国土交通省北陸地方整備局

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第1回北陸地方戦略会議 議事概要
 
日時:平成15年7月14日(月)
16時30分〜18時30分
場所:ホテルニューオータニ長岡
2階「白鳥 西の間」
吉村 国土交通副大臣
  • 北陸地方戦略会議は、国・地方・経済界が率直に議論し地域の将来像についての共通認識をもつために、国土交通省より提唱させて頂いている。
  • 今回は特に、「地域づくり」、「観光」について御議論頂くと伺っている。現在、国土交通省では社会資本整備重点計画のPIをしているところだが、本会議の議論も踏まえて今後の北陸の地域づくりに活かしていきたい。
鬼頭 北陸地方整備局長
  • 北陸は地理的優位性等の特徴を有している反面、自然災害、交通基盤の整備、高齢化の進行等の課題をもっている。これらに対し、北陸地方の目指すべき将来像としては、「多自然型居住地域の創造」、「環日本海交流・日本海国土軸の中枢圏域」が挙げられ、「自然災害要因の克服」がその基礎的条件といえる。
  • その目指すべき将来像に向け、北陸の地域づくり戦略を提案する。キーワードは「外との交流・内なる連携」、戦略の柱としては、「安全・安心な地域づくり」、「広域的連携・交流 活力のある地域づくり」、「美しさと文化の香りがする地域づくり」が考えられる。
園田 北信越運輸局長
  • 観光の促進は意義や効果が大変大きい。現状では、訪日外国人旅行者数は日本人海外旅行者数の1/3で、国際観光収支は約3兆円の赤字となっている。国内観光旅行も、バブル崩壊以降減少している。
  • 国土交通省では、グローバル観光戦略の中でビジット・ジャパン・キャンペーンに取り組んでいる。また、観光交流空間モデル事業(北陸では能登地域)にも取り組んでいる。
平山 新潟県知事
  • 地方と国が考える公共事業の優先度が必ずしもマッチしない。国と地方がまとまって進め方を検討し、地方に合わせて優先度をつけて欲しい。 
  • 公共事業バッシングの風潮があるが、社会資本整備は経済発展に果たす役割が大きい。財政難の中で、重点的な整備が必要。
    • 救急医療の面からも、日沿道が朝日で止まらないようにお願いしたい。
    • 豊かな県民生活のために、下水道、公園の整備等、前向きに進めたい。
    • 公共事業に対するアゲインストの風と財政難がある。住民参加型の進め方が必要。また、国・県・市の財政のアンバランスがあり、全ての事業に必ずしもつきあうことが出来ない。  
  • 日沿道は日本海国土軸にとっても重要。港湾、空港整備による北東アジアとの人・物の交流も重要。重点計画に盛り込んでいただくようよろしくお願いしたい。
  • 政令指定都市(新潟)、中核都市(長岡等)の都市基盤の充実は合併を考える上でも重要。
  • 県庁での若手勉強会での話だが、道州制をとった場合、新潟はどこと組むのか議論になった。国の出先機関も、東北地方、関東地方、北陸地方などバラバラだが、結局、北陸地方だろうという結論になった(今後、もっと詰める必要があるが)。北陸地方との連携がさらに重要と思う。
  • 観光については、今後は中国からの観光客が期待される。しかし、ビザの発給対象地域が制限されていることにより、入り口が狭いので改善が必要。また、中国と日本の地方同士の航空路についてはニーズに対して的確に対応できるよう増やして欲しい。国内については、体験交流が今まで田植えや稲刈り等の特定の時期を対象としてきたが、今は通年になってきている。農業だけでは生きられない中山間地では重要なメニューであり、支援する必要がある。
  • 社会資本整備の中で特に気になるものを二つあげると
    • 防災について特に困っているのは海岸侵食。予算が伸びずなかなか効果が上がらない。災害復旧的な考え方で出来ないものか。また、直轄化の要望も多い。
    • 新幹線の並行在来線の第三セクター化の問題。JRがやらないのだから、赤字になって当然。このままで貨物輸送ネットワークが大丈夫なのか。国のインフラとして考えて欲しい。
中沖 富山県知事
