金沢河川国道事務所

流域の地形・地質概要

 白山(御前峰2,702メートル)を主峰とした分水嶺には、北東に野谷荘司山・笈ヶ岳・奈良岳、南西に別山・三ノ峯・赤兎山など1,500メートル以上の峰々が連なっている。上流部の山地は全般に急峻であり、大規模な地すべり地形及び滑落崖、大規模な崩壊地形が分布する。中流域では河岸段丘が発達し、集落及び耕地が広がっている。
 流域の地質は、非常に古い年代の岩石からできた飛騨変成岩類にはじまり、現世の白山火山噴出物まで変化に富んでいる。飛騨変成岩類(片麻岩)は、手取川ダムの東方及び尾添川流域に広がり、これを取り巻いて手取川上流には、恐竜化石が産出することで知られる中生代の手取層群(砂岩・頁岩)が分布する。さらに白山のスーパー林道の一帯には、中生代〜新世代の濃飛流紋岩類(火砕岩)が広がっている。手取川中流域及び瀬波川・直海谷川・大日川流域には、グリーンタフと呼ばれる新世代の火山岩及び火砕岩が分布する。新旧の白山火山噴出物が分布する尾根部は緩傾斜であるが、その縁辺は急崖が連続する。
 白山南西斜面の甚之助谷・別当谷及び湯の谷では、大規模な地すべりが現在も活動している。これらの地すべりは、主に手取層群の流れ盤構造の地域に発生している。また、手取層群及び濃飛流紋岩類の変質帯では大規模な崩壊地を形成している。

微地形分類図

 現在私たちが目にしている地形の姿は、その土地の長い歴史のなかで形成され、山地での崩壊、土石流および地すべりなどの土砂移動現象によって変化し、そして今後も変わり行く過程におけるひとコマに過ぎない。
 一見何気ない風景の中にも、実は過去から現在に至るまでの地形変化や、未来の地形変化を予想するための情報や手がかりがたくさん含まれている。その情報を引き出し、整理して、土砂移動予測の手がかりをつかむために作成されるのが微地形分類図である。
 砂防分野では微地形ということばを、山地とその周辺部の侵食・堆積現象にかかわる地形という意味で用いている。例えば下図に示した微地形分類図凡例にあるような微地形で、土石流堆積地や侵食前線などいろいろな微地形要素をみることができる。
 微地形分類図は、文献調査や現地調査を踏まえ、空中写真を判読して作成され、流域それぞれが持つ「体質」とも言うべき『荒廃特性』を現すことができる。