国土交通省北陸地方整備局

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第2回北陸地方戦略会議 議事要旨
 
日時:平成16年1月21日(水)
14時00分〜16時00分
場所:新潟ワシントンホテル
4階「大和の間」
佐藤 国土交通副大臣
  • これからの国土交通行政は、無駄を排除し、国民と向き合った成果重視の施策を重点的に展開していくことが重要。
  • 本日は、全国版の社会資本整備重点計画を受けて策定予定の「社会資本整備に係る北陸地方の将来の姿」、「北陸沿岸における安全確保について」などのテーマについて、ご議論を頂くと伺っている。
  • 古くは、「越の国」と呼ばれ一つの圏域を形成してきた北陸地方が、その持てる地域資源を活用して、今後「外との交流・内なる連携」を実現するとともに安全で安心な地域をめざし、北陸らしさを活かしながら他の地域を先導する地域として発展できるよう、皆様方の活発なご議論をお願い申し上げたい。
大村 北陸地方整備局長
  • 第1回北陸地方戦略会議での意見等を踏まえ「社会資本整備に係る北陸地方の将来の姿」の原案を作成したので意見を頂きたい。「外との交流・内なる連携」を地域づくりのキーワードと位置づけ、「広域的連携交流・活力ある地域づくり」、「安心・安全な地域づくり」、「美しさと自然豊かな文化の香りがする地域づくり」の三つの柱と、「多様な主体との連携・協働による地域づくり」と言う行動方針に基づき、今後の社会資本整備について取りまとめた。本日の会議の意見も踏まえ、3月末までに取りまとめ公表したい。
  • 北陸地方戦略会議の下部組織として「北陸地域づくり専門部会」の設立を提案する。戦略会議に参加している機関を中心に官民が協力して、地域づくりについて支援あるいは意見交換する場としたい。詳細については、今年度中に第1回の部会を開催し決めたい。
山本 北陸信越運輸局次長
  • 「北陸沿岸の安全確保について」説明する。
  • PSC(ポートステートコントロール)は、我が国に寄港する船舶が国際条約の基準に適合しているかどうかを当局の職員である外国船舶監督官が船に乗り込んで検査するもので、来年度から外国船舶監督官を増員して、PSC業務の一層の充実を図ることとしている。
  • 国土交通省では、放置座礁船対策として、入港船舶の保険加入の義務付けと座礁船の油防除や撤去を地方公共団体が行った場合に一定の費用を支援する制度を設けることとしている。
  • SOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)が海事分野のテロ対策の観点で改正され、その国内法制化に向けて作業しているが、船舶自体と国際港湾施設の保安体制の強化を内容とするもので、必要な港湾の保安施設整備について支援を行うこととしている。
真角 第九管区海上保安本部長
  • 過去40年間で21隻確認されている不審船対策については、平成11年の能登半島沖不審船事件を契機に3隻の高速特殊警備船が建造され、第九管区管内に2隻が配備されており、日夜訓練、パトロール等に努めている。平成13年の九州南西海域工作船事件を契機にヘリ甲板付高速高機能大型巡視船など9隻の対応船艇を建造中又は建造予定であり、当管内への配属も期待している。
  • 国際テロ対策としては、原子力発電所沖合に巡視船艇を365日24時間配備していることをはじめ、エネルギー関連施設等の沖合の警戒を強化しているところである。
鈴木 北陸総合通信局長
  • ブロードバンドインターネットを提供する手段として、光ファイバーやケーブルテレビ及び電話網を使ったDSLがあり、北陸4県においては、整備が進んでいない自治体もあり、その整備促進に向けて取り組んでいる。
  • 地上デジタル放送において北陸地方は、2006年末まで順次放送を開始する予定  であり、富山県が今年10月ぐらいからの開始予定である。
門田 北陸農政局長