  • 北朝鮮のスー・ヤン・サン号の入港問題では、皆様方にご尽力をいただいた。安全設備に不備がある船や、保険未加入の船の入港を規制できるよう、国としても法整備をお願いしたい。
  • 「越の国」といわれる4県は深いつながりがある。広辞苑にも、北陸は富山・石川・福井に新潟県を含むと書いてある。連携を進める必要がある。
  • 富山県では、県内戦略、国内戦略、国際戦略の3つの点から地域づくりを進めることとしている。
  • 県内戦略の第1は、安全・安心な県づくり。私は「災害は必ずやってくる、しかも忘れないうちにやってくる」と言っている。災害大県から防災大県となるように、暴れ川をダムや河川改修で治め、克雪・利雪に取り組んでいる。大火については、12年間全国最小の出火率を維持している。公共事業によって、水と緑の県づくりが進んできていると言って良いと思う。
  • 第2は生活水準を高める県づくり。子供から高齢者まで元気に暮らせる県づくりを目指し、健康、福祉、教育、文化、環境など、県民の生活水準を高めるため、各種の公共事業に取り組んでいる。
  • 第3は活力のある県づくり。厳しい経済情勢の中、雇用の確保、にぎわいのあるまち、うるおいのある農村づくりに取り組んでいる。道路、公園、下水道の整備など、活力ある地域づくりを進めている。
  • 国内戦略では、日本海国土軸と緑の国土軸の形成を目指している。第1は高速道路、北陸新幹線、富山空港、伏木富山港などの交通インフラと情報通信基盤の整備が重要。生活環境と自然環境の調和を図り、緑の国土軸の形成を目指す。
  • 第2は広域交流の推進で県境を越えての広域観光、外国人のビザなし渡航の推進が必要。地域の観光の発展のためには、インフラづくり、イベントづくり、そして知恵も汗も出す人づくりが大切。
  • 国際戦略では環日本海交流の拠点づくりを目指すべき。人口の多い中国、資源が豊富なシベリア、技術や金融のある韓国、日本など21世紀は環日本海交流が盛んになる。富山はその中枢。日本海学の提唱や日本海ミュージアム構想の推進に努力している。
  • NOWPAP(北西太平洋地域海行動計画)本部事務局は国連旗が掲げられる国際機関で、富山と釜山に設置される。日本海の環境保全を進めたい。
  • 「越の国」は自然、文化、産業など世界に冠たる地域。名目GDP世界19位と推定され、豊かである。日本海国土軸の中心であり、ゲートウェイである。「越」は「高志」とも書ける。高い志の地域となるよう力を合わせてがんばる。
  • 三位一体の改革で、地方の財政が減ってはおかしい。地方税財源の拡充が必要。
  • 地域づくりの基本は人づくり。「越の国」は優れた人材を輩出してきた地域であり、今後とも人づくりに努めなければならない。
杉本 石川県副知事 
  • 北陸地方は、美しい自然環境や独自の歴史・伝統・文化、雨や雪が多い厳しい風土の面で共通の認識を持ち、特に三県は一つの県であった歴史もある。
  • 地域の将来像として、北陸は本州の中央に位置し、「環日本海交流及び日本海国土軸の中枢圏域」として持続的な発展を目指す視点が重要。
  • 一つ目は、「幅広い新たな国際交流の展開」が重要。今後は、環日本海という枠を広げて、東南アジアを含むグローバルな交流を進める視点が必要。
  • 二つ目は、「三大都市圏との広域交流」が重要。北陸新幹線の富山以西への早期延伸により、日本海国土軸の形成と北陸地方の一層の連携強化が必要。
  • 三つ目は、豊かな自然、歴史文化、観光資源等を活用しながら、CO削減など環境負荷軽減策に取り組む等、「環境全体との共生」を図る視点が必要。
  • 地域づくり戦略の一つ目は、交流人口拡大のため「交流ネットワークの形成」が必要。国際拠点として小松空港の国際化が重要。ルクセンブルク貨物便取扱量は国内5位。今後海外便拡大と大型ジェット機対応の滑走路改修が必要。
  • 金沢港や七尾港の国際航路拡大と大水深岸壁整備など港湾機能強化が必要。
  • 国際交流拠点の整備について、北陸圏全体の中で空港・港湾の役割を明確にし、それぞれの活用策や強化策を位置付けることが重要。
  • 能登、小松、富山の三空港を結ぶトライアングルの交流幹線軸の強化が必要。
  • 南北に細長い県土を繋ぐダブルラダー構想実現の為、能越自動車道や地域高規格道路、県際道路の整備が必要。国道等も含めた新たな交流軸形成が重要。
