掲載日:2017年3月17日

現場技術者の技術力の向上をめざし

~第26回技術研究発表会を開催~

3月9日(木)、高田河川国道事務所工事安全対策協議会が主催する「第26回技術研究発表会」が、糸魚川市の「ビーチホールまがたま」において、約180名の参加で開催されました。
現場を担当する技術者の皆さんが、日頃の業務のなかで取り組まれた新技術・ICTによる施工事例、施工計画・施工管理、安全計画・安全対策、創意工夫など、先進的な取り組み事例を発表することで、現場技術者の技術力向上に役立てようと行っているものです。

工事安全対策協議会長 挨拶

開会の挨拶に立った村下工事安全対策協議会長は、はじめに昨年12月22日に発生した糸魚川市駅北大火に触れ、被災された方々並びに関係者に対するお見舞いと、糸魚川市建設業協会をはじめとした建設業者による消火活動支援やがれきの撤去など復旧作業への協力に対して感謝の言葉がありました。

次に、今冬の降雪状況に触れ「昨年より降雪量は多いものの、小雪傾向の年であった。大学入試センター試験(1月14日~15日)前後には厳しい寒波の来襲があり、妙高観測所では1月14日~16日の3日間で過去3番目の累計降雪量を記録した。このような状況にもかかわらず、大きな交通障害が発生しなかったことは、県道、市道を担当する受注者も含め、除雪業者の作業のおかげである。」とお礼の言葉がありました。

続いて、「国土交通省では、今年を『生産性革命前進の年』と位置付け、昨年から実施しているi-Constructionの取り組みを、更に推進する計画としている。技術の研鑽に努め、生産性の向上、働き方の改革等に関する各種施策に積極的に取り組んでいただきたい。」とお願いがありました。
「今回の発表会では、39者から45編の論文の応募があり、取り組みが優れている10編について事例を発表いただくもので、応募のあった他の35編の事例も含め、施工の参考としていただくとともに、工事が無事故で完了することを祈念します。」と挨拶がありました。

発表論文一覧

応募論文の内訳

新技術・ICT4施工事例5創意工夫12
施工計画・施工管理10設計・計画1
安全計画・安全管理11コミュニケーション2合計45

ICT施工による効率化、PC橋現場施工時の塩害対策、

PC鋼材中間定着工法を用いた既設橋部分撤去の3編が優秀賞を受賞

10編の発表終了後、安全対策協議会長、副会長による審査が行われ、優秀賞に3編が選ばれ、村下会長から優秀賞が授与されました。
また、現場の第一線で大変お忙しいなか、発表いただいた7編の皆様に奨励賞が授与されました。

「ICT活用工事について」

武江・大陽経常建設共同企業体 吉原 悟 氏

上越三和道路は、上越地域における救急救命センター60 分圏域の拡大や日常生活30 分圏域の形成を図ることを目的としている。
本工事は、国土交通省が提唱するi-Construction に基づき、路体盛土工(サーチャージ盛土)にてICTを全面的に活用し施工を行ったことについて発表しました。
ドローンによる3次元起工測量、設計データ作成、ICT建機による施工、3次元出来形管理、3次元データ納品など、メリット、コスト増等、今後の課題を整理しています。

「プレキャストセグメント工法を用いたPC橋の現場施工時の塩害対策」

極東興和株式会社 森山 実 氏

昭昭和50年に建設された国道8号歌高架橋は、日本海沿岸に位置し、塩害による損傷が著しく、恒久対策として橋梁の架替えが必要となった。
設計では、塩害の影響度合いが最も激しい対策区分「S」が適用され、最小かぶりを70mmにするとともにエポキシ樹脂塗装鉄筋を併用する等、さまざまな塩害対策が講じられている。一方、これらの塩害対策を確実なものとするため、セグメント運搬時、接合時の対策、連結部施工時の飛来塩分対策など、架設時における塩害対策を発表しました。

「横締めPC鋼材中間定着工法を用いた既設橋部分撤去について」

株式会社笠原建設 中村 良一 氏

歌高架橋の新設橋は既設橋に隣接して建設され、起終点の合流部は、交通切替時の新設側幅員を確保するため、既設橋の一部を撤去し新設するものです。
既設橋6主桁のうち支障となる2主桁2径間を撤去しますが、既設橋の部分撤去は橋軸方向に切断しなければならず、主桁フランジや横桁には横締PC鋼材が配置されているため、そのまま切断した場合、撤去部分だけでなく残存部分のプレストレスも失い、残存部分を供用することが不可能な状態となります。
交通を確保した上での既設橋の部分撤去、残存部分のプレストレス維持手法が課題となります。

設計段階より計画されていた中間定着工法ですが、橋軸方向に切断分割する前に切断位置の残存部分で横締PC鋼材を固定することにより、切断しても残存部分のプレストレスが維持され現道交通を確保する確実性について試験施工を行うなど、横締PC鋼材中間定着工法の施工から既設橋の部分撤去までの手順について発表しました。

予算確保により担い手不足対策、若手入職者確保を

荊木安全対策協議会副会長((株)上越商会取締役社長)は、「建設産業を取り巻く環境は、大変難しい課題を抱えています。
安定した予算確保により、中長期にわたる見通しがもてる「地域の建設産業」を育てていただくことが、喫緊の課題である担い手不足対策や、若手入職者の確保に寄与するものと信じています。皆様の一層のご活躍を祈念します。」と閉会の挨拶を行いました。

糸魚川大火義援金ありがとうございました

当日、会場で昨年12月22日に発生した「糸魚川駅北大火」の義援金を、工事安全対策協議会でお願いしましたところ、『14,940円』のご協力を頂きました。3月10日に「糸魚川市災害義援金口座」に送金いたしました。紙面をお借りし、報告とお礼を申し上げます。一日も早い復興をお祈り致します。