  • 昨年10月に土地改良長期計画が社会資本整備計画とともに閣議決定され、今後国土交通省等と関連する分野において、地域レベルで連携を進めていくこととしている。例えば汚水処理について、北陸4県の整備率は、7割弱で全国平均より6%ほど低いため、公共下水道や農業集落排水及び浄化槽などをうまく連携させて効率的に整備し、地域の社会資本整備を進めていく必要があると考えている。
平山 新潟県知事
  • 国が地方交付税を前年度比12%マイナスするということで、本県の来年度予算は、当初約400億円の歳入不足が約800億円に拡大する見込み。
  • 来年度は公共事業費を2割カットしなければならず、国の公共事業予算も受けきれなくなる。
  • 新潟は、北東アジアとの交流が重要なテーマ。新潟空港の3,000m化、新幹線の空港 乗り入れ、羽越本線の高速化が必要。
  • 新潟市を中心とする市町村合併では、約78万人の政令都市になる可能性がある。都市の充実が重要であり、県は「都市政策ビジョン」を作成した。この新たな政策に対応する社会資本の整備をお願いしたい。
  • 北陸新幹線整備では、並行在来線の維持が困難という課題がある。バスに代替されれば、貨物輸送ネットワークがズタズタになる。
  • 北朝鮮の万景望号が入港するたび、全国から抗議のFAXが来る。警備に多額の経費がかかるので特別交付税の措置や、保安のために高速巡視艇の配備をお願いしたい。
  • 県の若手職員で構成する「県のあり方研究チーム」でも長野県や北陸三県と一緒になる道州制の議論が出ている。そのためにも北陸新幹線の整備が必要。
  • 治水、土砂、雪などの災害や海岸侵食対策を推進してほしい。
  • 地方交付税の減額は厳しいが、体力の許す限り、着実に社会資本整備を進めていきたい。国にもお願いしたい
大永 富山県副知事  
  • 「越の国圏域」として、連携・交流をさらに一層進めていきたい。
  • 北陸新幹線の富山駅までの早期完成、南越までの工事実施計画を一括認可、平成17年度の新規着工を要望。開通にあわせて、富山駅、高岡駅周辺地区の整備を進めていきたい。
  • 高規格幹線道路は、広域交流の促進に加えて、地域の生活に密着した多面的な機能を兼ね備えている。東海北陸自動車道、能越自動車道の早期完成を要望。
  • 北陸地方の港湾は、環日本海交流における日本のゲートウェイとして、さらには災害時の太平洋側港湾の代替としても重要。港湾施設の整備を要望。
  • 昨年のスー・ヤン・サン号を契機に港湾管理条例を改正し、接岸を認めないことができるようにしたが、抜本的な解決には入港規制できる制度の創設が必要。
  • 改正SOLAS条約に基づき、港湾の保安対策や入港船舶の事故等の未然防止が重要。
  • 富山空港は、環日本海交流の中央拠点として、空港機能の充実と路線の拡充に取り組んでいく。ご支援をいただきたい。
杉本 石川県副知事
  • 広域交流の観点から、高速交通体系の整備の意義や必要性をより強く表現すべき。
  • 北陸新幹線は、三大都市圏との広域交流を図る上で必要。富山以西・南越までの一括認可を要望。
  • 高速交通体系整備後の地域発展のイメージをうまく表現できるよう今後検討すべき。
  • 昨年7月に開港した能登空港は、能登地域に大きな経済効果を生み出した。
  • 小松空港は、大型ジェット機に対応した滑走路の改良や国際化を進めている。
  • 小松・富山・能登の三空港を、能越自動車道等の高規格幹線道路で結ぶ「トライアングルの交流幹線軸」を活用した広域観光ルートの形成が重要。
  • インフラ整備にあたっては、「1.5車線的道路」のような「ローカル・ルール」による柔軟な対応が必要。
  • 国におけるPSC検査体制のより一層の強化に期待。
  • 放置座礁船対策については、無保険船に対する入港禁止等の制度の導入にあたり、地域経済に及ぼす影響に対しても配慮する必要有り。
  • 外国船の座礁船撤去費用に対する支援制度の充実をお願いしたい。
  • SOLAS条約に基づき保安施設の整備に際し、補助対象の拡充を要望。