  • 二つ目の「安全・安心な県土づくり」として、土砂災害・河川・道路情報管理システムを整備。北陸全体を視野に広域防災情報システムの構築が重要。
  • 三つ目は、「魅力ある地方都市の再生」を図るための都市基盤整備の推進。北陸ならではの美しい観光交流拠点づくりと、新幹線、空港、高速道路等の広域交通ネットワークによる連携強化により、相乗効果を期待。
  • 7月能登空港が開港。首都圏からの大幅な時間短縮により、大都市圏からの交流人口の拡大、雇用機会の確保等、能登地域振興の起爆剤に。
  • 北陸三県の観光素材を活用し、多様な観光体験が出来る広域観光ルートのコースづくりやグリーンツーリズムの推進が充分可能。
  • 国際観光について、国際旅行博への出展やインターネットを活用した観光情報発信等を積極的に推進、ビジット・ジャパン・キャンペーン事業にも参加。
福田 福井県土木部技幹
  • 北陸の特徴である美しく豊かな自然、個性的な産業の蓄積、居住環境の良さなどを生かしながら、広域的な連携を行う必要があると認識している。
  • 福井県は、近畿圏とか中部圏にも属し接点的な位置にあたるため、そういった役割を果たしていきたい。
  • 北陸は細長いので、連携を進める上で、新幹線や高規格幹線道路などの高速交通体系の整備が一番重要と考えている。また、福井県は原子力発電所、有事の際の危機管理、テロなど、いろいろな危機に面しやすい。その対応の意味でも舞鶴若狭自動車道などの計画的整備を是非お願いしたい。
  • 観光については、東京、関西、中部など大都市圏との連携にも配慮頂きたい。
山田 北陸経済連合会会長
  • 北陸は3大都市圏と300kmの等距離にあり、扇の要ともいう位置にある。環日本海交流のゲートウェイとして機能するため、新幹線、東海北陸道の社会資本整備をお願いしたい。
  •  「より魅力ある地域づくり」の観点から、北陸全体の広域観光について「利家とまつ」を起爆剤として取り組んだ。
  • 韓国の人が北陸を足がかりに日本を見てみたいという話もある。日本の拠点となるようお願いしたい。
  • 環日本海交流については、新潟、富山、石川、福井の4県で、北陸韓国経済交流会議を開催しており、これを盛り上げていきたい。
  • 物流面で、新潟県と北陸との産業交流の検討を進める必要がある。
芳賀 東北経済連合会副会長
  • ゆとりと美しさに満ち、世界に発信する東北を目指す。
  • 高速交通体系の整備が必要。東北新幹線、日沿道は出来つつある。引き続き、北陸新幹線、日沿道の整備をお願いしたい。
  • 高速道路は、ラダー(はしご)型に整備の予定だが、まだ道半ば。採算のみでなく、公共・公益的な面からも、選択と集中により、投資余力のある今のうちに整備して欲しい。
  • 観光は21世紀の東北の基幹産業。新潟を含む7県で東北広域観光推進協議会を設立。「はやて」効果でGW中の盛岡−八戸間の利用客は50%アップし、秋田新幹線も24%アップした。これらを継続させて東北の発展につなげるには、観光地や宿泊地に接続する2次交通網の整備が必要。また、東北の認知度は低い。その向上のために情報発信が必要。
上原 新潟県商工会議所連合会会頭
  • 新潟がどの地方に属するか議論があるところ。アイデンティティーがはっきりしないところがある。しかしそれは、各地方との密接なつながりの証左。将来は4県を超えた広い範囲のつながりが必要。
  • 観光については、出入にギャップがある。日本の物価の高さが一因と思う。入国手続きの簡素化も必要。
  • まだ遅れている日沿道を早期に延伸することが重要。
  • 国際コンテナ航路のさらなる拡充をよろしく。港湾と高速のネットワークの確保や受入態勢のソフト面の整備が喫緊の課題。
八島 富山商工会議所連合会会長
  • 伝統産業などのモノづくりの観光資源を付け加えた産業観光マップを提案したい。体験交流が観光の中心になっていくと思っておりいろいろな資源を発掘していきたい。
  • 国際観光はアジアが中心になる。旅行者に対するビザの緩和をやるべき時期と思う。地域の受け入れ態勢の工夫を凝らす必要がある。
真柄 石川県商工会議所連合会
金沢商工会議所副会頭
