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信濃川中流域水環境改善検討協議会

第15回協議会

第15回協議会では、以下の2点について協議が行われました

  • これまでの調査結果の報告
  • 平成19年度の調査内容(案)について

これまでの調査結果の報告

【事務局説明】

[報告書の位置づけ]

  • 平成10年度から10年間にわたって行ってきた調査検討をとりまとめた資料を作成する予定である。



[流量の経緯]

  • 昭和14年に西大滝ダム、宮中取水ダムが完成し、その後自主放流を重ね、平成13年から試験放流を開始している。



[河川形態の変化]

  • 西大滝ダム減水区間では、減水時でも比較的水域面積の減少が少ない。一方宮中ダム減水区間では、減水に伴って水域そのものが狭くなり、早瀬の面積の縮小等が生じている。
  • 河川形態を非減水時に近い形態とするためには、少なくとも40m3/sの流量が必要であると判断される。


 


 

[水温]

  • 西大滝ダムの減水区間については、水温の著しい上昇は見られないが、宮中ダムによる減水区間については本川の前後に比較して明らかに水温が高い。また現行の試験放流では、平均水温を下げる効果は限定的であり、試験放流中でも平均水温が高い。
  • 宮中減水区間において、最高水温を28℃以下とするための放流について検討した。その結果、フラッシュ放流によって全区間で効果を発揮することは困難と判断され、3050m3/sの流量を一定放流する必要があると考えられた。
  • 河川の高水温区間でも、ワンドの底層部や湧水地点などで局所的に低水温となっている箇所が認められた。



[付着藻類]

  • 宮中ダム減水区間の十日町では、付着藻類が非常に多いことが確認され、減水の影響による出水のピーク流量の減少や出水の頻度の減少により、付着藻類が剥離しにくくなったためと考えられる。
  • 現在実施している試験放流では、付着藻類の繁茂に対して一定の緩和効果は認められるが、効果は限定的である。
  • 一定放流によって藻類の異常繁茂や魚類の採餌環境の悪化を軽減することは難しく、3〜4週間に1回程度で河床の撹乱が起きる程度、120m3/s程度の流量が必要と考えられる。


[底生動物]

  • 西大滝ダム、宮中ダムのいずれの減水区間においても、非減水区間との底生生物相の明確な差は見られなかった。また、減水年と非減水年の比較でも、差異は認められなかった。

[魚類]

  • 減水区間では魚類の個体数が少なく、特に冷水性の種については種類及び個体数が少ないことが確認された。宮中ダムの減水区間については水温の影響と考えられるが、西大滝ダム減水区間については原因は不明である。
  • 試験放流によって個体数の増加、冷水性のカジカの生息が確認されたが、冷水性の種の個体数の変化は見られなかった。
  • 魚類の生息状況を改善するための流量を検討した結果、おおむね30〜50m3/sの流量によって、生息可能なすみ場が大きく増加する傾向が見られた。

 

[景観]

  • アンケート、ヒアリングによると、減水によって景観が悪化しているという意見が得られた。
  • 試験放流の結果水面幅が増加することにより、景観に対しては効果があったと判断できる。
  • 景観の観点から望ましい流量については、平成19年度に意識調査等を行って確認する予定である。




 [水質]

  • 減水による水質への影響について検討した結果、減水時においてもおおむね環境基準を満たしている。
  • 減水区間で一部pHが環境基準を超える状況が確認され、付着藻類の繁茂による影響と考えられたが、生態系に対する影響は不明である。



 [地下水]

  • 流量の減少により地下水位が低下し、十日町市の水道用水取水に影響を及ぼしているのではないかという点について、過去のデータ等による検討を行った。
  • 水源のうち、深井戸は信濃川の水とは関係がないが、浅井戸の水は、冬季において信濃川の水と関連があると考えられた。
  • 浅井戸の水位は冬季に低下し、水位低下は十日町市内の消雪用水のくみ上げに伴う水位低下に起因していると考えられ、地下水は夏は市街地方向から信濃川に流れ込むが、逆に冬は信濃川から市街地に向かって流れると考えられる。また、昭和60年の水利権更新前後で、冬季の信濃川の流量はほとんど変化していない。以上から、発電取水による減水が水道用水の取水に影響を及ぼしているとは考えられないと判断される。
  • 水道用水の井戸の水位を高く保つためには、井戸から取水を行っていない状態でも77〜220m3/sの流量が必要となり、実際に取水を行うためにはさらに大きな流量が必要となることから、十分な流量を常時確保することは困難と考えられる。