  • 志賀原発や石油備蓄基地を抱えるため、不審船発見等の情報については、関係地方公共団体への迅速かつ確実な伝達システムの構築を要望したい。
石井 福井県出納長
  • 福井県は地方支分部局の管轄が分かれているが、福井県を北陸に位置付けて整理するのであれば、他の地方と重複しても県全体が全部わかるように記載すべき。
  • 高速交通体系の着実な整備が重要であり、その要となるのが北陸新幹線である。
  • 工事認可申請後、約8年が経過しても、今なお、着工区間が全くない県は福井県のみであり、福井県民の悲願である富山・南越間の一括工事認可・着工と長野・富山間との同時開業を図るとともに、福井県内の新規着工に向け、平成16年度の予算で、南越駅、福井駅および芦原温泉駅の駅部調査の実施を是非ともお願いする。
  • 高規格幹線道路の整備も本県の大きな課題であり、舞鶴若狭自動車道については民営化後の新会社において、残り小浜西〜敦賀間50qの早期全線完成をお願いする。
  • 北陸を日本の玄関口としていくためは、重要港湾の整備を推進する必要がある。特に、敦賀港は、関西・中京圏への物流拠点として重点的に整備を要望。
  • 拉致問題や原子力発電所の安全性確保、有事の際の危機管理、テロ対策などは北陸圏特有の国家的問題。現在、国が整備を進めている「高速高機能大型巡視船」については、福井県に配備することをお願いする。
山田 北陸経済連合会長
  • 環日本海のゲートウェイや21世紀にふさわしい地域経済を目指す連合会と、キーワードの「外との交流・内なる連携」は共通認識である。
  • 北陸新幹線は、南越までの工事実施計画の一括認可をお願いしたい。
  • 中部縦貫自動車道、舞鶴若狭自動車道等の高規格幹線道路は、タイムスケジュールも付けてほしい。
  • NHK大河ドラマ「利家とまつ」を機とし、他の地域まで拡げた広域観光を踏まえ、今後も広域的なキャンペーンを実施していきたい。
芳賀 東北経済連合副会長
  • 高速道路をはじめとする高速交通ネットワークの形成は、広域的な地域間連携や交流を促し、地域の自立と低迷する産業経済の再生を図る上で、極めて重要。
  • 日本海沿岸地域は、中・韓・露を視野に入れた国際的な連携・交流が期待され、そのためにも交通インフラの整備は、必要不可欠である。
  • 国際港湾・空港の整備が重要。北東アジア経済圏諸国からのニーズに対応する港湾機能の強化や空港施設の整備が求められている。
  • 昨年の春以来、宮城県沖を中心とする大地震が頻発している。この地震によって、主に宮城県北部で地すべりや家屋倒壊、道路陥没が発生し、甚大な被害を受けた。
  • 災害に備え、地域の安全を確保する社会資本整備が重要。
真柄 金沢商工会議所副会頭
  • 将来の姿に明記されている日本海国土軸の形成と太平洋国土軸の補完を早期に実現していただきたい。
  • 地域が主体となった地域づくりを進めるため、地域づくり専門部会を設置することは賛成である。
  • 道州制の問題であるが、以前、日本商工会議所では日本を8つに分ける提案をしている。大きな視点で地域づくりを進めてほしい。
  • 北陸の沿岸地域は非常に長いので、安全確保には万全を期してほしい。
岩村 国土交通審議官
  • 観光立国については、平成17年度は35億円の予算で、外国からの観光客誘致に力を入れたい。最大のマーケットである中国については、ビザ発行の遅れが問題となっている。
  • 整備新幹線については、未着工区間における安定的な財源確保や既着工区間の早期完成などの課題がある。JRから経営分離されることになる並行在来線は厳しい経営が予想されるが、区間が大変長いことと鉄道貨物の動脈となっており安易に廃止することもできない。
  • 港湾のセキュリティ強化が進められているが、入港制限の話は国土交通省の枠をはみ出す課題であるため、議員立法ということで与党内では議論が進んでいる。
  • フェンス設置等の保安施設整備は、やらないと逆に相手国で荷物を受け取ってもらえなくなる。早期に整備を進める。
