流量を維持するというのはなかなか難しい時期に入ってきていると思う。この時期に、多少ある程度のまとまった雨が降ったとしても、通砂をすることはなかなか難しいということもある意味わかってきている。ではどうすればいいだろうかということで、実は昨年の出水があって、今年の排砂のときにもっと厳しめのデータが出るのではないかと心配をしていたのですが、さいわいそこまでは行かなかったようですが、今後、同じように8月にある程度まとまった雨が降って、翌年の排砂のときに厳しめのデータが出る可能性が今後ともあります。そこで、8月の時には、例えば細粒分だけでもなるべくダムにため込まないような操作について、今までのデータを少し分析した上でどんな操作があり得るだろうかということを検討してもいい段階にきているのではないかと思う。
(委員長) 今の提言を事務局で十分検討し、今後のものにつなげていくことにしたいと思う。
 
B第30回黒部川ダム排砂評価委員会評価について
 
[主な意見]
(委員長) 配布した第30回評価委員会の評価案について、ご意見を伺いたい。
(委員D) 魚類調査の肥満度の低下は排砂と関係があるように思われることについては、その後1カ月ほどして概ね回復する実績があるので、何かそういう文言も一部あってもいいのかなと思う。
  また、他にも排砂と関係があるかどうかは分からないが、経年的な減少の傾向も見受けられるので、ここの辺についての解析を詳細に行うような文言も入れておいた方がいいと思う。
(委員長) 今後の留意点のところでもよいか。
(委員D) 構わない。
(委員E) 再検討というような形でも入れ込めばよいと思う。なお、先ほど他の委員と話をしたところ、この辺は藻類自体の発生が非常によくない川とのことであった。
  それが水位とかの関係もあるので、その間にもう1回基礎データをきちっととり直して、アユについては河川の優占種であるのであれば、胃内容物も含めてもう1回、そういう環境との関係で調べられたらどうかというのが私の意見だったので、項目が1つ増えるような形になって、ちょっと大変かもしれないが、入れ込めるのであれば、その方がいいと思う。
(委員長) 項目が増えてもいいと思う。今後の留意点にBを増やして入れることとする。
(委員D) 水生生物にしていいと思う。
(委員長) 「水生生物については」というような形で入れることとする。
(委員F) 水生生物についての項目の、「出・洪水時、・・・」のところで、「また」以下に土砂堆積調査というのがあるが、水生生物との関連が分かりにくいので、この部分は、「また、土砂堆積調査では・・・」と、別項目にしたほうがよいと思う。
(委員長) 行を改めることとする。
(委員D) 海についてはどうか。
(委員G) 海域も水生生物でいいと思う。
(委員C) 基本的にはこれでいいと思うが、今回、宇奈月ダムの直上流の20.8k地点でちょっと強熱減量が高かったりとか、あるいは泥分が多かったりとかという議論があったが、昔出し平ダムのときに、通砂ができないようなときは、水位は変わらないけれども下から放流したことがあったと思う。
  下から放流して、堆砂面上の細かいものを出そうということを一度実施して、それはそれなりに効果があったように思う。宇奈月ダムでも今の堆砂傾向の中で、通砂や何かができないときにはそのような放流の仕方で、下のゲートから出すようなことも考えてもいいのではないかと思う。それについて、今後の留意点のところに、特に書く必要はないが、事務局の方で検討いただければと思う。
(委員長) 長時間にわたって活発な議論をしていただきましてありがとうございました。だんだん排砂の会議のほうも進んできたので、かなり効果的な方法というものに近づいていきたいと思う。そして、ある一つのルールをつくったら、一々議論しなくても一つの方法でいけるというようなことに将来持っていけたら非常にいいと思う。
  環境調査も同じように、ある一つのルールをつくってやっていくというようなことになれば非常にいいと思うが、そこまでにはまだ少し時間がかかると思う。
−以 上−


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資料−2−@ 平成20年6月連携排砂に伴う環境調査結果について
 
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