  • 社会資本整備についてB/Cがよく言われるが、「有用の用、無用の用」といい、有用の用はB/Cでもいいが、安全・安心の観点から無用の用についてもどんどん進めて欲しい。
  • 日本海側は太平洋側に比べまだまだであり、国土軸形成のためには新幹線、高速道路の整備が必要。
  • 能登地域観光交流空間モデル事業等の活動があるが、能登の高齢化がすすんでいる。特区の見直しなど、地域が活性化するようなことをしていただけないだろうか。
  • 人口減少はデフレよりひどいことになる。人口を増す方策もお願いしたい。
  • 美しい国づくり政策大綱を早く実行に移していただきたい。
北村 福井県商工会議所連合会副会頭
  • 交通のアクセスがなければ、観光は成り立たない。新幹線も採算の面から早く関西につなぐ必要がある。近畿自動車道を敦賀までつなげないといけない。現在、道路は国道27号のみであり、敦賀から舞鶴まで2時間もかかる。阪神淡路大震災の時も、ものすごく国道27号が混んだ。東海道のバックアップの意味もある。また、若狭には15機の原発がある。
  • 福井の社会資本整備が遅れている。知事の力も必要であり、我々も経済界として努力するのでご支援をお願いしたい。
鬼頭 北陸地方整備局長
  • まとめというわけではないが、いくつかのポイントについて共通認識が得られたと思う。
  • 北陸のエリアについては、いろいろご意見があったが、広域的な視点で地域づくりを考えていく上で、自然、歴史・文化、風土などの共通性から、4県を1つのエリアとして考えたい。
  • 「外との交流・内なる連携」について、ほとんどの皆さんが三大都市圏とのつながりをさらに強くし、東西に長い地域の一体性をどうもたせるかという課題に対し、広域的な連携を進めるため、高速交通ネットワークの充実強化が急がれるということをポイントにあげていた。東アジアとの交流を進化させていくための空港・港湾等の国際交流拠点の形成が重要であるということも共通の認識。暮らしについては、魅力ある地域づくりのために、下水、公園等の整備の充実、自然環境との調和について指摘があった。安全については、災害要因の克服が基礎的な条件であり、海岸侵食や救急医療体制の確保が重要なポイント。また、社会資本整備重点計画にどれだけ入るか分からないが、不良船の問題等、広い意味での危機管理問題についても言及があった。これらの意見を重点整備方針や将来の姿に反映させていきたい。
園田 北信越運輸局長
  • 江戸時代、明治の始め北陸地域は農業経済を中心に栄えていた。日本海が物流の動脈として機能していたが、明治維新後、いつの間にか太平洋側に移っていった。北陸には太平洋側にはなくなりつつある豊富な資源があるが、どう活かしていくかが重要。観光の面で外から来てもらうには住んでいる人が魅力を感じる地域でないといけない。時代の要請の中でハード・ソフトを一体として、整備局と協力し、この地域に住んでいる人が魅力を感じる地域づくりに努め、地域外の人々との交流を深めていきたい。
吉村 国土交通副大臣
  • 先日、福岡から北海道へ行く飛行機に乗ったら満員だった。今朝、福岡から新潟へ行く飛行機はガラガラだった。先ほどのデータにもあったが、九州、四国との交流が少ない。両地域が考えていかなければならない課題と思う。海外の客を呼ぶと同時に国内の交流を活発にしなければならないと思う。
  • 九州は島なので、一つの地域としての意識を持ちやすい。北陸はそれぞれ異なる面をもち、なかなか難しいようだが。しかし、地方分権や国家的な大プロジェクトを進めていくためには、英知を絞ってまとまって行く必要があると思う。
  • 公共事業が悪者扱いされる風潮があるが、本日、大河津分水を視察して感銘をうけた。まさに歴史の鑑であり、小異は小異として認めつつも、どこかでまとまっていくことが必要。青山士の「万象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸イナリ」という言葉。最近は、採算のみで論じられがちであるが、こういう哲学的な発想から物事を考えていかなければならないのではないか。原点を見失ってはならない。
  • 和魂洋才の心を忘れてはならない。洋魂洋才では日本の国づくりはうまくいかない。
(以上)