 [サケの遡上]

  • 信濃川に遡上するサケのほとんどは魚野川に行き、本川には数百尾程度が遡上すると推定される。また本川の回帰率は魚野川と比較して低い。以上から減水がサケの遡上量に影響を与えていることが疑われるが、その原因は明らかではない。
  • 試験放流による回帰率の明確な変化は認められない。
  • 遡上の阻害要因の改善策として、河道の掘削、段差の解消、魚道の運用改善等を行ったが、宮中魚道における採捕数に明確な関連は見られなかった。

平成19年度の調査内容(案)について

【事務局説明】

[平成19年度調査計画書]

  • 平成19年度の調査として、以下の調査を実施する。
  • 流量が大きい時の水温と水深の関係を把握するための、水温の平面分布調査



  • 減水区間と非減水区間における藻類の状況を比較するための付着藻類調査


  • 信濃川に加え、北陸の他の河川も加えた魚類調査



  • フォトモンタージュを用いた景観の意識調査



【質疑応答】

委員:
清津川合流点下流において、流量が多い非減水時の方が水面幅や淵、早瀬の面積が小さくなっているのはなぜか。

事務局:
航空写真からの読み取りにより算出している。流量が小さいときに淵だった場所が、流量が大きくなって完全に水没する場合、淵ではなくなると読み取っている結果である。出水等により河川形態そのものが変わっている可能性があるため、他の年とも比較してみる。

委員:
清津川合流点下流中ダムの背水の影響が考えられるため難しい点があるが、その上流の百合居橋や宮野原橋付近の西大滝ダム減水区間については、流量が増加に伴う水域面積の変化は大きくないと思われる。

委員:
水道用水源浅井戸の冬季の水位低下は、十日町市内の消雪用水のくみ上げと関係していることは確かであるが、それだけではないと思われる。調査データはないが、過去の減水していない時代と比較すると、夏季も含めて全体で低下している。

事務局:
地下水のデータは、十日町市役所さんからデータをいただいて解析をしている。過去まで遡ってデータがあれば解析結果が変わる可能性はある。データの収集を進めるとともに、データはないが昔はこうであったという情報も整理して記述する。

委員:
10年間の調査結果のみではなく、それ以前の状況についての伝聞、記憶、記録を記載する必要がある。かつての信濃川がどうであったかということが増放流の効果を計るベースになる

委員:
河川の中のハビタットには、瀬や淵だけではなく石の河原や水際植生など多数のものがある。この協議会で検討対象としているハビタットの類型を整理するとよい。問題になる場所の少なくとも数百mから1kmくらいの間のビオトープのシステム、ビオトープの構造というものを見るとよい。

委員:
各ハビタットの構造を河畔林や抽水植物、湧水等を含めて模式図等により示すとよい。

事務局:
今回の調査地点において、物理量のデータと合わせて、瀬や淵、河畔林や水際植生等を含めて状況を整理する。

委員:
サケの遡上量は漁業協同組合による放流量に左右されることから、漁業協同組合の放流量の経年変化を示す必要がある。

事務局:
新潟県等に問い合わせを行い、データが入手できれば整理する。

委員:
付着藻類の剥離更新に関する調査方法について、流量が異なる場所に移動させ、その流量の違いにより隔離状況を把握するといった実験的な手法により行うと良い。

事務局:
調査方法について検討する。

委員:
従来の維持流量のように一定量放流を行えばよいという考えではなく、3週間か4週間に一度は大きな流量を出すとよいという考えは画期的なことである。

委員:
生物としては、一定の流量で流れている状態は良いものではない。生産量を上げるためには一定の攪乱が必要である。これを念頭にまとめて頂きたい。

委員:
一定量を流していることだけでは、本来の生態系は戻せない。

委員:
宮中ダムの魚道について、漁協の組合員から流量が少なくサケが上りにくいという意見がある。魚道を緩やかにしもっと多くの流量が流れるように改良して頂きたい。

委員:
魚道については信濃川河川事務所管内での検討が多くあり良い事例も多数ある。宮中ダムの魚道についても改築する方向で望んで欲しい。

委員:
協議会の提言の中で、魚道のあり方についても盛り込む方針としてはどうか。

事務局:
魚道の分析結果について整理する。



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