  • 国民保護法制は、地方自治体と連携して良い解決策を考えていきたい。
  • 能登空港は開港後、非常に順調でありお礼を言いたい。従来、空港ができてしまうと地元の関心が薄れてしまうが、石川県では能登空港ができる前から乗合タクシーや巡回ルートなどに力を入れてもらった。
三沢 国土交通審議官
  • 高速道路関係のご要望を頂いたが、各県それぞれでなく地域全体の要望として取り上げられていることに感銘。昨年末、制度全体の見直しの方向が固まり、新直轄方式の導入などが国幹会議で決定され、民営化に向けた関係法案も今国会に提出する準備を進めているところ。今後、新たな体制の下で整備を推進していくことになる。
  • 公共事業の無駄が議論されることが多いが、地域の中で本当に必要なものは何かという議論がまずあって、地域で重点プロジェクトに位置付けるかどうかの議論を進めていただいた上で、整備を推進していくべきものと考える。中国では高速道路の急速な整備が進んできている。その結果、中国奥地から野菜が運ばれ、日本に空輸されてくるようになり、中国産野菜のシェアが高くなっていると聴く。もちろん無駄は排除しなければならないが、このようにアジア全体の中での競争も視野に入れながら、必要なものは整備していくべきという考え方で今後も取り組んでいきたい。
平山 新潟県知事
  • 中国からもビザについては、日本政府に頼んでくれと言われている。中国とドイツでは自由になっており、日本は現在の時代に合わなくなっていると感じる。
  • 日東道は、中条〜朝日までは公団施工、温海〜鶴岡の短い区間が新直轄に決まったが、朝日〜温海間がどうなるのか決まっていない。施工方式が混在する事によって供用開始後は料金や維持管理の問題があり、うまくいかないだろうと思っている。高速道路ネットワークの効率的な運用を考えて、公団方式・新直轄方式の見直しを検討願いたい。
  • 整備新幹線も、JRは儲からないから並行在来線は三セクでと言ってるが、それなら新幹線も並行在来線も三セクで経営した方が良いのではないか。鉄道貨物ネットワークがズタズタになり、後になって「公共性が何だったのか」とならないようにしなければならない。高速道路も先に民営化ありきの議論だった。国民の利益を考えて議論を進めてほしい。
大村 北陸地方整備局長 
  • 北陸地域は、関東、中部、関西、仙台それぞれと緊密に連携し、中央日本を形成する重要な役割を担っている。地域づくり専門部会では、北陸総合通信局、北陸農政局、経済産業省の支分部局等他の省庁とも連携し、北陸地域が一つにまとまるよう、幅広いメンバーで実のある議論をしていきたい。
  • ヨーロッパのEU、北米のNAFTAなど、世界では地域連合の時代が始まっている。日本もこれから地域連合に取り組んで行くことになるが、北東アジアとの連携を真剣に考えているのは北陸地域であり、「外との交流・内なる連携」にご理解を得られたと思う。
  • 新潟県知事がおっしゃった地方交付税の配分削減は、箇所付けの問題もあり、整備局としても十分議論させて頂きたい。
山本 北陸信越運輸局次長 
  • 北陸4県は、古くから強いつながりを持っている。世界に開かれた地域をつくっていくことが必要と一層認識した。
  • 交通体系の整備充実と豊かな資源を活かした観光を核としていきたい。
  • 沿岸地域の安全については、条例改正で岸壁使用の制限を課すことができるようになったが、厳しいチェックを実施し、不適応船の排除を進め、結果として不審船や無保険船の排除につなげたい。
佐藤国土交通副大臣    
  • かねてより要望の強い北陸新幹線の件であるが、今年の3月には九州新幹線の新八代〜鹿児島中央間が開業することもあり、現在、与党において未着工区間の取扱いも含め、様々な検討がなされている。
  • 名古屋は港や空港の整備により、日本の南の窓口になると言っている。北陸が北の窓口になり、日本の中部に位置する地域が、まとまって頑張っていって欲しい。
(以上)